かきあげ家族
中島たい子




スランプ中のコメディ映画監督、中井戸八郎


八郎が託された「世界のクロカワ」の幻の脚本が

ネットオークションに出品されているという仰天情報が入る



八郎だけが持っていたはずの幻の脚本。

勝手に出品したのは…まさか家族のだれか!?



自宅には、元女優の妻、百合子

長いこと引きこもりの次男、真太郎


そこへ、長男・章雄と長女(三男)・美子たちもぞくぞくと出戻ってくる。



なんなんだ!うちの家族は…!途方に暮れる八郎


そして、消えた「世界のクロカワ」の脚本

黒川監督はなぜ、八郎に脚本を託したのか…?







ファンと公言しているのにまだ読んでなかった、中島たい子の長編小説です



この作品も好き!ラブ



会話のリズム感、ツッコミ、

シチュエーションの妙(章雄と八郎の病院でのシーン、まるでシットコム爆笑笑い)

要所要所で笑えました笑



笑いだけでなく


誰からも求められないと感じる老監督の悲哀

まっすぐに生きられない、どう生きていいのかと思い悩む者たちの悲哀

も、丁寧に伝わってきます



そして、

ストーリーになぞらえるように、実在するいくつもの映画作品についても語られ


映画への愛も感じます飛び出すハート




父親として、家族を全然わかっていないと落ち込む八郎ですが


わからないなりなりに家族の心情を思いやろう、受け入れようとする

八郎の柔軟さが良いと思いましたニコニコ



いろいろ問題を抱えた息子(娘)たち

結局はどうしてそうなったのか、八郎にも全部は理解できない



理解できないけれども、大変だったろうなと慮る

それでもお前にはお前の良さがあるからと受け入れる



理解できないことはすべて断罪!みたいなクソ親父よりよほどいい父親だと思いましたねえー



みんながなんやかや総出で動き出すラストはとても爽快でした。




下差し短編集についても書いてます!

ピッタリのいらすとあったわぁ