おまじない
西加奈子

「孫係」
小学生の、すみれ
大学教授をしている、上品なおじいちゃまと一ヶ月一緒に住むことになった
おじいちゃまが大好きなすみれの素敵なママは大はりきり。
すみれはママもおじいちゃまも好きだけれど
最近、身の回りのものへいろいろな気持ちを抱くようになっている。
誰かを好きってことと、
ひとりになりたいってことは全く別!だからね~
わかるわぁ~

いい子だけど、いい人だけど、正直うっとうしい。
そんなのも、自然な感情だと思う。
そういう矛盾も、「そういうもんだよね。」と受け流せるときもあれば
「自分ってなんて冷たいんだろう」と自己嫌悪におちいることもある。
なんとかそれを悟られないように
「相手に感じよく映る自分」を必死に取り繕ってしまうことも。
じゃあ逆に、「それぞれの役割をはたすゲーム」と考えてみたら?
カワイイ孫になりきるゲーム
やさしい祖父になりきるゲーム
完璧なママになりきるゲーム
ゲームにすることで、これが本心じゃないってことも同時に許される。
嘘をついてる、欺いているなんて考えなくていい
そういうゲームだから。
他に本音があっても、それがどんな本音でも、許される
これはいつも思ってることだけど
心の中でどんなに悪態ついてても、実際に陰口叩いてても
本人に絶対にわからないようにしてるなら、それはそれで優しさと礼儀だと思うんですよね~
陰で言うよりマシでしょ!?とか言って直接暴言吐いてくる人よりうんとマシ。
幼心にも、大人が自分を子供だと見くびらずに話しているかどうかはなんとなくわかるものだ。
おじいちゃまは、少なくともすみれを子供だと見くびることはなかった
大人がそのように子供の自分を尊重してくれたと気づくとき、
うれしいし、その大人を信用できると感じると思う