ウエストウイング
津村記久子


 

 

OLのネゴロ、サラリーマンのフカボリ、小学生のヒロシ


三人の共通点は、職場と塾が同じビルにあるということだけ。


それ以外はなんの接点もない。はずだったが


どうやらビルのとある空き部屋で一服するという共通点もあるようだ



姿は見えないけれども、確実にお互いの存在を感じながら

息苦しい日々を空き部屋で息抜きしながら生きる三人



そんなとき、老朽化したビルの取り壊しの話が…!?






まずこの小学生ヒロシ、

「エブリシング・フロウズ」山田ヒロシじゃね!?と気づいて嬉しくなる爆笑




勤めている会社の先行きの不安。

上司や後輩への不信感。

成績不振や親、クラスメートに対する苛立ち。



どれもこれも、ノックアウトされてしまうほどではないけど

じわじわと息苦しい毎日を送る三人もやもやもやもや



そんな三人が、入れ違うようにして空き部屋で過ごし

自分以外の誰かの「気配」を感じて癒される



空き部屋は荒れているし配管には妙な菌が繁殖しているが

この空き部屋は三人にとってはサードプレイスなのではないかと思った。



私はサードプレイスはとても大事だと思っている。

自宅や学校・職場だけに癒しがあるとは限らないから。

人生のお守りみたいな感じ



そして物語は、

同じくビルに入っている喫茶店や売店、レンタルロッカーの店主たちとのささやかな交流

たまたま襲った自然災害で、さらにその交流が強まり



ビルのあちこちにサードプレイスが増えたような印象



三人はこのビルを存続させたいと、

ひそかに、しかし強く願うようになる




お互いを知らなかった三人だが、

物語の最後、意外ないきさつで同じ場所に集結し

ビルの行く末を三人で俯瞰することになる流れは美しいと思う




人との軋轢で疲弊することもあれば

人との交流で癒されることもあるのだ



やはり、距離感が大事だよなぁ



サードプレイスは、自分だけでなく子供にも持たせてあげたいなぁと常日頃思う

行き場が限られている子供時代だからなおさら



でも、子供にとってなにが癒しかはよくわからないから難しいキョロキョロ



サードプレイス必要でちゅ