万次郎茶屋
中島たい子

「初夜ーファースト・コンタクトー」
少し未来。
結婚したばかりのミワとヒロト
ヒロトは宇宙船のパイロット
ほとんどの月日を、遠く離れた宇宙で過ごし
ふたりは大半の会話を、通信ごしに行う
距離のある夫婦だということは、はじめからわかりきっていたこと。
時空を超えて離れているふたりにとって、「夫婦」とは?
ミワは宇宙を見上げる
一話目同様
「近未来」や「宇宙」が絡んでいるけれど
なんだか身近な話にも感じるのは
「夫婦」とはなにか?がテーマだから?
ミワとヒロトのように、物理的な距離がなくても
結婚してすぐに「ひとまとまり」になる夫婦はあまりいないのかもしれない
結婚したら、一気にふたりで力を合わせてパワーアップ!なんてことはまずなく
「ひとりとひとりが集まった」という状態から始まって
時には「ひとり+ひとり」よりも離れたり後退したりしながら
「夫婦」の形を構築するのだろう
その形は必ずしも綺麗なものばかりではなく、
いびつなものもあるだろう。
宇宙も人も夫婦も、キレイ事だけではなく、混沌としている。
それでも、宇宙ほど遠く離れた人と触れ合うみたいに
たくさんの偶然をのりこえて集まった二人なのだ