ばにらさま
山本文緒

「子供おばさん」
中学時代の女友達が47歳で亡くなった
お互い独身ということもあり、一時期は親しくしていたこともあったが
7年前に疎遠になっていた
そんな彼女は自分に、形見を託していた。
それは犬。しかも大型犬
彼女の意図とは…?
人はどんなに効率よく生きたとしても、すべてを手にすることはできない
必ずなにかを諦めたり手放したりして生きているし
それに後悔する日もある。
ずっと考えつづけても、答えは出ないままの問いも多い
そして、必ずいつかは死ぬ
亡くなった彼女が、どうして7年も会っていない主人公に犬を託したのかは結局わからない
感謝の気持ちかもしれないし、嫌がらせかもしれない。
それは永遠にわからない
だけど、この話では真実はそれほど重要ではない気がした
主人公の選択した人生、その人生から見える明るい景色がすべてだ。
短編集の最終話にして
あたたかく明るくおおらかな気持ちになった
