より
サイガサマのウイッカーマン
高校生シゲルの住む街では
巨大なカゴでできた人形(ウィッカーマン)の中に、神様(サイガサマ)に
願掛けをするときに「どうしても捧げたくない体の部位」の模型を作って入れて
燃やしてサイガサマに捧げる
という奇妙な祭がある。
模型を作って捧げた体の部位は病気にならないだとか
模型を捧げると願い事が叶うだとか
祭の意義をよくわかっていない住民も多いが
とにかく住民たちは盲目的に「捧げたくない体の部位の模型」を作り、祭の準備をする
シゲルはそんな住民たちがイライラするし、
バラバラになってる自分の家族にも、自分自身にもイライラしている。
なんとも不思議な話だと思った
物語の中心に、「奇祭」があるが
オカルトやサスペンスでなくあくまで日常である。
人々も、祭の意義を理解するしないに関わらず、
ただ楽しく祭の準備をして、そこまでスピリチュアルでなく生活している。
むしろ、主人公シゲルの体感する閉塞感
そちらのほうがよほど不気味でしんどいと感じた
小さな街で、悪意なく噂が流れて
父親はフラフラしているし母親もぼんやりしていて
弟も引きこもって模型作りに没頭しているし
この街を飛び出したいけれど自分にまだ出来ることは少ないしまずお金がない
こんな状況で、サイガサマの祭に盛り上がる周囲を見ると苛立つ
なにかをどうにかしたいけれど、
なにをどうしたらいいかまったくわからない
そしてそれはシゲルだけでなく、どの登場人物も、そう思っているような気がした
たいていの人間が思っているかも
サイガサマとは結局なんなのか。本当になにもしてくれないのか。
娘を健康にするために手放した意識
生徒たちを遭難から守るために消えた頭髪
家族を事故から救うために体から抜け出て行った若さ
そして
祭の夜、シゲルが思わず願った誰かの幸せは叶うのか…?なにと引き換えに…?
偶然か?奇跡か?
あくまでもさりげないけれど、たしかに明るい光が射すラストが良い
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