奥田英朗
向田理髪店
北海道の、かつては炭鉱で栄えた苫沢町。
炭鉱業が衰退してからは、寂れる一方。
過疎の打開策として、映画祭の誘致やレジャー施設建設など
行政はアレコレと策を講じたものの奮わず
過疎化は止まらず、寂れたハコモノが寂しく残る町。
そこで生まれ、ほとんどそこで暮らす理髪店の店主、向田康彦。
地元を盛り上げたい!と突然帰郷する息子
ふるさとを憂い、あきらめ、それでも嫌いになれない人々の物語
以前紹介した「我が家の問題」もそうなんですけど
現実は現実のまま、ご都合主義で簡単にうまくいくことはないけど
登場人物の気持ちの変化や気持ちの有り様で
明るい方に向かうような描き方がとても好きです。
個人的には、中国から嫁が来る話がとても好きです
過疎地の嫁不足
快活だった若者が、狭いコミュニティの圧でいつしか自信を失うこと
過疎地に中国から嫁入りするシステム
それらは変えようのない事実。
だけど、幸せがないわけじゃない。喜びがないわけじゃない。
しかしまあ、最初は頑固者かと思った主人公の康彦は
まわりのみんなの気持ちの調整役として優秀すぎる(笑)
悪い人間ではないものの、ともすれば偏って暴走しがちな町民たちを
うまくおさえ、
互いの真意に寄りそう。
こんな人が一人いると、新しい住民も馴染みやすいだろうなぁ
最終章は凪いだ町に衝撃の事件が起こり、
町民たちそれぞれがそれぞれの信念のもと動きはじめます
この町のため、この町の人のため。
町民たちの気持ちの変化は、この町の未来にどんな影響を与えるのか…!?
ナンダカ故郷ニ帰リタクナリマシタ。
↑ 映画化もされてた!