清水義範の短編集「親亀こけたら」からもう一編
「輝いている何か」
生活に倦んでる主婦・千晶が、とにかくダラダラする様が描かれる短編
現在の生活はダラダラすぎて、輝いてるのは過去に行った海外旅行の話くらい
パチンコ屋で出会った男も…輝いてる何かかな?
ダラダラ暮らし、ズルズルと男とつきあってるうちに…
先の見えない生活の、「輝いてる何か」とは?
とりあえず、千晶のダラダラ感に共感がすごい

子や夫が出払ったあとのいくらでも眠れる脱力感

パッとやれば即終わるような片付けが積み重なって岩のように気が重い

やっつけ仕事でやりすごして、あちこち崩れそうなのを気にしないようにして生活

このへんものすごい共感(笑)



ただ、湿った布団を放置したり、
幼稚園児の子供を一人でコンビニにパシらせたり、浮気中に放置したりはしないな~

湿った布団は気持ち悪いし、子供は結局心配になってきてそれが気疲れするし
そもそも浮気しない。
だって浮気めんどくさそうじゃないですか?
面倒の最たるものって感じ。





千晶みたいな人は、浮気が面倒かどうかという予測自体しないのか。
輝きそう、という直感だけで動く感じ。
でもね、結局こういうストーリーって破滅して終わりって感じかと思いきや
後半の急な話のまとまりかたがスゴイ
したたかでつおい女じゃ

そして、あんなにダラダラとやる気もなくズルズルと浮気もしてる千晶の
「輝いてる何か」は、
新しい場所で家族との新しい生活★
ってとこに落ち着くのがなんだか滑稽で笑えた。
あんなにダラダラズルズルしてたのに
いざとなったら現実の中にちゃっかり「輝き
」なんて見出だしちゃってて。

イヤーなにより怖いのがですね
こういう女性の賢さ?ズルさ?だらしなさ?ご都合主義?みたいなのを
冷静~に、淡々~と描かれてるところです

恐るべし清水義範!