令和5年12月21日
小学生3年生になった頃、友達に誘われてそろばんを
習い始めました。そろばん塾は自宅から自転車で15分位の
ちょっと離れたところにありました。
5年生頃からは塾のそろばん選手に抜擢されて各地の
競技大会に出場するようになりました。
そんなある夏の日、地方大会遠征の為、選手は朝早く
塾に集合してから一緒に大会に行く事になりました。
その日は生憎激しい雨が降っていました。出かける間際
になって急に母親が「塾迄一緒に行くよ」と言い出しました。
当時の母親は、朝から晩まで父親が経営していた町工場を
手伝いながら、6人の子育てで手一杯の生活を送って
いました。
そんな母親が一緒に行くと言い出した時は、びっくりして
しまいました。そして、強い雨のなか二人で大きな傘を
差しながらただ無言で塾まで歩きました。
あの無言で雨の中を一緒に歩いた母親の姿は、きっと
「頑張れ」という私への精一杯のエールだったのだと
気づいたのは大分後になってからのことでした。