令和4年1月31日
ある日の帰りの電車は、4人がけのボックス席でした。
私の隣りの席に座っていたお酒の匂いのするおじさんが、
いきなり自分の前の席に座っていた女の子に話しかけたのです。
“それ、なかなかきれいだね”。おじさんが声をかけたのは、
二十歳ぐらいの女の子でした。その子が手に持っていた
スマホのストラップに羽根飾りみたいなものが付いていて、
その羽根飾りに対する感想を述べたらしいのです。
いきなり声をかけられた女性は、全く無視するのも悪いと
思ったのか、“あ、はい …… ”と、殆ど消え入りそうな声で
応えていました。
その女性は、更に図々しく話しかけようとするおじさんに、
煩わしを感じたのか、次の駅でサッサと降りて行ってしまいました。
おじさんは、降りていくその女性の後姿を、ただ残念そうに
見守っていました。