かわら版 No.1422 『熟慮』
パリ五輪が11日に閉幕しました。連日の日本勢のメダルラッシュに沸いた大会でしたが、私は勝者の笑顔よりも打ちひしがれた敗者の姿が強く印象に残りました。
その筆頭は柔道100キロ超級の斉藤立選手です。斉藤選手は個人戦の準決勝で敗退し、3位決定戦でも敗れました。混合団体戦でも3敗しました。1つの五輪大会で、5回も負けた日本人柔道家を見たことがありません。五輪2連覇を果たした亡父・斉藤仁さんも、天国で苦笑しているでしょう。
大きな挫折を経験した斉藤立選手の今後を、私はしっかりと見守っていこうと決意しました。今年5月20日(奇しくも私の誕生日)に生誕100年を迎えた書家・詩人の相田みつをに次のような詩があります。
「柔道の基本は受身 受身とはころぶ練習 まける練習 人前で恥をさらす稽古 受け身が身につけば達人 まけることの尊さがわかるから」
偉大な父・斉藤仁さんも絶対王者・山下泰裕さんには勝てませんでした。まけることの尊さを誰よりも痛切に思い知った斉藤立選手が、フランスの絶対王者リネールを倒す日が必ず来ると信じています。
私も2012年12月の総選挙で、故安倍晋三総裁率いる自由民主党に1本負けしました。安倍元総理に対する追悼演説で「勝ちっ放しはないでしょう。安倍さん」と語りましたが、いまだ自民党にリベンジを果たしていません。
来たる解散・総選挙は、自民党を単独過半数割れに追い込む絶好のチャンスです。だからこそ、立憲民主党代表選挙(9月7日~9月23日)を政権とりの弾みにしなければなりません。そのためには、自民党総裁選挙に埋没しないよう、女性や若手による活発な論戦を期待していました。私の出馬を求める声もありましたが、「『昔の名前で出ています』じゃあいけない」と、固辞し続けてきました。
ところが、8月19日、立憲民主党千葉県連所属の衆参国会議員、次期衆院選候補予定者、県議や市議の地方議員団から代表選出馬の要請がありました。長年にわたり苦楽を共にしてきた同志たちの思いは、重く受け止めなければなりません。
20日~22日は講演等で台湾を訪問しました。訪台して台湾海峡の平和と安定に強い危機感を抱くとともに、改めて外交努力の重要性を認識しました。
23日は衆院財務金融委員会で閉会中審査が開催され、委員として出席しました。帰国直後でしたので質問はできませんでしたが、鈴木財務大臣や植田日銀総裁には質したいことがありました。株価や為替の乱高下は、相場に劣らぬ政府・日銀の不安定な姿勢が原因ではないかと…。
外交、経済、地震・台風への危機管理などを考えると、次の党代表は刷新感よりも安定感が求められているのかもしれません。熟慮したいと思います。