かわら版 No.1419 『電気・ガス・ガソリン代補助』 | 野田よしひこの オフィシャルブログ「『かわら版』+」Powered by Ameba

かわら版 No.1419 『電気・ガス・ガソリン代補助』

  連日厳しい暑さが続いています。気温35度以上を「猛暑日」といいますが、暦の上で「大暑」にあたる7月22日には、全国288地点で猛暑日を記録しました。まさに大いに暑い日になりました。


  体温超えの危険な暑さとなる猛暑日が続くと、熱中症による救急車の出動要請も大きく増加します。熱中症アラートも全国各地で発令されています。


  最高気温が40度以上になると「酷暑日」と呼ぶそうです。7月7日、静岡市で40・0度と酷暑日が観測されました。酷暑日に肉薄した気温も、連日各地で記録されています。ほとんどわが家のお風呂の設定温度と同じです。


  岸田文雄総理大臣は6月21日、「酷暑乗り切り緊急支援」として8月・9月・10月分の3か月について、電気・ガス料金補助を行うと記者会見しました。8月と9月は電気・ガス合わせて約2100円、10月は約1300円負担が抑えられるそうです。


  電気・ガス代への補助は政府が2023年1月の使用分から始めた物価対策で、支援額の幅を段階的に減らしながら今年5月分で終了していました。その補助が唐突に再開されることになったのです。与党内の議論を踏まえた形跡はなく、霞が関も寝耳に水だったようです。


  酷暑乗り切り支援は、必要な政策だと思います。物価高が続く中で電気代を抑えようとエアコン利用を控えて熱中症になれば、命を落としかねません。それならば災害級の暑さが続いた7月は、なぜ対象にならなかったのでしょうか。


  6月から実施の定額減税の評価が低かったので、9月の自民党総裁選やその後の解散・総選挙に向け、支持率アップを狙ったのでしょう。岸田総理の定番となった場当たり的・思いつきの政策判断です。


  生活困窮者に対する支援は確かに必要ですが、電気・ガス代への補助金は一律支援であり、富裕者や業績好調な企業も支援の対象になります。自ずと省エネ努力を怠るでしょう。時代の要請である脱炭素化を妨げることにもなります。


  原油価格の高騰に対する「激変緩和措置」として2022年1月から始まったガソリンや灯油への補助金も、少なくとも年内まで3年間は続きます。他の先進国も緊急対策として補助金を導入しましたが、いまも続けているのは日本ぐらいです。


  電気・ガス・ガソリンの補助に3年で計10兆円規模の予算が投入され、出口が見えないまま巨額な財政負担が積み上がっています。深い洞察もなくバラマキを続ける余裕などないはずですが…。


  真に支援が必要な層に的を絞り、スピーディーに給付する仕組みづくりこそ急務です。