かわら版 No.1415 『信なくば立たず』 | 野田よしひこの オフィシャルブログ「『かわら版』+」Powered by Ameba

かわら版 No.1415 『信なくば立たず』

  孔子は政治を行う上で大切なものとして、兵、食、信の3つを挙げ、その中で最も重要なのが信、国民からの信頼であると説きました。「信なくば立たず」。政治は国民の信頼なくして成り立たないと…。信なくば立たずは岸田総理も多用する言葉ですが、失墜した信頼を取り戻せないまま、政治が成り立たない現実が生まれつつあります。


  1人当たり所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が減税される「定額減税」が、6月から実施されています。物価が上がり続け実質賃金が下がり続けている中、本来ならば減税は歓迎される政策です。ところが、世論調査によると定額減税を「評価しない」が約6割に上り、「評価する」を圧倒しています。


  物価高対策も少子化対策も外交政策も経済政策も、全て国民の信頼がなければ絵に描いた餅になります。国民の信頼を得て物事を前に進める力を、政府・自民党はすっかり失ってしまいました。その理由は3つあります。


  第1は、裏金事件を起こしたことです。岸田総理は「一部の派閥の政治資金に関わる問題によって…」と、事態を矮小化して乗り切ろうとしました。しかし、自民党衆参国会議員の約4分の1にあたる85名もの議員が裏金議員でした。


  しかも、単なる政治とカネを巡る不祥事ではありません。政治資金としてきちんと使い途を明らかにできないならば、そのカネは所得とみなすしかありません。領収書がないのなら、税務署に行って税金を払うのが世間の常識です。


  しかし、1人も修正申告しませんでした。もはや、裏金事件というよりも脱税事件とみなすべきです。税金の使い途を決める国会が脱税集団の巣窟になっています。インボイス等で1円たりとも税逃れできない国民の怒りを、総理も自民党も分かっていません。


  第2は、実態解明を怠ったことです。起訴された3人を除く82人の裏金議員が、衆参の政治倫理審査会に出席するよう要求されました。しかし、73人は出席拒否。説明責任を果たすことから逃げました。出席して弁明した安倍派幹部らもウソをついていたとしか思えません。


  安倍派の会計責任者が6月18日、安倍元総理がキックバックをやめるよう指示していたにもかかわらず、元総理の死後に再開した経緯を法廷で証言しました。ある幹部議員の提案を受け、塩谷、下村、西村、世耕による幹部会合で再開を決定したとの由。


  安倍元総理の肖像画が掲げられた委員会室で開催された政倫審で、彼らは「私は知らない」「関係していない」と、ウソをつき続けたことになります。金の切れ目が縁の切れ目なのでしょう。元総理も草葉の陰で泣いていることでしょう。


  第3は、政治資金規正法改正案をざる法にしたことです。今まで取り上げてきたことなので今号では詳述しません。要は反省していないということです。投票行動で猛省を促すしかありません。