人生には三つの坂がある。

「上り坂」「下り坂」「まさか」だ。

 

 

これは、一時期よく使われていた

結婚式スピーチの常套句だが、

 

今回はその「まさか」という言葉を、

はるばる訪れた小田原でリアルに口にした日の話。

 

 

 

 

 

 

遡ること一ヶ月前。

私は家族総出で、石川県に居た。

 

かねてから金沢に行きたいと夢見ていたのだが、

それが叶ったのだ。

 

 

 

私は旅先で、

必ず神社仏閣系も押さえるのだが、

 

この時も例に漏れず、

金沢への道すがらにある神社、

日本三大金運神社と称される

「金劔宮」へと参った。

 

 

金劔宮は、以前、

どなたかのブログでビジュアルを拝見して以来

気になっていた場所。

 

本殿がガラス張りで囲まれているお姿が、

印象に残っていたのだ。

 

 

それがたまたま、

私の目的地のすぐ側に鎮座していらっしゃったので、

もはやこれは行かない理由が見つからないと、

朝一番で向かった。

 

 

 

無事、清々しい参拝を済ませ、

夫が敷地内にある『天の真名井』の中でイモリを見つけたので、

娘と一緒に「かわいいね〜」と眺めていると、

 


明らかにお金を持っていそうな

ギラッギラのオジサマ2人が近づいて来るではないか。

 

 

 

ギ「何か居るんですか?」

 

私「イモリがいるんですよ〜、ほら、そこに」

 

ギ「ほー、ほんとだ!珍しい」

 

 

 

するとなぜか、

そのオジサマがかなり個人的なお話をし始める。

 

 


※ここからは会話をほぼ再現

 

ギ「ここはほんとにご利益があるよ」

 

私「そうなんですね」

 

ギ「2年前、病気だったのが治ったからね」

 

私「病気ですか!」

 

ギ「そう。貧乏病。」

 

私「な、なんと、、!」

 

ギ「ここへ来てから、2年で年収がいくらになったと思う?」

 

私「うーん、2億くらいですか。」

 

ギ「そんなには無いわ!2000万」

 

私「おお!2000万!凄いご利益ですね!」

 

ギ「ここと、もう一ヶ所、山梨の池に行くと良いよ、富士山のふもとの、八個池がある所・・・

 

 

そう言いながらおもむろに、

自身のスマホを開いて写真を見せてくれるオジサマ。

 

 

「ここの、えーと名前なんだったかな、

まぁ山梨、富士山、八個の池とかで検索すれば出でくるよ。

ほら、こんな感じの綺麗な池が8個あって

すごいパワーがある所だからさ〜」

 

 

 

いやまさか、

初対面のオジサマの年収とプチ旅行の思い出写真を、

旅先の神社で拝聴&拝見するとは、

想像だにしない展開。

 

 

石川県で出会ったから、

山梨をお薦めしてくれたのかもしれないが、

広島からはるばる行っていた私は、

 

『とはいえ、ちょっと山梨は遠いからなかなか行けないだろうな』

と、思いながら聞いていた。

 

 

 

 

 

ところが。

 

 

10月第1週目の週末に、

東京へと行く用事があり、

 

「せっかく東京行くんだから一泊して来たら?」

と、夫も言ってくれたので、

 どこへ行こうかと模索している時、

 

ふと、そのオジサマのことを思い出したのだ。

 

 

 

「あれ?

山梨って、東京のついでに寄れるんじゃ?」

※個人の感覚です

 

 

彼の言った通り、

「富士山、八個の池」で検索をかけてみると、

「忍野八海」という場所がヒット。

 

地図を見る限り、

少し足を伸ばせば行ける距離感。

※個人の感覚です

 

 

 

何を隠そう、

私はかつて初対面のオジサマに人生を変えてもらった経験があるので、

オジサマ信仰(?)は強い方。

 

 

 

わずか1ヶ月で、

行けないだろうと思っていた場所に行けるチャンスが訪れたのに、

行かない理由などどこにも無い。

 

行きたかった場所で次の目的地を示されたのに、

行かない理由も無い。

 

 

半ば必然的に、

行き先を、忍野八海へとシフトした。

 

 

 

 

目的地をそこに決めた理由は、

もう1つあった。

 

その、忍野八海のすぐ近くに、

金劒宮と並んで日本三大金運神社と称される、

「新屋山神社」なる場所があったのだ。

 

 

せっかくなので、

三大繋がりのそちらも併せて訪れたいと、

検索を重ねる。

 

 

 

 

すると、新屋山神社は、

特に「奥宮」を参ると良いと書いてあるのだが、

どうやら車でしか行けないような場所とのこと。

 

その他様々な事情を考慮して、

小田原でレンタカーを借りることに決定し、

ネットでポチリ。

 

雨降る早朝の広島を旅立った。

 

 

 

 

 

 

ところが、である。

 

 

たどり着いた小田原駅北口にある某レンタカー屋で、

 

「予約した者です〜」

と免許証を提出したところ、

 

「あのー、免許更新ってされてないですよね?」

と、店員さん。

 

 

「あぁ、そういえば更新しろってハガキ来てたから行かなきゃとは思ってたところで・・・

 

「これ、もう、切れてますよ?」

 

 

 

 

 

 

「・・・え?

ま、まさか・・・・・・


※「まさか」ここで登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだしまった更新忘れとったーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

そう。

私の誕生日は9月4日。

この日の日付は、10月5日。

 

なんと、ぎりぎり1日、

更新期限をはみ出していたのだ。

 

 

 

 

私「えっと、これって、借りられないってことですよね?」

 

店員さん「そうですね、無免許になるので」

 

私「そうすると当日なのでキャンセル料とか・・・」

 

店員さん「や、もうそれは、状況が状況なので、いいですよ」

 

私「神ーー!あ、いや、ほんと、すみませんでした・・」

 

 

 

想像の域を超えた失態。

「まさか」の守備範囲もはみ出気味である。


 

そうして、

予約したのに借りられず業務妨害ですみませんという思いとともに、

旅の計画は白紙へと戻った。

 

 

 

レンタカーを借りる際に住所までばっちり記載していたので、

しばらくあの店舗内も、

「あの人広島からはるばるきたのにレンタカー借りれなくて可哀想」

と、話題沸騰だったであろう。

 

お金の代わりに話題を提供し、お店を後にした。

 

 

 

 

 

それにしてもどうしよう。

ひたすらスマホで再検索を始める。

 

 

「小田原→忍野八海」で調べると、

どうやっても東京まで行ってからバスに乗れと言う指示が出て来て、

しかも時間は4時間近くかかると出る。

 

 

遠!そんなことある??

てか、現代において目的地に行けないとかある?

 

 

 

かくしきれない動揺を胸に、

半ば諦めムードへと突入した私は、

妥協案を採択する。

 

 

「そうだ、箱根に行こう。

近いし確実にすぐ行けて観光楽しめる箱根へ。」

 

 

箱根はすぐそこ。

遠くの親戚より近くの他人だ。(解釈違い)

近くにある確実に行ける場所にしよう。

 

箱根へと旅立つ為の紙切れを購入し、

いざ、改札へ。

 

 

 

 

「箱根も寄ろうと思ってたし。

行きたいとこあったし。

美術館あって楽しそうだったし。」

 

そんないいわけを唱えながらホームに着くと、

箱根行きの電車が目の前で発車。

 

すこしばかり待つことになったので、

チラリとホームの向かい側を見ると、

 

行き先に「御殿場」の文字が見えた。

 

 

 

 

「・・・あれ?御殿場って、

忍野八海の最寄り駅じゃなかったっけ?」

 

 

 

御殿場は、当初レンタカーを借りる

候補に挙がっていた場所だったので、

何度もその字を見ていたのだ。

 

 

 

 

もしかして、

これに乗ったら忍野八海に行けるのでは?

 

希望が差し込んだ瞬間、

あのギラッギラのオジサマの顔が甦る。

 


 

 

 

そうだった、私、

忍野八海に行く為に山梨来たんだった!!

 

 

 

 

今日行かなかったら、

もう一生行かない可能性だってある。

 

 

 

だとしたら・・・今でしょ!!

 

私の心の中の林修氏も、

肩をたたきそう頷く。

 

 

 

このご時世、スマホも持っているのに、

目的地に辿り着けないわけがない。

ネットで出てこなくたって、絶対に道はあるはず!

 

 

そうして私は、

箱根行きのチケットを手に、

反対方面である御殿場方面の列車に飛び込んだのだ。

 

 

 

 

 

移動時間を利用して、

必死の検索を続ける。

 

すると、

御殿場まで行けば、

忍野八海を経由するバスが出ていることが判明。

 

 

 

「やっぱり行けるじゃん!」

 

 

ただ単に、

最初の段階での調べ不足なだけではあったが、

喧嘩して家出していた妻が帰って来た夫の気分で、

目的地との再会にプチ興奮。


 

そしてなんと、

出口で切符の乗り越し清算しようとすると、

金額ピッタリで追加金いらずで外へ出られるではないか。

 

 

 

あぁ、なんだ、

全て予定通りだったのか。

 

神の采配に妙に納得しながら、

電車とバスを乗り継いだ。

(全部ただのうっかりだろ、なんて声は聞こえない)

 

 

 

 

まぁ、そんなわけで、

無事忍野八海に到着。

 

 

二つ目の目的地の新屋山神社は、

奥宮へこそ辿り着けなかったが、

 

本宮へは迷うこと無く辿り着けて、

最高の冒険を満喫し、東京へと駒を進めた。

 

 

忍野八海 出口池

忍野八海 底なし池

出口池のそばでしゃがんだら

五つ葉2個、四つ葉7個見つけて驚き!

新屋山神社

 

 

 

後日談だが、

 

通常は免許更新を忘れてしまうと

ゴールド免許剥奪で最初から始めなければならないらしいのだが、

 

広島豪雨災害の配慮があり、

現在は一時的に更新期限切れを免除してくださっていて、

 

なんと無事、ゴールド免許を手にできたのだ。

 

 

 

この日レンタカーを借りようとしなければ

うっかり無免許運転していた可能性も高かった上に、

 

公共交通機関を利用したおかげで、

忍野八海界隈からバスでストレートに東京まで行けた。

 

もはや全てが有り難い出来事として、

思い出に変わった。

 

 


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「この本には、知りたいことの全てが載っていました」
 

旅、思春期、大切な人の死、恋愛、

結婚、仕事、子育てなど、
33歳の著者が赤裸裸に告白する、人生の出来事。
著者の経験や感情を通して新たな感性を示す、

哲学的エッセイです。


「私」という鏡は、
どんな「貴方」を映し出せるだろうか。


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人前で読まない事をおススメ致します !!

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