最近はもっぱらジャンクカートリッジの針継ぎ修理にハマっている。

 

その中でもDL-103というカートリッジはとても針のかけ継ぎがしやすい構造なので、ジャンクのDL-103がヤフオクなどに出ているとついウォッチリストに入れてしまうし、なんなら町のリサイクルショップなどに立ち寄ってレコードプレイヤーのコーナーなどを回っているときに「ジャンク」で出ているものを無意識に探してしまう。

 

今回も、そんな感じでいつものリサイクルショップを見回っていたら、針折れのDL-103がぽつんとジャンクで転がっていた。お値段1,640円…どれどれ?と近くで確認してみたらまぁ見事に針が無い。しかし、ここまでは想定内。

 

想定外だったことは、なんと艶有りボディーの初期型のDL-103だったことである!! しかもオリジナルのケースらしきものまで付属している。これは買いだろう!手に取ってすぐさまレジに向かった。

 

こんなケースの中に、シェルに付いたままの状態で転がっていた。針は最初から失われているのでそこは問題ないが、コイルの導通が無事で有ることを祈りゲット。

 

恐らく1970年代初期の市販間もないころのモノだろう…。

 

早速、手持ちのビクターの新品交換針を1個潰してスタイラスをかぶせてかけ継ぎ。

ダイヤモンドの接合丸針だと思うけど、新品針なので気持ちいい。いつものセメダイン3000シリーズの瞬間接着剤(ゼリー状)を使いカンチレバーを接着。今回もチップの左右の傾きを出さないよう慎重に水平を出した。強度もちゃんと出た。

 

早速、DP-1800に取り付けて…針圧は2.5gで試聴してみる。

音が出てくるかドキドキの瞬間である 笑

 

はたして、無事にいい音が出てきた!!(*´▽`*)

 

今回かけたのはMARI NAKAMOTO ⅢのLP…2024年にバーニー・グランドマンのリマスターとカッティングにて再発されたものだ。

 

左右のバランスもいいし音像の定位も申し分ない。厚みのある低域に支えられてなかなかいい音。健全なDL-103の音と同じに聞こえる。多分今回は今ででいちばんいい音が出ている気がする。。。

 

早速確かめてみようと、健全な現行DL-103(DL-A110)と比較試聴してみることにした。同一プレイヤーで、同じ針圧2.5g、フォノイコも同じもので同じレコードを聴く…。と言っても、DLーA110のほうは専用設計のシェルにマウントされてるのに対し、初期型は安い汎用シェル…そのあたりの違いは音に多少は影響するので、完璧に条件を揃えることができないので参考程度に。。。

 

やはり、さすがにオリジナル針の専用シェルに入れられたフレッシュなDL-103の音は安心して聞いていられる音だ。思いのほか解像度も結構高い。

 

比較試聴してもその差はごく僅か。むしろ、声の実在感というか、リアリティーは針のかけ継ぎをした初期型DL-103のほうが薄皮一枚上回っているようにさえ聞こえる。針継ぎ品とは言え音質的にはかなり健闘できていることが分かった!今まで自分で修理したものの中でいちばんいい音かも。

 

この音ならこのまえ修理した、90°に折れたオリジナル針を修正接着した個体よりもいい音かもしれない。カンチレバーの太さもスタイラスチップも違うのにここまで音質が似てくるのはやはり中の構造が音に与える影響がそれだけ大きいという事だろう。

 

暫く楽しめそう。