「高齢になって妻を亡くした夫は元気をなくすが、夫を亡くした妻は元気になる」と、よく言われます。

 

 

自分がその立場になるまでは「ふーん」ぐらいにしか思っていませんでしたが、ここ数年、自分や周囲の高齢女性を観察して気づいたことがあるので、それをちょっと書きますね。

 

 

4年の闘病を経て、2年前に夫を亡くした一寡婦のわたしから見た「なぜ、元気になるのか」です。

 

 

ひとつめは、だれもが考えつくことだと思いますが、「自分が一番、生活しやすいように生活できる楽さ」を知るから。

 

 

なんだかんだいって夫に気を遣って暮らしている妻が多いので、悲しみにくれ、途方にくれる期間が過ぎると「自分が一番、生活しやすいように生活する楽さ」をじわじわと感じはじめるのです。

 

 

それは、ごはんの支度、などといった労働面だけでなく、家の物の配置(自分の服をどこに入れるか、下着をどこに入れるかなど)にも表れます。わたしは、ある日、「夫のものを一番取りやすい場所に置いていた」ことに気づきました。それだけでなく、夫のものを一番上に置く、というように「夫を立てる」行動が物の収納にもあらわれていたことに気づいたのです。(古い女ですねー)

 

 

そんなふうにあたりまえになってしまって気づいていない細かい配慮に暮らしの全域が覆われていることを知ります。その気遣いがなくなるのです。

 

 

元気になる理由には、さらに、もう二つあると思います。

 

 

ひとつは、持ち家や貯蓄、年金など人によって多寡はありますが、「多少なりとも生活のインフラが完成していて、教育など大きな出費がないこと」

 

 

もうひとつは、「だれに相談することなく、自分でお金を使える」ようになることです

 

 

どちらも金銭のことですが、2番めの「だれに相談することなく、自分でお金を使える」ようになることが「夫を亡くした高齢女性」を元気にしている最大要因ではないかとさえ、わたしは思っています。

 

 

夫婦生活においては、たとえ自分も仕事をしていても「自分だけで決めて自分で買う」範囲はそれほど大きくありません。家電や大型家具などは、夫婦で相談することがほとんどじゃないでしょうか。

 

 

何かを買うときに必ず「夫に相談してから」と考えるのが習慣になっている人もいるでしょう。自分の服や小物さえも「自分一人の判断では買えない」、もしくは「遠慮して買わないことにしている」人もいるかもしれません。

 

 

それが、すべて「自分で決めて、自分でお金を使う」ようになる。さらに「自分の思うように家計をコントロールできる」ようになる。自分以外の無駄遣いに悩まなくていいようになるのです。節約も思いのまま。

 

 

このことが、精神の自由を決定づける。

 

 

こういうことを書くと、「あんた、ダンナさんを亡くしてうれしいの?寂しくないの?」と言われそうな気がしてきましたが、それとこれとは別です。夫の死によって人生から奪われたものが、ともに生きる喜びなら、夫の死によって与えられたものが上記の感覚なのです(それがイコール幸せだとは言っていませんよ。今回は、情緒は切り離して書いています。誤解なきよう)

 

 

ここまで読んでくださった方のなかにも、残念ながらわたしと同じように、いつか思わぬときに夫を亡くす人が出てくるかもしれません。

 

 

余計なことかもしれませんが、そのときに向けたアドバイスを少し。

 

 

混乱のなかで、次々に押し寄せる決断を、できるだけ自分で行い、事務的手続きも自分で対処することをオススメします。自分のまわりに「よくわからないこと」を作らないためです。わからないことは、イコール不安と弱みになります。

 

 

決断には、「心の筋力」が必要です。平穏な日々のなかでその筋力が多少、落ちてしまっているかもしれません。つらくても、自分で目の前のことを一つひとつ処理して「決断力」という筋力をつけたほうがよいです。

 

 

たとえ、子どもたちが成長してたのもしくなっていてもです。いや、そうなっていればこそ、主導権を握る努力をしてください。高齢になればなるほど親子は、心配や思いやりというカタチをした「親の人生の主導権争い」に変わっていくのですから。まだまだ踏ん張って自分の領土を守り抜きましょう。(もちろん、相談するのはOK。でも、ここで今後の関係の基本が決まっていくという意識はもっていたほうがいいかも)

 

 

最近は、あまりいないかもしれませんが、家父長制の慣わしにしたがって「長男」に任せるのはおすすめしません。気を遣う相手が「夫」から「長男」に変わるだけとなり自由が遠のきます。(もう、だれも立てなくていいんだから。立てるのは、自分だけ)

 

 

自分の通帳も夫の通帳も、夫の生命保険証もその手にしっかりと握って。「どれどれ?おかあさん?」なんてのぞかせて、子どもといっしょにお金の算段をしないように。あなたの自由を奪うとっかかりをゆめゆめ与えてはなりませんぞ。

 

 

わたしたちは十分尽くしてきた。
孤独を引き受けるときには、自由も一緒に手に入れて。

 

 

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超高級老人ホーム。そこには、「かしづかれる老後」がありました。

 

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  前記事にコメント、ありがとうございます。

 

■アメちゃんさん

豆乳寒天!!作る、作りたい!

ココアあります。ヘルシーでいいなああ。

わたしは、タッパーで作っているのでいつも

切る時少し変になってあまり映えません。

プリンカップの再利用、SDGs!

 

■sakae0325さん

素朴な味わいですよねえー笑

九州にいきなり団子というお芋とあんこの素朴なお菓子があるんですが

作りたいけど、ちょっと難しそーー。

素朴なおやつ、いいですよねー