2週間の滞在を経て、姉が長崎に帰りました。着替えを宅配便で送りたいというので小さな箱に詰めて抱えて、近所の駅までいっしょに歩きました。

 

 

姉は、大阪で買った新しいコートを着ています。ショート丈のきれいなベージュで小柄な姉によく似合っている。後頭部にのっけた部分ウィッグも上出来です。

 

 

「いい天気でよかったねえ」「風邪もなくてよかった。飛行機、揺れんばい」と話しながら、6、7分の距離を歩きました。

 

 

改札で見送って、荷物を送って帰ると、家には喜んで迎えるスーだけ。部屋着とひざ掛けで着ぶくれてソファにちょこんと座ってスマホで大谷選手のニュースを見る姉はいません。

 

 

ああ。帰っちゃったな。もうちょっと、優しくすればよかったな。暮らしのリズムも見る番組も食べものも全部違うから、気を遣っただろうなと思いました。

 

 

ほっとする反面、どうしてこんなにすべて早く過ぎ去るのかなあと思います。

 

 

夕方、スーと散歩していたら、「寂しさ」が発動して、あらゆる登場人物が脳内の風景のなかに現れます。父、母、夫、そしてさっき帰った姉。

 

 

胸がキューンとするんですが、でも、この感覚が嫌いじゃないのです。

 

 

「いっしょにいる」のではないけれど、やっぱり「いっしょにいる」。
「いっしょにいない」けど、「いっしょにいる」

 

 

この懐かしくてたまらないような感覚が、自分の人生を慈しむことなのだろうなあと思います。

 

 

寂しさは、贅沢なものだな。

 

 

と思います。

 

 

つねに思い出す人がいて、その思い出が温かなものだったら、こんなに幸せなことはありません。

 

 

まあ、そんな具合で、「いっしょにいる」スーと、「いっしょにいない」夫や父母と、「いっしょに」歩いて帰ってきました。

 

 

この一年、高望みせず、眼の前のことにできるだけ落ち着いて向き合って歩んでいこう。

 

 

散歩から帰ると「帰って、握り寿司ば食べよるー」と姉ちゃんから電話がありました。あっけらかんとしたものでした。

 

 

よき。

 

 

 

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