何の話題だったか忘れてしまいましたが、姉が、加齢のせいでできないことに直面したとき、情けなさのあまり自分で自分の頭をコツコツ叩くことがあると言っていました。姉は、わたしより一回り上、70代前半です。

 

 

なるほど、そういうこともあるのか、と思いながら、まあ、しかし、もっとおっとりやり過ごしていいんじゃないのーーと笑ったものでした。

 

 

が。

 

 

人間、何事も後になってわかるものです。

 

 

一昨日の夜、たまたま娘と同じ時間に寝ることになり、二人して寝室に向かいました。

 

 

廊下の右が娘の部屋、左がわたしの部屋です。長い廊下でもないので明かりもつけずに歩いて「おやすみー」と娘が自室に入り、わたしも自分の部屋に入ろうとした瞬間、ゴン!!

 

 

上唇に猛烈な痛みが走りました。

 

 

いったーーーー!

 

 

上唇をかばうように覆って前かがみになり、うめきながら部屋に入ります。あまりに突然な事態の急変、奈落へ墜落したような衝撃、その激しい精神的ショックが相まって、誰かのせいにしたいような、何でもいいから当たり散らかしたいような、自分の運命を呪いたいような、つまりは非常に不機嫌になりました。

 

 

娘が部屋から「どうしたん?」とノンキに聞くのも、わたしばかりが気を遣って生活しているような気がしてくるし、心配そうな声だけでも出したらどうかとも思うし、なんだかんだと日ごろの不満をぶちまけたいような気がするしで腹立たしい。状況の説明なんかするもんか。「いたー」としか言いません。ふん。

 

 

なにもかも、キライだ。いやだ。

 

 

なぜ、こんなことになったのか。

 

 

いつもは大きく開け放っているか、閉まっているドアが、微妙な角度で開いていて、そのドアの一辺に向けて大きく踏み出し、唇をぶつけてしまったのです。

 

 

娘といっしょに歩いていなければ、もっと違う角度で部屋に入れたかもしれん。ふん。

 

 

そして昨日です。

 

 

犬の散歩が終わると、つねに必ず、トイレ待ったなし。少しの肌寒さと坂道を駆け下りる衝撃が相まって膀胱への刺激となっているのでしょう。「あーーー。トイレ、トイレ」と身もだえしています。

 

 

しかし、かすかに尿意が遠のく瞬間がくると油断してしまう。犬のリードやハーネスを片付けてしまおう、ついでに自分もジャケットを脱いでおこう、ついでにハンガーにもかけておこう。

 

 

つい「ここまでやってしまいたい」を優先してしまうのです。

 

 

昨日も欲をかき、ジャケットをハンガーにかけてからトイレに行こうと、下腹部に切羽詰まった状況をかかえたまま、クローゼットのハンガーに手を伸ばしました。しかし本質的に非常に焦っているため、いつもより乱暴かつ強引にハンガーに触れたのでしょうね。わりに分厚めのハンガーが大揺れしながら凶器となって飛び出し、上唇を直撃。昨夜、ドアにぶつけて唇の内側がちょっと切れてしまった、あの場所を直撃したのです。

 

 

いったーーーー!

 

 

もう、どうして?どうして?どうしてよ?

 

 

次の瞬間、どこにもぶつけようのない怒りと泣きたいような情けなさを床にぶつけました。ハンガーなんか折れてしまえの勢いで床をゴン!ゴン!と強く殴ります。カーペットで音がしないのをいいことに強く強く打ちつけました。姉は頭、妹のわたしは床。

 

 

何が腹立たしいのか。何が情けないのか。「こんなに尿意が切羽詰まってしまうようになった自分」です。

 

 

この、なんかわからんけどやりたいことの優先順位まで変えさせる身体的状況と、それに振り回されるばかりか痛い思いまでしていることが受け入れがたい!つまりは、加齢が憎い!腹立つ!

 

 

・・・そういうわけで姉ちゃんの言葉の意味が、初めてわかりました。

 

 

まあ、散歩から帰ったら、何より先にトイレに行ってすっきりして落ち着いて片付ければいいんですけどね。

 

 

でも、これまで何事もなくできていたことの順番を変えなくちゃいけないのも、なんか釈然としない。

 

 

これから、こういうことって増えこそすれ、減ることはないんでしょうね。この先にケガとかがありそうな気がするので、まず身体的危機を解決するか、よくよく考えて慎重に行動したいと思います。

 

 

んじゃ、散歩行ってきます

 

最近、読んだ本です

 

 

 

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