夕方、スーと散歩していると急な坂の上に奇妙な歩き方をしている人の姿が見えました。

 

 

不自然にトコトコと小刻みに歩いているので、一瞬、小さな子どもや小さな犬に歩幅を合わせているのかな、ちょっとふざけているのかな、と思いました。でも、何かを連れている様子はありません。

 

 

もしかして、ちょっと変わった人だろうか。

 

 

スーは、すでに警戒モードです。静かに通り過ぎれるかな。スーが怖がって右往左往しないだろうか。わたしもちょっと身構えます。

 

 

少し距離が近づくと、高齢の女性だということがわかりました。両手には、いろいろな柄の複数の袋を下げています。買い物帰りでしょうか。そして、何も連れず一人で歩いているのですが、その歩き方は、足が悪いというより、パーキンソン病を患っていた父が晩年そうだったような「すり足」に近いもの。歩幅がとても小さく、よちよちした歩き方です。

 

 

しかも坂の傾斜が急なため加速がつき、その加速に足がついていけず、オットット…という感じになっています。

 

 

大丈夫だろうか。このまま、平らなところまで歩けるだろうか。

 

 

そう思った瞬間、女性は、バタンと大きく前に倒れました。

 

 

びっくり仰天して「大丈夫ですかあ?」と声をかけますが、まったくの無反応です。ど、どうしよう。

 

 

スーは、さらに警戒しておろおろしています。

 

 

だれもいない。わたしたちだけだ。どうしよう。

 

 

一人なら走って行って起き上がらせようとしますが、この犬を連れていては無理。

 

 

ハタ!と思いつきました。

 

 

すぐそこに、というか、わたしがあと10歩ほど歩いたところに老人ホームのドアがあるのです。ドアホンだってあるでしょう。

 

 

スーを無理やり引っ張って近づくと「スタッフに御用の方は本館のベルを鳴らしてください」と書いてあるけれど、そんなことは構っていられません。

 

 

緊急事態を伝えるべくドアホンを強く押し、「はい」という男性のやや迷惑そうな声に「すみません!この建物の前に女性が倒れています。わたしは犬がいて、助けられません!」と早口で叫びました。

 

 

中年の管理職のような男性が不審な顔で走り出てきて、わたしには目もくれず(それでいい)、女性のもとに駆け寄り「大丈夫ですか」とカラダに手をかけ、「あかん。これは救急車や!」と言い、中のスタッフに「ちょっともう一人、頼む!救急車呼んで!」と指示しています。40代ぐらいのきれいな女性スタッフも飛び出してきて、スーとぶつかりそうになり「おおお」とのけぞります。

 

 

さすがに高齢者対応に慣れた専門家。行動に迷いがありません。倒れた女性は、「家はすぐ、そこやねんけどね」とくぐもった声で言っています。

 

 

人々の右往左往にスーも右往左往。わたしに飛びついては、オロオロしています。もー、ここにいても邪魔なだけだ。勝手ながら、お礼とお詫びを言いつつ、ヘコヘコと立ち去りました。

 

 

わたし、この転倒した女性に、雪の朝に散歩に出て転倒した自分が重なりました。未来の自分を見たみたいだった。

 

 

何でも自分でやろうとがんばるのはいいけど、甘く見たらいかんのです。

 

 

急な坂を下るときの加速を甘く見たらいかん。

 

 

「若々しい」という言葉は、「若いころと同じことをする」ということじゃない。

 

 

「若々しくある」ためには、加齢によるリスクを自ら察知して、これまでのやり方を柔軟に変える必要がある。その勇気と決断をできることがむしろ、若々しさの証だ。

 

 

たとえば、買い物なら、

 

 

■店を変える。道順を変える。

■道具を使う。

(杖、キャリーカートなど歩行をアシストするものなど)

■道具を変える。

(自転車からキャリーカートなど)

■手段を変える。(タクシーを使う、ネットスーパーや宅配を使うなど)

 

 

買い物は宅配にして、外を歩くときは荷物を一切持たないウォーキングにするとか。そういうこと。

 

 

家に帰って「あの坂、スーと駆け降りるときもあるんだよなあ。わたしも滑らないようにしないと」と思ってスニーカーの底を見たら、足の外側部分が完全にすり減っていました。

 

 

■道具を使う。

■道具を変える。

■手段を変える。

 

 

 

 

■道具を手入れする。

 

 

も追加すべし。

 

 

スニーカー、さっそく買いました。

 

 

年をとればとるほどメンテナンスが必要になるといいますが、肌や髪、カラダといった美容面だけでなく、もっと範囲を広げた「自分をとりまくあれこれの安全管理(メンテナンス)」が大事になるのですよね。

 

 

転ばぬ先の安全管理よ。

 

 

犬の散歩は、ランニングシューズ

 

 

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