姪に誘われてミュージカルを観に行きました。ブロードウェイミュージカル「ピピン」。3年前の初演時に読売演劇大賞の優秀女優賞を受賞したCrystal Kay氏と映画「蜜蜂と遠雷」の好演が印象に残っている森崎ウィン氏の主演作品。

 

 

半年以上も前にチケットを取ってもらったきり、すっかり忘れていました。夫の四十九日法要の直後でもあり、ハッと思い出してバタバタと駆け付けた次第です。

 

 

席は、前から6列目ほぼ中央という神席。作品の前知識もなくじっと座っていたら、メインキャストが次々に表れます。中尾ミエさんの姿も見えました。さすが大スター。大きな拍手が響きます。

 

 

中尾さんは、豊かなグレイヘアに余裕の笑顔。スッと伸びた背筋も美しいけれど、なんといっても目立つのは見事な上腕二頭筋です。ノースリーブが似合う!

 

 

森崎ウィン演じるピピンの祖母バーサ役。ヒールを履いて堂々と踊るだけですごいのですが、なんの、なんの、さらにすごい見せ場がありました。屈強な男性のサポートで空中ブランコに乗り、座ったり、揺れたり、逆さまになったりして歌うのです。いいですか。空中ブランコですよ。「76歳~♪」という歌詞も聞こえました。

 

 

76歳で空中ブランコ!アクロバット!それも一発勝負の舞台で。落ちたら終わりの大勝負!想像しただけでブルブル。

 

 

終演後のアフタートークで共演者の愛加あゆさんが「(中尾ミエさんの空中ブランコを)見ているだけで理由もなく涙が出る」と言っていましたが、その通り。私なんか自分のカラダの硬さを痛感しているので76歳で、あの上腕二頭筋で、空中ブランコに乗って歌うって、どれだけの努力なんだと息をのみました。

 

 

劇場内は、ひと際大きな拍手です。この作品の見せ場の一つがこの「祖母の空中ブランコシーン」であり、隠れた主役が中尾ミエ氏なのだと知りました。この役は、ダブルキャストで、もう一人は前田美波里氏。お二方とも見事すぎる上腕二頭筋です。そして美しい。

 

 

常日頃、「もうさあ、普通に年とっていいんじゃない?70代で老いたなあと感じて、80代で本格的に老いたなあと思って、90代になったら元気な人だけ元気でいてくれて、わたしゃ、もう、ヨボヨボになっていいですよってことでいいんじゃない?」と言ってきましたが、舞台から「ヒヨッコのくせに何いってるの!」ピシャッ!と冷たい水をぶっかけられた感じです。

 

 

わたしにはできないよーと思っても(実際、できないんですが)、あの日以来、空中ブランコに息を詰めるように真剣に、必死に立ち向かっていた76歳の姿が何度も浮かびます。中尾さんだってきっと体は硬いのです。いろいろ衰えているのです。ちゃんと怖いんです。少しヨロヨロはするんです。だからこそ、胸を打たれました。

 

 

アフタートークの中尾ミエさんは、とても幸せそうでした。きっと仲のいいカンパニーなんでしょう。Crystal Kayさんも愛加あゆさんも舞台に賭ける情熱が伝ってきてよかった。そして森崎ウィン、すばらしかった。中尾さんの「いくつになっても鍛えられますよ」という言葉に、30代の姪や20代の娘は強く励まされたようです。若い人に届くんだなあ。

 

 

このインタビューに空中ブランコの写真が載っています。「この舞台で、やればできることが分かって。経験したことないことがまだたくさんある。あと何年元気でいられるか分からないけど、もう秒読み段階に入っているから」。そう言うと、一呼吸置いて続けた。

 

 

「何でもやるよ?何でもきな」。

 

 

なにこの、かっこよすぎる、受けて立つ感。

 

 

 

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