月曜にウェブマガジン「Over40」に書いた用事で市役所に行ってきました。

 

 

今まであまり思わなかったけど、「市役所」に入った途端、人はちょっと変わりますね。

 

 

市役所に限らず役所か。村でも、区でも、県でも、府でも、都でも、道でも…なんか、そんな役所に行くと、人は変わる。きっとわたしも変わったと思う。やや、気負う。ごくかすかだけど戦闘態勢になる。

 

 

裸にされるからですかね。納税額も、扶養家族数も、受けている行政サービスも、データはそこにすべてある。裸にされて警戒するから強がる。その強がり方が、人それぞれ。オリジナル。

 

 

市府民税課で番号札を持って待っていたときです。

 

 

60代後半ぐらいの夫婦がやってきました。近所に住んでいるのか、ウォーキング風の格好。男性の短パンから出た足はぐっと引き締まり、日頃から運動していることがわかります。服装もおしゃれ。生活にゆとりがあり、日々を楽しんでいる感じです。

 

 

男性は、番号札もとらず、窓口にグッと身を乗り出すと「一つ聞きたいことがある。あのね」と言って書類をひらひらさせて係を呼び、ノンストップで事情を説明しはじめます。どうやら、すでに年金から住民税が天引きされているのに、また請求が来た…という話のようです。

 

 

「で?どうなの」「ああ、なるほど」という「自分から話しかけたのに、部下の訴えを聞いてやっている」風にいつの間にか会話の主従が変わってしまう不思議な話法。いわゆる「上から目線」というんですかね。退職前は、そこそこの役職にいたのかもしれません。

 

 

その後、国民健康保険課に移動したら、隣で手続きをしていた男性は、「ああ。そうですか。なんかね、使える制度があるみたいなんで、もしね、あるんやったら使おうかと思ってね。その程度の気持ちやったんです。そうですか。これで健診とかできるんですね。わかりました」

 

 

こちらは低姿勢&上機嫌。いそいそと書類をカバンに入れながら、「切羽詰まっていない」感じを出したい風で口が滑らかです。

 

 

わたしはどうかというと、「住民税の申告書を郵送で送ったのに、届いていないと言われて…」と本当は抗議したいけれど、クレイマーになりたくなくて微笑んでいる。でも、暑いなか、やってきたんだから早くやってね…という「何も言わないでニコニコしているからといって舐めないでよ」感が滲み出ていたと思います。

 

 

市府民税課で見かけたウォーキング夫婦の男性のほうも、「いや、俺ね、こんな金額の住民税のことでとやかく言いたくないんだけども、筋を通さないと、いやなんだよね」という「筋」方向で話を進めたかったのではないか。「金」方向でなく。でも、本当は、「金」方向の問題だからこそ暑いなか夫婦でやってきているわけで、それを隠そうとして部下に「筋を問う」みたいな口調になったのではないか。

 

 

それにしても役所で働く人たちは、毎日毎日、ありとあらゆるバージョンの虚勢と警戒心と「舐めんなよ」につきあっているんだなあーー、と改めて思いました。お疲れ様です。

 

 

役所に限らず、人は、なぜ「手続きをするときに気取ってしまう」のでしょう。クレジットカードにサインするときだって、ちょっと気取ってる人多いですよ。あれは、サインという行為のなせる技か。

 

 

いずれにしろ、会社の上司風ウォーキングおじさんも、上機嫌な切羽詰まっていない風おじさんも、ニコニコしてるからといって舐めないでね風おばさん(わたし)も、やっていることは、相手にとってはどうでもいい「一人芝居」。

 

 

そんな芝居、しなくていいですよ…って役所の人は間違いなく思っているな。私なら、思う。

 

 

  よければ、こちらもお読みください。

 

★ウェブマガジン「どうする?Over40」→「役所に足を運ぶのが早い」と言われたが、それって、やはり日本、ちょっと遅れているのではないか。

 

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