どうしてだろう。どうしてだろう。

 

 

どうして、わたしたち人間は自分を「高齢者枠」に入れたがらないのだろう。

 

 

いくつになっても。

 

 

前回の記事に書いたマンションの会議でも、地域コミュニティ作りに熱心なアクティブおじさまが、「高齢者の方がケガをするといけないので体操の前に公園の掃除をするのですが、それでも、どうしても高齢者の方々は、その帰り道で転倒するなどということがあります。このマンションにも、このような高齢者の方々が多いので…」と高齢者の安全確保問題を熱心に語っておられました。

 

 

でも、わたしは知っています。その方は、「もう、後期高齢者になっちゃったからねえ」とかなり前におっしゃっていたことを。

 

 

テレビのキャスターやコメンテーターのなかにも「高齢者のみなさんは…」と語る、その人自身が「高齢者じゃなかろうか」というケースが散見されます。

 

 

先日、バスを降りるとき、かなりの御年のおじいさんが少し手間取っていたのですが、その後ろに並んでいた70代半ばぐらいの女性が降りた後、バス停から少し離れたところで待っていた友人と思われる女性に駆け寄り、「もう、おじいさんが、めちゃめちゃ降りるのに手間取ってさあ!」とことさら迷惑したように言っていました。そんなに手間取ってなかったと思うし、そういうあなたも「ほぼ高齢者枠」なんじゃなかろうか。

 

 

若々しさやみずみずしさと、自分を「高齢者の一人」と認めることは両立するし、それは、ことさら「おばあちゃんだから」「年寄りだから」と老いをアピールすることとも違うと思う。

 

 

頑として自分を高齢者に入れたがらない人は、同世代のなかで「老いの目立つ人」への優位性を誇りたい気持ちが感じられるし、実際に認知症などへの偏見が強い気がします。

 

 

自分を客観的に見ることができて、他者へのまなざしが優しい。やっぱり、それが一番、魅力的。それは年齢を飛び越える魅力だ。

 

 

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★今週の月曜、こちらにも書いています→「モーニングショー」で聞いた若者の言葉が重い、選挙後の朝。