数年前から、ふとしたときに胸の真ん中がキューっと痛くなって息が苦しい状態が数分間続くことがあり、気になっていました。昨年の冬前は特に回数が多くて「やばいんじゃない、これ?心臓か?」と思うようになったのです。ふだんから検索魔なんでネットで調べます。すると「真冬より、季節の変わり目が多い」なんて書いてあるじゃないですか。募る一方の不安!

 

 

走ったり、階段を上ったりするときに起きるわけではないので「労作性狭心症」ではなさそう。だが、寝ているときに起きるものや、更年期の女性に多く冠動脈でなく細かい血管が収縮して起きる「微小血管狭心症」などという耳慣れぬものもあるらしい。

 

 

冬から春にかけて仕事が忙しかったので「うん。来年の春以降、落ち着いてから病院に行ってみよう」と理由を見つけ、「そうだ、そうだ。そうしよう」と思いました。そしたらあっという間に春が来ました。秋のように頻繁ではなかったけれど、気にしているせいか、なんとなく胸に違和感があるような気がする。動悸もするような気がする。「でも、ほら、いまは、コロナで緊急事態宣言が出ているから。落ち着いてから行くことにしよう」と思いました。そして、自分を安心させる医療情報を探そうと、またネットをウロウロするのです。

 

 

自分でもうっすらわかっていることもありました。元気に機嫌よく暮らしているようですが、夫が倒れてからというもの、心の底で、「わたしが倒れることだけはあってはならない!そうなったら娘の人生、詰むぞ。夫の責任はだれがもつ?犬はどうする?だめだ!それだけはダメだ!」と強く思っている。それが、胸や心臓への不安になっているのかもしれないと・・・しかしここが判断の難しいところで、ちょっとした体の不調を精神面の問題にすり替えて、自分を安心させようとしている面もなきにしもあらずなのです。なんせ、この体の「当事者」でありながら「素人」。症状から正確な診断が下せないわけです。あたりまえだけど解決策のないジレンマ。

 

 

不安→大丈夫かな→気にしすぎじゃない?→でもやっぱり不安→病院行く?→今は、これこれの事情で行けない→不安 の無限サイクル。

 

 

先々週末のことでした。もう午後になっていたけれど、鏡を見ながら私は思いました。「あー、もう、この状態、嫌だ。飽きた。行こう、今、行こう」。目当ての病院は、つい先日、コロナウィルス感染者が発生してクラスターとなっていました。「ほら、コロナおさまってからにしようよ…」という心の声が主張してきましたが、「いや!だからこそ、空いているかもしれないじゃないか。外来は継続中なんだから、感染対策は万全なはずだ。空いていたら疲れも少ない!行け!クラスターという嵐のど真ん中に攻め込むんだ!攻撃は、最大の防御なり!」…と決断と勇気の向ける先を見当違いな方向に定め、急ぎ、自転車を走らせたのです。

 

 

そして昨日、心エコー検査と心臓CT検査を受けてまいりました。先週、心電図と胸部CT検査は受けていたのですが、心臓CT検査は、胸部のそれよりはやはり大変でした。造影剤入れる分だけ、大変だった。時間もかかったので疲労困憊しました。看護師さんは、「注射針が太いから採血より痛いですよ」と「ご覚悟を」の表情で告げながら造影剤注入の針を刺しましたが、その腕があまりに巧みでほとんど痛くなかったです。毎度思うが、血管を見つけて寸分の狂いなく針を刺す看護師さんって本当に偉大!

 

 

検査結果は、月曜日に出るのですが、わたし、自分が思っていたより健康だったようで「狭心症のリスクファクターがないのでほとんど心配はいらない」(動脈硬化の不安がないということらしい)と言われ、すでにかなり安心しています。どこかちょっと悪かったにしても、今ならお薬で済むだろうし…。「倒れて救急搬送」とか「長期入院」という、家族の日常を大きく変えてしまう事態さえ避けられればいいのです。

 

 

             倒れたら、スーの散歩は誰がする問題もある。

 

 

ちょっとした人間ドックになりました。そして思いました。わたし、これからも「攻めの姿勢で行こう」と。不安の原因のど真ん中に自ら攻め込んで正確な原因をつかみ、対策する生き方をしようと。からだのことも、できれば、それ以外のことも。

 

 

そして、もう一つ。自分のからだの問題をお医者さんを前に語り、その原因をともに探ってもらうことは、孤独のなかに閉じこもりがちな心を開く効果があると知りました。「年をとったら病院通い」という行動、高齢者の暇つぶしのように思うときもありましたが、それだけじゃない。もっと小さいけれど大事な意味がある気がしています。

 

 

わたしの友人たちも、自分のからだは後回しで家事や介護に忙しい人が多いです。そこにコロナ禍が追い打ちをかけ、病院に行くのを後回しにしがち。みなさんも、どうか、先延ばしにせずに病院行ってくれ。健康第一。まずは、自分のからだから。ほんとに。