「ねえ、夕ご飯は何がいい?」
「牛ホルモン。」
「2番目は?」
「豚ホルモン。」
「3番目は?」
「牛ハラミ。」
「よし、今夜はクリームシチューだ!」
35年も一緒にいるとこんなもんです(笑)。
『兎田ワイナリー』を後にした僕達。こちらから三峯神社に向かう道路は秩父市内の1番混んでいる辺りを迂回してくれるルートになります。
予定通り渋滞に巻き込まれる事もなくスイスイと進み、二瀬ダムを渡る頃には前を走る2台の乗用車と
1台の路線バス、そして僕達の自動車の計4台で隊列を作り、ゆっくりゆっくり山道を登りました。
さすがにまだ桜の花は一輪たりとも見かけませんでしたね。
その後は山を下りて来る自動車と数回会った程度、午後4時少し前に無事に三峯神社駐車場に着きました。
「お泊りの方は奥の駐車場に向かってください。」
駐車場係のおじさんの指示に従い所定の場所に車を止め車外に出ます。
「寒っ!」
標高1,000mオーバーの地は、未だ『春は名のみの風の寒さよ。』、そのものでした。
駐車場から見える遠くの山々もなんだか例年よりも寒々しく見えます。
「山、雪かぶっているよねえ。」
確かにうっすら白い。
奇跡的に軽量に仕上がった荷物を背負い宿に向かって歩き始めた二人。
三つ鳥居前の『大島屋』さんは店じまいの最中。
明日は『わらじかつ丼の大盛り』をいただきますからね(笑)。
大島屋さんから顔を正面に戻せばそこには1年ぶりに仰ぐ鳥居が凛とそびえ立っておりました。
一礼して鳥居をくぐるとー
博物館前にも、
参道の脇にもたくさんの雪が残っていました。これじゃ寒いはずだ。
今までこちらで雪を見た記憶がありません。今回初めて冬の三峰山を少しだけ感じられた気がします。
※もちろん真冬はこんなもんじゃないんでしょうけど。
参道を上がって左に折れて石段を下ればそこにたたずむのは『随身門』。
門をお守りしている山犬様に挨拶しない訳にはまいりません。
こちらのお二方です。
(今年もうかがう事ができました。)
「おおっ、久しぶりじゃん。」
「元気にしてたか?」
(はい、おかげさまで元気に楽しく毎日を過ごさせていただいておりました。今晩お泊りしますので、よろしくお願い致します。)
「しょーがねーなー。じゃあ1晩だけな。」
などと言う会話があったかなかったかは定かではありませんが(笑)、僕達は門をくぐり足元に気をつけながら本殿へと向かいました。
ー続く
(PS)奥さんの言う事にはこの門をくぐった途端に物凄く強い気の変化を感じるそうです。怖くなるくらいの。おじさんは一度も感じた事がありません。