春の野原へ行く途中にいつの間に出来ていた大きな建物。
一体何だろうと行ってみると、このほど新しく出来た水博物館だそう。
民族衣装や装飾品なら興味あるけど、水かぁ、、なんて思っていたら、
予想外の近代的な博物館で展示は素晴らしく、水というカテゴリーだけでよくここまでネタがあり、
それを美しく見せているものだと感心しました。
展示は水の成り立ちから始まり、コーランにおける水の記述、
生活排水の汚染や干ばつなどの災害、農村の雨ごい文化、
さらにモロッコの昔ながらの灌漑や井戸文化、家庭内井戸などの模型が多数展示され、
どのように昔の人が水を得て来たかがよく分かりました。
井戸から水を引き上げるロバ。
興味深かったのはメディナ(町)における伝統的な水の使われ方。
水が貴重なモロッコでは、水は共有財産という認識が高く、
メディナの中には公衆水道が所々設置されています。
公衆水道と言ってもモザイクタイルで豪華に飾られ、木彫りの美しい屋根などが付いていて、
それだけで文化財的価値のあるような水道です。
またお風呂は公衆風呂「ハンマム」の蒸し風呂で、
ハンマムを温める焚火で同時に主食のパンを公共窯として焼くという
少ない資源を最大限効率よく使うエコシステムが伝統的に使われてきました。
なかなかメディナを観光しても、ここまで気付かないと思いますが、
それが分かる展示になっていたと思います。
最後はモロッコのダム政策について。
前国王ハッサン2世はダム政策をしたことでも知られます。
モロッコはいずれ水不足になる、今からダムが必要だと、
国民が嫌になるほどダムをあちこち作ったらしいのですが、
それが今となっては大切な水資源となっています。
モロッコらしからぬハイテク展示で驚きましたが、
果たしてこの美しい展示やシステムが長く維持できるのか、、という一抹の不安は感じつつも、
多くの観光客が訪れてくれることを期待しています!
MUSEE MOHAMMED VI
(入場料大人45DH 、小学生以上10DH)