5月2日(火)午後に岐阜の自宅マンションを出発。
この日の目的地は、愛知県豊田市の「豊田市美術館」。
4月22日から行われている「東山魁夷唐招提寺御影堂障壁画展」に行って来ました。
そもそも絵画にそれほど造詣が深くない自分が、今回この絵画展に行こうと思ったきっかけは、河合隼雄氏の「こころの処方箋」の中に東山魁夷の名が出てきたこと。
「こころの処方箋」の中では、「絵に描いた餅」と「現実の餅」について比較しながら、「現実的価値をもたない」という意味で、日本人は絵に描いた餅を軽視する傾向にあるが、もしそれが東山魁夷の描いた餅であればどうか、現実の餅よりも絵に描いた餅の方が価値をもつのではないか、といった内容が登場します。
ここでいう絵に描いた餅とは、要するに「ビジョン」のことであり、ビジョンを持つことが大切である、というのが主旨の文章です。
上記の文章を使った論説文の読解問題を仕事で扱っていることもあり、実際に東山魁夷の作品が観たいと思い、足を運びました。
密告や難破などの失敗を積み重ね、失明してもなお、日本へ渡航し、戒律を伝えた鑑真和上。
和上に捧げた障壁画は、日本の豊かな自然を描いたものと鑑真が過ごした中国の風景を描いたもの。
それぞれ技法の違いがありつつも、その写実性に圧倒されました。
特に日本の風景として描かれた《山雲》は、奥飛騨の山々がモデルの1つになっており、岐阜県出身の自分としては「ああ、こういう風景が今でもあるなあ!」と強く惹かれるものでした。
また、《濤声》は、中国大陸と日本を隔てる日本海の荒々しいというか、底知れないというか、そういった雰囲気がとても繊細ながらも壮大に表現されており、素晴らしかったです。
日本の国土の基調となる碧や青といった色が、深みをもって表されていたのはすごいなあ、と感銘を受けました。
さて、この日は国道1号をひたすら走り、「道の駅 藤川」などで休憩しつつ、一気に静岡県を走り、最終的には「道の駅 富士」で1泊となりました。
《5月2日のルート》
岐阜→豊田→藤川(岡崎)→富士