9月26日ニューズウィーク日本版掲載、

「日本で歌姫はどのように生まれるのか? 西恵利香の昼と夜」

に関する個人的な感想です。

 

 これまでになく社会科学系の記事のネタとして西恵利香さんが取り上げられた。

 記事の中で「社会関係資本」という自分にとって懐かしいワードが出てきた、割と興味深い記事だった。

 

 記事の1ページ目は、近年の傾向としてのアイドル市場の収縮と「脱アイドル」化現象について。

 そして、「社会関係資本」について言及されているのが記事の2ページ目。

 2ページ目の内容を要約すると、

・西恵利香さんが「歌姫」として誕生した必要条件として、AeLL.時代から培ってきた「社会関係資本」が挙げられる。

・西恵利香さんが持つ魅力として、「昼」のイメージと「夜」のイメージを併せ持っていることが挙げられる。

という感じか。

 なお、社会関係資本とは、「市民が自発的にコミュニティを形成、あるいは参加し、金銭的・物質的な見返りを求めることなく活動する社会的絆」のこと。

 

 ちょっと分かりづらいので、ものすごくざっくり言えば、

西恵利香さんを褒め称えている記事。

 流石にこれだとざっくりしすぎなので、説明し直すとすると、

➀西恵利香さんは歌が本当に上手くって曲も良い本格派シンガー!

②加えて、アイドル時代から性格もとても良くてファンを大事にしていて素敵!

って感じかな……。

 

●「社会関係資本」の分類と重要性

 記事の中では、「社会関係資本」について、

…「通常、企業や組織、コミュニティのなかで信頼関係を構築することで、人々がスムーズに仕事し、生産性をあげることに貢献する。アイドルの現場でも、アイドル、ファン、運営、そして共演することも多い多数のほかのアイドルグループたちとの社会関係資本こそ、いまのアイドルが大きく飛躍するキーといえる。」

と説明されている。

 要するに、「絆が強ければその集団は強い!」的なことだが、この「社会関係資本」(絆)というものが場合によっては厄介だったりもする。(記事にない部分)

 

 「社会関係資本」は、「異なる集団間の異質な人の結びつき」による「橋渡し型」のものと、「集団の内部における同質的な結びつき」による「結合型」のものとに分類できる。

 前者によって形成される集団は「都市型コミュニティ」、後者によって形成される集団は「農村的コミュニティ」と呼ばれる。

 「都市型コミュニティ」は、集団内部の繋がりや統一性はそれほど強くないかもしれないが、開放的であり、社会の潤滑油的な役割を果たす。

 一方、「農村型コミュニティ」は、集団内部の結びつきが強固であるものの、「閉鎖的」「排他的」な状況に陥りがち、という弊害もある。

 

 つまり「社会関係資本」がなければ人々の間の繋がりも何もないので、コミュニティとして成立はしない。ただし、社会関係資本が「結合型」にのみ作用し、「『農村型コミュニティ』化」が行き過ぎると、そのコミュニティはある程度以上の発展はしないんじゃないかと思える。

 「橋渡し型」の社会関係資本を有しない「内輪ノリ」で、命運尽きてしまうアイドルはそれなりにいるのだろうなあ。

 

 まとめると、「アイドル」から脱皮するかたちでの「歌姫」なる存在が生まれる背景としては、アイドル時代の「社会関係資本」の存在は基本的にはプラスに作用するはず。

 ただし、それが外部へ波及する方向性とパワーを持っているものであることこそが大切な条件になるのだと思う。

 その点に関しては、恵利香さんは記事にあるような物販だけじゃなく、ライブパフォーマンスの素晴らしさで、会場の人達に自身を印象付けているように思う。

 もうずっとファンだから贔屓目にしか見られないけど、本当にライブが素敵で心に刺さるアーティストだって胸張って言えます。

 

●「昼」?「夜」?

 記事では西恵利香さんの人柄を温かい「昼」、歌から感じる印象を「夜」という言葉で表している。

 前者は同意できるのに対し、後者は個人的には多少訂正したい点がある。

 1st Album「unjour」、2nd Album「Prologue」、3rd Album「LISTEN UP」がともに「夜」の側面を際立たせる、と記事にはある部分だ。

 

unJourunJour
1,543円
Amazon

 

prologueprologue
1,800円
Amazon

 

LISTEN UPLISTEN UP
2,160円
Amazon

 

 1st、3rdは「昼」よりも「夜」のイメージが強いかもしれないが、朝や昼の時間帯をイメージした曲も収録されている。また、2ndはジャケットのカラーもあって「夜」のイメージはそれほど強く感じられないのではないか。

 4th「re:LISTEN UP」発売により、「夜」のイメージが強まったかもしれないけれど、3rd収録で人気の高い曲が「常花」という時間帯のイメージを超越したミディアム・ナンバーでもあるし、時間帯のイメージだけで西恵利香さんを形容することはとても難しい気がする。

 まあ、恵利香さんは3時・4時に眠りに就くことも多いらしいので、生活リズムは「夜型」なのかもしれないけれど。

 

 心根の優しさや飾らない人柄が魅力な恵利香さん。

 特に3rdでは、「予感」「Morning Sun」などそれが体現されている曲が収録されている一方で、「ルージュの首飾り」で見せるクールな面もとても素敵な、イメージにとらわれることなく、聴いている人の心を打つ歌唱力が、恵利香さんにはあるのだと思う。

 

 元記事の最後の言葉ではないけれど、これからもっと多くの人が西恵利香さんを知ることになればいいなあ、と個人的にはやっぱり思います。

 ああ、早くライブに行きたい…!