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ももクロ体験談

ももいろクローバーZ、そのメンバー百田夏菜子ちゃんの応援ブログです。本当はほとんど落書き帳です。Twitterアカウント:nobusen2

皆さまこんばんは。
先日観に行ったももいろクローバーZ有安杏果さんのソロコンサートツアー『ココロノセンリツ-feel a heartbeat-vol.1』がとびっきり最高だったのでその話です。予想していた感動値を遥かに超えさせられてしまう完敗でしたって話です。
相変わらずライブの模様全てを書き感想を並べられるほどスタミナと構成力を持ち合わせないので、レポではなく記憶力に乏しい私の感想を書きます。正確性は求めず、公演中に私が見聞きした幻覚や幻聴、幽霊の話も盛り込まれる可能性にもご留意ください。



1.有安さんの楽器演奏が素晴らしかった話


ピアノに挑戦してくるとは思いませんでした。
一曲目『ありがとうのプレゼント』です。
直前まで流れていたオープニング曲の曲名がAriana Grandeの『piano』だということにその時点で気付けた人はその腕に鳥肌どころか羽毛すら生えていたのではないでしょうか。鳥嫌いの有安さんに嫌われると思います。

有安さんの弾くピアノの音と有安さんの声だけが響き渡る空間はとても贅沢でした。
ギター、ドラムに続く新たな音楽表現を彼女が手に入れたのだというサプライズから、有安杏果さんのソロコンサート『ココロノセンリツvol.1』は開演します。

有安さんはこの後『教育』でドラムを叩き、『ペダル』『feel a heartbeat』でギターを弾きます(ペダルは彼女が人生最大の買い物として購入したアコースティックギター1本での弾き語り)。

この「自分のために高いギターを買った」という報告もまた私にとって大きなサプライズでした。
有安さんがかつてドラムを始めるきっかけの一つとして「ギターは手が小さくて難しい」という苦手意識を口にしていたのを見ていたからです。私はどこかで勝手に有安さんの中にドラム≧ギターのイメージを持っていたのです。が、彼女はそうではなかった。

自身の音楽の可能性を苦手意識で閉じ込めることなく、むしろ小さな手でも弾きやすい相棒を選び、積極的に挑んできたのです。
自分の持つ音楽の可能性の芽を決して摘まずそれをステージで示してくれる有安さん。彼女が芽を出させることができなかったのは「ファンのみんなと一緒に葉をつけよう!」と語って育て始めた公式グッズのクローバーくらいではないでしょうか。

かつてKinKi Kidsの堂本剛さんが自身のソロプロジェクトにて、作詞・作曲・編曲・ギター・ベース・ドラム・ピアノ全てを自身が手掛けた『Sunday morning』という曲をリリースしたことが話題になりました。有安さんの所属するももクロの活動がジャニーズアイドルの先輩方の歩みに重ねて語られることは多々ありますが、有安さんが広げようとしている音楽の可能性はそんな先人スターの所業すら私達に夢見させます。

セルフプロデュースで作り上げるライブとして有安さんのクリエイティブな面に目が行きがちな私でしたが、MC中に「孤独死しそう」と語るほど(多分使い方は間違えている)の特訓をプレーヤーとしての自身に課している彼女の努力の成果に感嘆のため息を漏らしながらその音色を聴いていました。

しかしながら、このコンサートで私が有安さんに驚かされたのはまだこれだけではありませんでした。


2.新曲が素晴らしかった話


今回のソロコンサートツアーにおいて、有安さんは4曲の新曲を準備してきてくれました。

・遠吠え
・光の声
・色えんぴつ
・TRAVEL FANTASISTA

いずれも素晴らしい曲でした。
『愛されたくて』に続いて風味堂の渡氏に楽曲提供を受けた『遠吠え』はソロアーティスト有安杏果の一つのスタイルを確立してしまいました。相性抜群。
『光の声』は有安さんの作詞作曲楽曲。「vol.0やvol.0.5の光景を思い出して書いた」そうです。手のひらを太陽にかざすようにしながら歌うサビはライブ中みんなで真似ると素敵でしょう。
『TRAVEL FANTASISTA』はoffical髭男dismさんに提供された楽曲。ポップで楽しくて格好いい。50万枚売れます。

そのvol.1期生楽曲達の中でも私にとって特に印象深かったのが『色えんぴつ』です。

私の脳裏に「機嫌の悪い時の阿部真央が歌っていそう」という例えが浮かんでしまう(双方を向いて土下座)ほど"暗く"書かれたこの曲は、「私は誰にも必要とされていないんじゃないか」という有安さんの不安が、缶ケースの中で使われないでいる色えんぴつになぞられ「尖ったままの僕の苦しみ」と歌われていきます。

それはもう暗くて、弱くて、尖っています。
しかし、この曲が最も強く印象に残った理由は有安さんのそんな歪な内面に触れることができたから、というだけではありません。
有安さんが色を歌う歌をもう1曲知っていたからです。ももいろクローバーZが5人で歌う楽曲『モノクロデッサン』です。


この歌は
「どの色が欠けてもこの夢の続きは描けない」
「真っ白なパレットの上にいろんな色を落としていく」
と、出会っていく様々な色が混ざりながら真っ白だった人生を彩る様が歌われる歌です。
『色えんぴつ』が"色"をキーワードとして、まるで反対の雰囲気と主張を持つこの曲と結び付いてしまったももクロファンはきっと私だけではないでしょう。

「どの色が欠けてもこの夢の続きは描けない」歌と、
「誰にも求められず尖ったままの色」の歌が、
グループとソロという垣根はあれど、同じ歌い手によって歌われているのです。

私は有安さんのドラムの先生である村石雅行師匠が彼女を評した「シンガーソングライターの顔を持つアイドルとして稀有な存在」という言葉を思い出します。

ももいろクローバーZは光を照らすグループです。ライブ会場のサイリウム本数の話ではありません。ももクロの歌には楽しさや明るさ強さ、愛情、希望が光り、聴き手に力を与えます。
一方、そのメンバーであり、シンガーソングライターでもある有安さんの歌はその延長線上にはありません。
時に暗く、時に脆く、時に卑屈ですらある。
けれど、自身のそんな表情を描く彼女の音楽は、例えば同じような弱さを抱える、ももクロの光が届かないような人の心にも、スッと入り込むことができるのではないでしょうか。
そしてそれは百田夏菜子さんや高城れにさんのように「ナチュラルボーンももクロ」ではない有安さんだからこそ手を伸ばせる、シンガーソングライター有安杏果だからこそ手を届かせることのできる歌の境地でしょう。

そして、ももクロというアイドルの燦然の中にいながらにして自分の暗さや弱さをもパッケージすることのできる彼女の音楽は、ももクロの音楽の明るさや強さに説得力を与えるコントラストを生み出します。
少なくとも私はこの『色えんぴつ』を聴いた後で今までとは違う感慨にふけながら『モノクロデッサン』を聴き直してしまった現象にその効果を強く感じています。

同様に、シンガーソングライター有安杏果の「人間臭い」音楽は、ももいろクローバーZ有安杏果の歌に説得力を与えるでしょう。

シンガーソングライターの顔を持つアイドル。それが実現された時の表現者としての強さを、5人で描くものとは全く違う彼女の「色えんぴつデッサン」に見た気がしたのです。


3.アンコールが素晴らしかった話


全編を持ち歌で魅せ、聴かせていく今回のvol.1。素晴らしい新曲披露やピアノやギター弾き語りといったストイックなサプライズで本編を盛況させた有安さんは、アンコールに本公演最大の仕掛けを用意していました。

「セットリスト逆再生メドレー」です。
本編で歌った曲を後ろから順番にメドレーで歌っていく、しかも本編とはアレンジを変えてです(Alexandros川上氏に提供された人気曲『Drive Drive』のスカ風アレンジは会場の沸騰剤でした)。

私は脳裏に1ミリも浮かべていなかったこの仕掛けにあっと驚き、息つく暇もないメドレーの中で有安さんの音楽世界に落とされていきます。

セットリストの予想にすら上がらなかったこの『セトリ逆再生メドレー』。私ももちろん頭の片隅にすら浮かべていませんでしたし、ライブを終えた直後も「意外だった」という感想を真っ先にこぼしてしまいました。

これは偏見と言われてしまえばそれまでの話ですが、私は有安さんが自身の曲をこのように使うタイプの演出家ではないと思っていました。

前回観に行った横浜アリーナでのコンサートの時も今回も、MCにて感極まるほどの熱をもって「今歌った曲は…」「これから歌う曲は…」と曲への想いを語る有安さんを観ていたからでしょうか。私は有安さんの音楽を必要以上に重たいものと認識してしまっていたのかもしれません。

自分の音楽をメドレーという贅沢な形で"遊ばせる"ことのできる人だとは思っていなかったのです。この意外は、私が「完敗」という感想をこぼすことになる決定打でした。有安さんに見事にしてやられたわけです。
持ち曲がまだ少ない故のことと思っていた本編でのゆったりとした進行や長く尺を取ったMC(アーティストの個性の範囲内でしたが)も、この息もつかせぬメドレーの連続感を高める布石だったのか…会場の時間の流れ方まで最初から全部計算されていたんだ…そう考えると私の敗北感はさらに増長します。

パスという選択肢を手に入れた山王戦の流川を目の当たりにしたような心地良さを伴ったまま私は公式グッズの白タオルを投げ…回しました(『Drive Drive』のスカ風アレンジは本当に楽しかった)。

メドレーを歌い終えた後、有安さんはMCを挟んでこのコンサートのテーマでもある『心の旋律』を力一杯歌い終えて、深く頭を下げ、拍手で包まれる会場を去っていきます。オーケストラの名演を観たような気持ちで私もただただ拍手を送っていました。

その後の出来事。千秋楽の会場東京国際フォーラムの拍手は鳴り止みません。そして、私の勘違いでなければその拍手は段々と手拍子のように揃っていくのです。

そして十年のような一瞬のような拍手の時間を経て、有安さんが走って戻ってきました。
「戻ってきちゃった」と笑う有安さんはその後「最後になにか一緒に歌おうか…何がいいー?」と客席に問いかけ、このコンサートの副題(?)でもある『feel a heartbeat』を有安さんのギター1本の音で、会場全員で合唱することを決めます。

否定するつもりは微塵もないと理解して聞いてほしいのですが、私はこのダブルアンコールを「不粋だ」と思いました。不粋で、そして、これぞ有安杏果だ、と思いました。

先に書いたように今回の有安さんのコンサートは、楽曲を作るところから、自分の演奏スキルを高めるところ、MC時間の取り方まで、全てを有安さんが逆算して作り上げたひとつの作品ともいえる代物です。

最後に『心の旋律』を壮大に歌い上げた有安さんが喝采する拍手の中礼をして去っていく光景も、このコンサートを終わらせるのにこの上なく美しい"締め"でしょう。
その後に「出てきちゃった」「何歌おっか」「じゃあ今からギター準備するね」と進行するダブルアンコール。ツアー千秋楽の最後の最後に残された大きなサプライズでありながら、実に私達のよく知る有安杏果さんではありませんか。

私達は、この光景を以前も観たことがありました。前回私が観た彼女の初めてのソロコンサート『ココロノセンリツvol.0』です。
こちらは既にDVD&BDのライブ映像が発売されていますのでまだ観られてない方はこんなブログを読んでいないで是非お近くのCDショップへ行きましょう。

この『vol.0』で最後に歌われた曲が彼女のソロ曲『ありがとうのプレゼント』です。
この曲の最後の歌詞は以下の通りです。

わたしからあなたへと届けたいんだ
未来変える たくさんのありがとう


幼い頃からの「夢を叶える瞬間」であった横浜アリーナでの、初めてのソロコンサートの最後を「たくさんのありがとう」と力一杯歌い締めくくった有安さん。ロングトーンで歌われた最後の「ありがとう」の言葉は私達の中に強く強く刻まれます。
感謝の心で横浜アリーナが一杯になった状態でのエンディング。
そこで有安さんは「もう一度みんなの顔を見に行っていいかな?」と言って、横浜アリーナの外周ステージを走って回り始めたのです。
そして彼女は走りながら手を振る観客席の人々に目を合わせながら「ありがとう、ありがとう」と伝えていきます。会場には有安さんの数え切れないほどの「ありがとう」だけが響き渡ります。

私はこの光景もまた、コンサートの演出としては「不粋だ」と思いました。そして同時に、そんな有安さんの人間性に、より惹かれてしまう自分に気付いたのです。
音楽にかける情熱をあれだけ目の当たりにさせられた後に、ある種それを壊してまで伝えようとしてくれた感謝の気持ちにあてられてしまったのです。

予想の遥か範疇外をかかれるほど洗練されたコンサート本編とはかけ離れた合唱の時間にあの時横浜アリーナで観た有安さんらしさを感じ、笑顔にさせられてしまいました。

有安さんは演奏家として、クリエイターとして、演出家として、歌い手として芽を出していきます。これからも益々そうなっていくでしょう。しかし、その根本には彼女の不器用で暖かい人間性があり、その人柄はももクロのリーダーが言葉にした「人に笑顔を届けられる存在」という意味でのアイドル性に満ちています。

最後の最後に有安杏果というアイドルを「不粋なダブルアンコール」で再確認したところでココロノセンリツvol.1は幕を下ろします。

改めて思い返してみても、気持ちいいほど「完敗」したライブでした(終演後も友人達と気持ちよくしましたがそれは乾杯)。

有安杏果は過去の経験も、自身の音楽の可能性も、自身に渦巻く負の感情も、アイドルであるという強さも、本気で学んだ写真という視覚表現も、何もなかったことにしない。無駄にしようとしない。
彼女ががよくメンバーにイジられている言葉を「有安杏果さんは本当にケチな人ですね」という最高の賛辞にかえて贈りたいと思います。
そして彼女が自分の応援するアイドルグループのメンバーでいてくれたことに胸一杯の心強さを感じたことを報告し、感想ブログを書き終えます。