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坂の上の雲を目指して

医療事故調査制度の10年 (2015.10~2025.9)

 

初めに: 医療安全文化醸成に資する大きな制度として強制的医療事故届け出制度が発足して10年が経った。政府が10年を期して医療事故調査制度の医療安全に係る検討会を設けた。その報告書が本年10月に公表された。本制度の実現を要望し、効果に期待して来た者として、あまりに悠長な評価に終始し、医療安全文化を謳う制度の改革に今更ながらの提言しかない報告書に失望する。

 

A  2015.10から2025.9までの10年の実績

  

①    事故報告件数 3533件/120月(病院3353 診療所179)平均353件/年、30件/月

②    院内調査数  3139件/120月            平均26.2/月

③    相談件数   18.977件(遺族233、医療機関634)   平均158件/月

④    都道府県別の比較  京都・宮崎4.8>>福井0.9/100万人 地域差の大きさが目立つ。

 

     年間報告278-386件-    月毎報告27-32件 

 

上記4つのパラメーターで見事に増えもせず、減りもせず。10年が経った。

 

B 医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会による検討結果に基づく方向性を打ち出した。

今回報告書の提言を列記する。

①    医療事故の判断の質向上

・管理者による死亡退院例の確実な把握を求める。

  ・届け出事例の判断に大きなギャップが存在する。自由裁量が野放しである。

   ・医療不信の払拭目的に適っていないケースが多い。説明が不十分。

 ・管理者の安全への正しい認識が不足する。研修制度の充実。

 ・支援団体の機能もギャップがある。

②    院内調査の質向上およびセンター調査の透明性向上

・調査内容の個々のギャップの存在

・支援団体の活動に地域によるギャップ

・センター調査の秘匿性の問題 必要か

③    再発防止による医療安全向上の促進

・センターによる提言,警鐘レポートの効果?評価できるか?

・センター調査結果報告書の取り扱いについて議論

④    支援団体による支援の充実

・支援を求めることができる? 義務の筈であるが。

・支援団体協議会の活動の個々によるギャップ

 

⑤    国民への制度に関する周知促進

・センターの活動 不十分

・本来の目的の周知がされていない。義務的制度である。透明性と説明責任を果たす制度であること。

・自治体の医療安全支援センターの医療安全に関する情報提供が明示されていない。

 

C 考察

2015年10月に制度の発足を優先するために、届け出事例の選択を通知により管理者の判断に大きく委ねることを認めることとした。医事紛争を恐れて、届け出に抵抗を覚える管理者が多かったからである。そこで 取り敢えず解釈通知で、小さく船出をして、法はそのままにして、徐々に大きく育てていくことを期待して見切り発車をしたわけである。2年後の法の見直しも予定されていた。2年後に予定されていた医師法21条の見直しなどは先送りされ、医療安全調査機構の機能の追加等のマイナーチェンジで継続され10年が経った。上記のように年次、月次ごとの報告数は発足当時の数字のままで増えもせず減りもしないで10年が経過した。制度の企図した新しい医療安全文化の実現に前進したのであろうか。医療事故の減少、医事紛争の減少に効果を上げたのであろうか。小さく生んで、大きく育てようのスローガンは実を結びつつあるのだろうか。

 

①    10年の評価 

 安全調査機構の役員の評価として、この10年間制度の枠組みが運用されてきたことが成果であるという。医療安全のレベルの向上に寄与したとの意見もある。制度の枠組みも確立してきたという。

発足当時に危惧したように、制度の反対派の思惑通りに、趣旨が矮小化され、医療安全文化としての大きな起爆剤と期待した状況にないことは明らかである。毎年7.5億を超える補助金を使っての事業の成果がこれである。

 

②    課題を挙げてみる。

・予想される事故件数に比して、あまりに少数。報告が地域により極端に偏向する

・特定機能病院(大病院)においてすら届け出ゼロのケースが3病院もある。

・院内調査への支援団体の課題   

・届け出の判断の幅が大きい.管理者の意識レベル。所属団体の意向による差異がある。

・制度の趣旨の矮小化が定着しつつある。(再発防止が唯一の目的)法の建前は透明性と説明責任を果たす制度。定義された事故を届け出る義務的報告制度である。

・制度の隠れた目的には医師法21条を回避するための制度でもある。

 

Dブレークスルーのために

1 法の建前は 患者と医療安全調査センターへ事故の事実を報告し、調査支援団体の支援を求めて院内調査をし、その調査結果をセンターと家族に報告する。

この6つの義務を順守する。

2 調査対象事例を特異例とするのでなく、予期された死亡例は文字通り故意犯に問われるべきものと発想を変えるべきものである。犯罪ではないとして、届けることによって信頼の保持ができる。

3 報告事例の拡大に伴って、調査報告書の簡素化も必要。

4 医療機関における意識のギャップに対しては事故報告の実績、死亡例の把握 検討実績など医療監視の調査項目にする必要がある。

5 医療機能評価機構における事故情報収集事業との重複を避ける。現状の提言、警鐘レポートはセンター事業の本質ではない。

6 医療事故調査制度によるセンターの役割は医療の安全確保、再発防止によって、医療の信頼確保であることを明確にする。この活動が抜け落ちている。

 センターの活動は医療安全文化の醸成であることを銘記する。