光る君へ第32回あらすじ&感想前編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第32話「誰がために書く」前編



寛弘二(1005)年。


一条天皇と亡き皇后定子の遺児

脩子内親王の裳着が行われた。


一条天皇の亡き定子への

執着は強くいまだ公卿に

復帰していない伊周を

大臣の下、大納言の上に

座らせるよう命じた。


不遜な様子で道綱と実資の前に立つ

伊周の姿に周りの公卿はもちろん、

弟の隆家ですら怪訝な顔で見る。


「譲られよ」


「えっ?ここに入るの?」


道綱は隣の実資を見る。


これも帝の意向なら、と

実資は仕方なく立ち上がり

皆も続く…


伊周は堂々と座った。


やがて道長が歩いてくる。


「帝のお出ましでございます」


皆、頭を下げる。


一条天皇は表向き

伊周の昇殿は脩子内親王の裳着に

参列させるためとしたが

真の目的は道長への

牽制であった。


伊周は帝に頼られていることを

誇るように不遜な態度を貫き

道長は淡々とそれを受け流している。



ウグイスが鳴いている。


まひろといとは仏に

花を供えた。


「暖かくなってきたわね。

母上も春がお好きだった」


「そうでございましたね」


感傷にふける2人だが


「ああもう我慢できない!」


珍しくきぬの怒る声が

響いてきた。


「俺が何をしたっていうんだよ」


乙丸が尋ねる。


「それも分かっていないところが

嫌なのよ、ケチ!」


「あっ、お方様…」


乙丸は助けを求めるように

まひろに呼びかけた。


「情けない顔して

どうしたの?」


いとが聞いた。


きぬは2人の前に乙丸を

引っ張っていく。


「この人、紅を買おうとしたら

そんな余計なものを買うなと

言ったんですよ!

私は京に来てから紅も

おしろいも一度買っていないのに」


きぬとて女性なのだから

綺麗にしたいのは当然だし

まひろの家とて以前に比べたら

そこまで貧乏ではないはずだ。


「だからもう私、

越前に帰ります!」


「えっ…乙丸そうなの?」


まひろに尋ねられると乙丸は

肩を落としながら


「私は…こいつが美しくなって

ほかの男の目に留まるのが

怖いのです」


と情けない様子で答えた。


「こいつは私だけのこいつで

ないと嫌なのです」


それも愛のひとつなのだろうが…


「だったらそう言えば

いいじゃないか、うつけ!」


と、またきぬは怒った。


「ごめんよ」


「もう」


痴話喧嘩のような話だ。


まひろといとは顔を見合わせた…



「お方様と亡き殿様もよく

けんかをなさいましたね。

火取りの灰を投げつけたり

なさって」


いとが思い出して笑う。


「そんなことあったかしら?」


「亡き殿様とお方様の大げんかで

あれに過ぎるものは

ございませんでした」


まひろは紙に向かう。


「あ…せんだって

左大臣様にお渡しになった

物語はどうなりましたの?」


「あれからお返事はないわ。

きっと帝のお気に召さなかったので

しょう」


気にも留めない様子で

まひろは筆をとる。


「そうでございますか…

よいお仕事になりそうでしたのに…」


「でもあれがきっかけで

このごろ書きたいものが

どんどんわき上がってくるの」


まひろは楽しそうだが


「はあ…」


いとはわからない、

といった様子だ。


「帝のおためより何より

今は私のために書いているの」


「それはつまり日々の暮らしの

ためにはならぬということで

ございますね」


つい、家計のほうが

気になってしまういとであった。


まひろはいとの話も

もはや耳に入らないのか

夢中で続きを書いている。


そんなまひろを見ると

いともこれはこれで、

まひろにとってはいいのだと

感じたのか少し微笑んで

席を外した。



脩子内親王の裳着から数日後、

道長は土御門殿で漢詩の会を催し

伊周と隆家を招いた。


伊周もさすがに尊大な態度は

我慢はしている。


「私のような者まで

お招きくださり

ありがたき幸せに存じます」


公任、行成、斉信…


そして隆家ですら、

心配そうに道長に目を向ける。


「楽しき時を過ごして

もらえれば私もうれしい」


道長は明るく応じた。



「儀同三司、藤原伊周殿。

春帰りて駐まらず

禁え難きを惜しみ…」


伊周の詩が読み上げられていく。



枝は花を落とし

峰は視界を遮るように聳え

霞は色を失う

春の装いはもろくも崩れて

谷は静かに鳥のさえずりも消える

年月は移ろい

わが年齢も次第に老けてゆく

残りの人生

天子の恩顧を思う気持ち

ばかりが募る



詩だけを見れば己の隆盛も

凋落も味わいながら、

帝のことを常に思っています…


という素晴らしいものではある。


道長はじっと伊周を見た。



会が終わった。


「まことにけなげな

振る舞いであったな、

伊周殿は」


斉信が伊周を見直したかのように

褒めている。


「いやいや、あれは

心の内とは裏腹であろう」


公任が答える。


「そう思うか?」


斉信は行成に聞く。


「はい…」


「うっかりだまされる

ところだった」


伊周はそう簡単に

反省するような人ではない、

というのが公任や行成の見方だ。


むしろ公任は道長を褒めた。


「それより大したものだ、道長は」


「まことに」


行成も同意する。


「帝が伊周殿にお心を向け始めて

おいでだが私は全く焦って

おりませんよ、というふう?」


斉信が少しからかうように聞く。


それではまるで道長のほうが

腹黒く聴こえる。


公任は否定してやった。


「敵を広い心で受け止める

器の大きさだ」



道長は可能な限り、

伊周との不和が広がらぬよう

努力しているのだが…


帝の無茶な要求は続いている。


「伊周を陣定に参らせたい。

そのように皆を説き伏せよ」


さすがにそれは…と、

道長は断る。


「恐れながら難しいと存じます。

陣定は参議以上と定められて

おりますゆえ

誰かが身まかるか

退かねばありえませぬ」


前例にならうのが

当時の習慣であったし

罪人であった伊周を

突然そこまで引き上げたら

周りは反発するだろう。


が、帝は少し大きな声で

念を押した。


「そなたならばいかようにもなろう」


道長の権力があれば、

そのくらいたやすいではないか、

という嫌味でもあるのか…。


しかし道長も譲れない。


「難しいと存じます」


「朕の強い意向とすれば

誰も逆らえまい。

されどそれでは角が立つ。

異を唱える者も出よう。

ゆえにそなたの裁量に

委ねておる。

朕のたっての願いだ」


さすがに帝とはいえ、

裁量次第と言いつつ実質は

強制しているのに、

願いだ、と言われれば

道長の立場では断りづらい。


「難しきことながら

はかってみましょう」


そう答えるしかなかった。


「よしなに頼む」


「お上。

過日、差し上げた物語は

いかがでございましたか?」


「ああ…忘れておった」


帝は短く言うと去ってしまう…


さすがにこれは道長には

悲しすぎる返答だった…



道長はまひろに報告するしかない。


百舌彦と乙丸が様子を伺う。


気になり中に行こうとする

乙丸を百舌彦が留める。


「帝に献上したあれは…。

お心にはかなわなかった」


「力及ばず申し訳ございませぬ」


まひろはどこか割り切ったように言う。


「落胆はせぬのか?」


「はい。

帝にお読みいただくために

書き始めたものにございますが

もはやそれはどうでもよく

なりましたので

落胆はいたしませぬ。

今は書きたいものを

書こうと思っております。

その心をかきたててくださった

道長様には深く感謝いたしております」


まひろは微笑みながら言う。


「それがお前がお前であるための道か?」


「さようでございます」


道長もどこか安心して微笑んだ。



「源氏の君はお上が

常におそばにお召しなさるので

心安く里住まいもできません。

心の中ではただ藤壺のお姿を

類いなきものなしと

と思い申し上げこのような人こそ

妻にしたい。

この人に似ている人など…」


熱心に書き続けるまひろを

道長は見ている。


俺がほれた女は

こういう女だったのか…。



辞表を出した公任に

翻意を促すため

一条天皇は公任を

従二位に昇進させた。


この辞表作戦を指南したのは

実資だった。


「実資様、この度は

まことにありがとうございました」


「フフフフ…。

辞表はうまく効いたようだな」


実資は笑う。


「ハハ…実資様のお導きの

おかげにございます」


「うむ」


「ただのごね得ではないか」


と、斉信が現れた。


せっかく公任を抜いたのに

また並ばれてしまった。


「帝のお心もたわいもない

ものにおわすな」


しかし先輩である実資は


「従二位、従二位」


と公任と斉信を指すと


「正二位」


己の胸に手をやった。


「従二位、従二位…」


公任に声を合わせて


「正二位」


斉信も続ける。


「従二位、従二位」


「正二位」


おかしな3人だが、

先日のこともあって

これまでより親密さが

出てきたようである。



「では親王様、

これはいかがでございますか?」


道長が壺に矢を投げ入れる。


敦康親王が目を輝かせて

そんな道長を見る。


「親王様、左大臣様にお礼を」


母親役らしく、

彰子が声をかけた。


「うれしく思う!」


「恐れ入り奉ります」


道長は座る。


と、ふいに


「帝のお渡りにございます」


声がかかった。


道長は慌てる。


「お渡りのお触れはあったのか!?」


「いいえ」


「えっ」


道長は素っ頓狂な声を出す。


「さあさあ、片づけよ、

片づけよ」


慌てて指示を出す。



帝が座ると


「ここでお顔を拝せるとは

ご機嫌麗しく」


「うむ」


「お上、これを左大臣に

もらいました」


親王が壺を見せる。


「よかったな」


「お上もご一緒に遊びましょう!」


「お上」


彰子も珍しく帝に声をかけた。


が、そこで固まってしまう。


「親王様、書のお稽古の

刻限にございます」


「嫌だ」


「行っておいで」


帝が優しく声をかける。


「はい…」


親王は寂しそうに稽古に向かう。


「これにて御免を被ります」


いつまでもいても仕方ない、

道長も去ろうとしたが


「待て」


と、帝が止めた。


「はっ」


「読んだぞ」


少し照れくさそうに

帝が言った。


「あっ…」


「あれは朕への当てつけか?」


道長が恐れていた通りの問い…


「そのようなことはございませぬ」


帝、道長…そして彰子にも、

緊張が流れる。


「ところであれを書いたのは

誰なのだ?」


「前越前守藤原朝臣為時の娘、

まひろにございます。

以前、帝にお目通りが

かなったと伺っております」


帝も覚えていた。


「ああ、あの女であるか」


女でありながら政を

変えたいと語っていた

印象深い女性。


帝の表情も和らいだ。


「はっ」


「唐の故事や仏の教え、

我が国の歴史をさりげなく

取り入れておるところなぞ

書き手の博学ぶりは

無双と思えた」


興味がなさそうな

素振りをしていただけで

帝は書き手がいかに

聡明かをちゃんと汲み取っていた。


「その女にまた会ってみたいものだ」


本人に会いたいとは…

破格の待遇である。


「すぐに藤壺に召し出します」


「会うなら続きを読んでからとしよう」


「続き…ですか?」


帝は微笑んだ。


「あれで終わりではなかろう」


帝も続きが楽しみになっていたのだ。


「はっ。承知つかまつりました」



道長はさっそくまひろの家に向かう。


「あっ、あっ…

姫様!」


道長の姿を見るや乙丸は

慌てて駆けていった。



為時も道長の来訪を

驚いて見守る。


あの物語は駄目だったのでは

なかったのか?



まひろに会うと道長は突然


「中宮様の女房にならぬか?」


と尋ねる。


「は?」


あまりに想像を超える

申し出だ…


「この前お気に召さなかった

ようだと言った物語だが

帝が続きを読みたいと

仰せになった」


まひろは微妙な表情を浮かべる。


「何だ、そのどうでもよい顔は」


「続きをお読みくださいますなら

この家で書いてお渡しいたします」


「それでは駄目なのだ。

帝は博学なお前にも

興味をお持ちだ。

中宮様のおそばにいて

もらえれば帝かお前を目当てに

藤壺にお渡りになるやもしれぬ」


道長にとっては好都合なのだ。


まひろはすぐに意図を察する。


「おとりでございますか」


「そうだ」


道長は否定しない。


「まっ…」


「娘と離れ難ければ

連れてまいれ。

女童として召し抱える」


これも破格の待遇なのだ。


「考えてみてくれ」


要件だけ言うと道長は去った。



もちろんこのことを

倫子に内緒にはできない。


道長は倫子にまひろを

彰子のそばに置きたいことを

倫子に告げた。


「まひろさん?

殿がなぜまひろさんを

ご存じなのですか?」


道長にとって一番手強いのは

倫子かもしれない。


まさか元々知り合い、

それも恋仲だったとは言えない。


「公任に聞いたのだ。

面白い物語を書く女子がおると」


道長はつい嘘をついた。


…嘘、とも言い切れないが…


「へえ〜…」


「帝はその女子が

書いたものをお気に召し

続きをご所望だ」


「まあ…」


「藤壺にその女子を置いて

先を書かせれば帝も

藤壺にお渡りになるやもしれぬ」


「名案ですわ殿!さすが!」


と、倫子は笑って褒めた。


「そうか。

倫子がよいならそういたそう」


道長は平静を装いながら杯を受けた。


「これが最後の賭けだ」


「はい」


そこは道長の言う通り、

帝を振り向かせるためには

もうこれくらいしか

手が残されていないのも

事実ではある。


「まひろさんのことは

昔から存じておりますし

私もうれしゅうございます」


「うむ」



「この先のことを考えますと

私が藤壺に上がり働くしか

ないと思います」


まひろは父、為時に

今後のことを話している。


「わしとてまだまだ働ける。

年寄り扱いするでない。

されど帝の覚えめでたく

その誉れを持って藤壺に上がるのは

悪いことではないぞ」


為時はまひろの判断を

後押ししてやった。


「女房たちも一目置こう」


しかしまひろには当然ながら

心配が残る。


「ただ賢子のことが…」


「賢子ののとは案ずるな。

わしもいともおるゆえ」


「左大臣様は藤壺に

連れてきてもよいと

仰せなのです」


だが…為時にとっては

それは逆に心配なことだ。


「内裏は華やかな所であるが

恐ろしき所でもある。

お前ほどの才があれば

恐れることもあるまいが

賢子のような幼子が

暮らす所ではない」


自身も内裏に勤めてきただけに

為時には幼い賢子が、

あの内裏の空気の中で

暮らすことが良いことだとは

思えなかった。


「そうですね。

賢子は父上に懐いておりますので

私がいなくても平気かもしれませぬ」


「任せておけ。

母を誇りに思う娘に育てるゆえ」


自分は捨てられた…と

思わせてはいけないのだ。


為時はまひろに約束してやった。



翌日、賢子は相変わらず

執筆に忙しい母のもとを訪れる。


「どうしたの?」


「母上は私が嫌いなの?」


まひろは筆を置く。


「そんなことありませんよ。

大好きよ」


「大好きならなぜ内裏に行くの?」


幼子なら当然の疑問だ。


昨日は為時とあんな話をしたが

まひろは賢子の気持ちを

確かめた。


「賢子も一緒に内裏に行く?」


「行かない。じじがかわいそうだから」


賢子は自分まで行ったら

為時が取り残される、

ということを子供なりに

心配しているのだ。


「じじではありません。

おじじ様でしょ」


「行かない!」


こんなときに叱らなくても、

とばかりに賢子は

声を上げた。


「お休みの日には

帰ってくるから。

さみしかったら月を見上げて。

母も同じ月を見ているから」


「行かない!」


それだけ言うと賢子は

去ってしまった。



まひろは中宮彰子に初めて

拝謁した。


「中宮様。

この度、新たにお仕えする

こととなった女房でございます」


倫子が紹介する。


「出仕は来月からとさせますので

今日はご挨拶に」


道長と赤染衛門がまひろを見る。


「前越前守藤原朝臣為時の娘、

まひろにございます」


緊張しながらまひろは名乗った。


「帝たってのお望みで

この藤壺で物語を書くことと

なりました」


道長が説明する。


「お目をおかけくださいませ」


「帝のお望み?」


と彰子は尋ねた。


「この者の書いた物語を

帝が大層お気に召されましたゆえ

格別に取り立てました」


「帝と中宮様の御ために

一心にお仕え申し上げる

所存にございます」


彰子はいつものように黙っている。


まひろが困って顔を上げると

倫子が微笑んでいる。


道長もまひろを見る。



「では内裏の中は衛門が

案内いたせ」


倫子はまひろのことを

赤染衛門に託す。


「はい」


「あとは頼んだぞ」


道長も告げる。


倫子はまひろを見て

微笑んだ。


そして道長と倫子は去る。


「帝のお目に留まるとは

ご立派になられましたね」


懐かしげに衛門が

まひろに声をかけた。


「いいえ…」


衛門はまひろにとっては

若き日の師でもある。


そんな衛門から見ても

まさかこのような形で

まひろが自分と同じく

中宮に仕えるようになるとは

予想もできなかっただろう。


「なんとか今の藤壺の、

どうにも行き詰まった気分が

改まるとよろしいのですけれど…

参りましょう」


「はい」


衛門は案内しながら

まひろに尋ねる。


「まひろさん、

お子さんがおありなんですって?」


「はい。7歳の娘がおります」


「ご夫君を亡くされて

大変でしたわね。

まあ夫はいても

大して当てになりませんけれど…」


不思議そうに衛門を見るまひろ。


「私の夫はあちこちに

子を作りそれを皆、

私が育てておりました」


衛門も苦労してきたのだ。


「そのうち最初の子が

大きくなって、

下の子らの面倒を見てくれる

ようになり、

帰ってこない夫を待つのにも

飽きましたので

土御門殿に上がったのです」


「あなた様がそのような

お方だとは…

存じませんでした」


衛門は笑う。


「フフフ…。

人の運不運はどうにも

なりませんわね。

あんなにすばらしい

婿君と巡り会えた

土御門のお方様は

類いまれなるご運の持ち主。

羨ましゅうございます」


「まことに…」


まひろもそんな道長が

好きなのだから…。


「あの…中宮様はどういう

お方なのでございましょう」


「それが謎ですの」


「え?

お小さい頃から

おそばにおられましたのに?」


「それでも分かりません。

奥ゆかしすぎて」


衛門は困ったように答えた。


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帝の伊周のゴリ推しは、
伊周本人にとっても
マイナスになって
しまっているのだが、
まず本人がそれに気づいて
いないことが残念な点だ。

もちろんこのドラマでは、
という前置きはしないと
いけないわけだが、
安倍晴明は

「隆家は味方になる。
伊周がどうなるかは
道長次第」

と言っていた。

が、これでは道長が
どう振る舞おうとも
伊周は増長していく…

隆家が完全に道長側に
鞍替えしてくれているのが
ひとつの救いではあるだろう。

実際、隆家はこの後
日本を救う英雄となるので
院に矢を放ったのは
若気の至り。

大人になるにつれて
成長していく、という点で
隆家は頼れる存在となる。

それにしても、
道長にとっての最大のミッションは

「倫子に疑われずに、
まひろを出仕させる」

ということだったと思うわけだが
とりあえずはうまくいったw

「公任から紹介された」

といえばそれはそうだし、
公任の家で働いていた、
という事実はある。

が、これまで道長は
まひろのことは

「聞かれなかったから
とくに言われなかった」

というだけだったのが今回は

「聞かれたのに意図的に
嘘をついてしまった」

部分は引っかかるところだ…

いや、公任に聞いたのは
嘘ではないけれども

「帝がそのおなごを
お気に召し…」

など「そのおなご」と
まるで自分はよく知らない相手、
のように倫子に伝えている。

やましくないなら
せめて「元カノだ」は
言わなくていいけど

「あぁ、実はまひろとは
俺が幼い頃から知り合い
だったのだ。
倫子も仲が良かったのなら
ちょうどよかったな」

と、あっさり言えば
それでよかったw

しかし道長も成長したのは
まひろを登用するかどうかは
それこそ

「倫子さん次第です」

と投げかけていた事。

ここはかなり重要で、
自分が無理やり進めるのではなく
彰子を支える同志、
妻としての倫子に

「まひろに出仕してもらうのは
彰子のためになると思うが
倫子がそれでよければ、
そうしようと思う」

という相談の形を取ったこと。

そこはちゃんと北の方としての
倫子の意向を立てていて、
夫としても左大臣としても
藤壺の采配権は倫子にもある
ことを明確にしていた。

駆け引き、でもあるし
倫子の顔をつぶさないために
また、最近、心が離れがちに
なっていた倫子と再び
彰子のために手を取り合うには
うまい言い回しだったと思う。



ちょいと目つきは胡散臭いがなw


赤染衛門に悲しい過去…

というのも面白い設定だったね。

非の打ち所がないような方に見えて
恋愛も達人なのかな?と思ったら
意外とそんなことはない。

奔放な夫のせいで苦労してきた、
それが赤染衛門の人生だった。

でも、それも人間というもの。

まひろはここにきて、
様々な人の生き様に触れる
ことが出来てきたし、
それが作品作りに活かされて
いくのだろう。

ただし…気になるのは、
一人の母親としての
賢子との向き合い方、
だろうか…

実はまひろさんちは
内裏のすぐそばなんだけど
とはいえ賢子が母親を
求めてるのは確かなのに、
まっすぐに向き合えている、
とは言い難い気がする。

もちろん完璧である
必要なんてないし、
そこはまひろのよくないところ
なのであって、
それも物語としてはあとで
何らかの意味を帯びてくると
思うのだが。