光る君へ第26回あらすじ&感想前編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第26話「いけにえの姫」前編



長徳四(998)年10月、

日食と地震が同日に都を襲った。


まひろの屋敷もだいぶ

大きな被害を受けている。


「どうぞこちらへ」


と、いとが声をかけている。


「お方様…」


「あっ…」


まひろもいまや姫様、ではなく

お方様と呼ばれる立場だ。


「二階棚はそちらに」


「はっ」


「鏡台はその横です」


「はっ」


宣孝の従者たちが

まひろの指示に従い

動いている。


「宣孝様がこんなにも

裕福なお方とは

存じませんでした」


と、いとは驚いている。


「そうね…」


「不吉な大水も日食も

地震も吹き飛ばす頼もしさですわ。

福丸はぐらりと揺れた途端に

私をほっぽり出して

逃げてゆきましたけど

宣孝様はお方様をかばわれて

覆いかぶさって胸打たれました」


「そうね…」


きぬが


「福丸さんが来られましたよ」


と声をかける。


「どうも」


「もう!どこ行ってたのよ!」


いとが怒る。


「まあまあまあ…」


福丸は頭をかいた。


「おお、だいぶ進んでおるな」


宣孝がやってきた。


「おう、頼んだぞ」


「へい」


「お帰りなさいませ」


まひろは駆け寄る。


「まひろ。今日は取って置きの

贈り物を持ってまいった」


「毎度の贈り物はもう…」


「わしがしたいのだ。

断るな」


宣孝は若いまひろを

妻に迎えて嬉しいらしく

来るたびに贈り物を

届けているようだ。


2人は笑う。



まひろは宣孝から贈られた

鏡で自分を見ている。


「このようなよく映る鏡で

自分の顔をまじまじと

見たことはありませぬ。

うれしゅうございます」


「我ながらかわいいであろう」


宣孝はまひろを褒める。


「まあ、思ったとおりでございます」


「おっ、自信はあったのだな」


「またそのようなお戯れを」


「ならばもっと戯れよう」


宣孝は御簾を下ろす。


「まひろ」


「あっ!」


「アハハ!」



一条天皇のもとには、

ある文が届けられた。


行成が説明する。


「安倍晴明らによる

日食と地震についての

天文密奏にございます」


帝はそれを開く。


天文密奏とは異常な

天文現象が起きた時、

その占いの結果を内密に

天皇に知らせることを言う。


天皇以外の者が読むことは

許されなかった。


暗い顔で帝はそれを

読み進める。


「朕のせいなのか…」


安倍晴明は答えず顔を上げた。



道長に仕える恒方が

事態を報告する。


「水にのまれ、また建物の

下敷きとなり、

命を落とした者の数は

100を超えております」


道長もあまりの被害の大きさに

胸を痛めている。


「人夫を増やしてまずは

堤を急ぎ築き直せと

山城守と検非違使に伝えよ」


「はっ!」



雷雨の音がいまだに響いている。


「お出まし恐縮にございます」


安倍晴明が恭しく迎え入れたのは

道長である。


「この天変地異はいつまで

続くのだ。

お前の見立てを聞かせてくれ」


「帝のお心の乱れがおさまれば

天変地異はおさまります」


「中宮様のもとに昼間から

お渡りになり政をおろそかに

なさっていることは

先日、おいさめいたした」


が、大した効果はなかったのだ。


「天地の気の流れを変え

帝のお心を正しきところに

お戻しするしかございませぬな」


「いかがすればよい」


「左大臣様がよきものを

お持ちと申しました。

よきものとは左大臣様の

一の姫、彰子様にございます」


前回は話を濁した晴明だが

こたびははっきりとそれを伝えた。


「出家とは片足をあの世に

踏み入れること。

もはや后たりえぬ中宮様によって

帝は乱心あそばされたのです。

今こそ穢れなき姫君を!」


道長は気が向かない。


「義子様も元子様も

おられるではないか」


「お二人の女御様と

そのお父上には何のお力も

ございませぬ」


晴明は忖度なく述べる。


「左大臣様の姫君であらねば」


道長は立ち上がる。


再び雷雨の音が響く。


「できぬ」


そう道長は答える。


「私には見えます。

彰子様は朝廷を背負って立つお方」


「そのような娘ではない!」


道長は声を荒げた。


そしてしばし考える。


「引っ込み思案で口数も少なく…

何よりまだ子供だ」


道長は娘を利用するよう

進言する晴明に怒りを

ぶつけるように言った。


が、晴明は引かない。


「恐れながら入内は

彰子様が背負われた宿命に

ございます」


また、雷雨の音が響いた。



迷った道長は詮子に

相談を持ちかけた。


「お前もそろそろ

そのくらいのことをしたら?」


「女院様までなんということを!」


道長は抗議する。


「身を切れということよ」


詮子はあっさりと答えた。


そして道長に向き直る。


「お前はいつもきれいな

ところにいるもの。

今の地位とてあくせくと

策を弄して手に入れた

ものではない。

運がよかったのでしょ。

何もかもうまくいき過ぎて

いたのよ」


詮子は淡々と告げる。


「身を切る覚悟は

常にございます。

されど彰子はまだ子供」


「子供であろうとも

それが使命であれば

やり抜くでしょう」


詮子とて父の命に従い

入内をした。


その詮子の息子である

帝とて子供の頃から

帝となるべく育てられたのだ。


だが…道長にはわからない。


「むごいことを仰せられますな」


詮子は苦笑した。


「それそれ。

そういう娘をかばう

よき父親の顔をして

お前は苦手な宮中の

力争いから逃げている」


図星だったのか、

道長はやや目をそらした。


「私は父に裏切られ、

帝の寵愛を失い

息子を中宮に奪われ

兄上に内裏を追われ

失い尽くしながら生きてきた。

それを思えば道長もついに

血を流す時が来たということよ」


道長の表情は冴えない。


「朝廷の混乱と天変地異が

おさまるなら彰子をお出しなさい」


道長は少し怒りをこめて


「姉上がそのように

私を見ておられたとは

知りませんでした」


とぼやくように言った。


詮子は笑う。


「大好きな弟ゆえ

よく見ておっただけよ」


詮子はそう告げる。


「父上!」


と、息子の田鶴の声がする。


「申し訳ございませぬ。

田鶴が聞かなくて」


倫子が追いかけてきた。


「父上、今日迦陵頻の舞を

習いました」


「ほう、そうか」


「ご覧ください。

いんじゃ…ち〜ち〜ら〜

ろ〜ろ〜」


可愛らしく舞い始める田鶴。


「ハハ…今度ゆっくり見るゆえ」


「田鶴。父上はお疲れです。

またにしなさい」


道長は倫子の後ろにいる

彰子に声をかける。


「彰子、そなたは何を

しておったのか?」


彰子は黙ったまま答えない。


詮子がその様子を見つめる。


「姉上は何もしてません」


「これ!」


田鶴を倫子が叱る。


「父上のお邪魔をしては

いけませんよ。

あちらに参りましょう」


皆が立った。


「ご無礼をいたしました」


倫子が頭を下げる。


彰子もゆっくり頭を下げて去った。



「お痩せになられましたね。

大水、日食、地震以来

お仕事が忙しすぎるので

ございましょう。

心配でございます」


夜、寝室で倫子が

道長に声をかける。


「肩をおもみいたします」


「よい。

それより相談がある」


「相談?いつもお胸の内を

お明かしくださらぬ殿が

私に相談とはうれしゅうございます」


倫子は思わぬ言葉に

笑みを浮かべた。


だが道長の表情はかたい。


「うれしい話ではない」


「え?」


道長は座る。


「彰子を入内させようと

思うのだ」


途端に倫子の顔も曇る。


「続く天変地異を鎮め

世の安寧を保つには

彰子の入内しかない」


「お気は確かでございますか?」


倫子から辛辣な言葉が飛ぶ。


「入内して幸せな姫なぞおらぬと

いつも仰せでしたのに」


「今もそう思っておる。されど…」


「嫌でございます。

あの子には優しい婿をもらい

穏やかにこの屋敷で

暮らしてもらいたいと思っております」


倫子自身が若い頃には

頑なに入内を拒むことで

好きな道長と結ばれた身だ。


娘にもそれを望むのは

無理もない。


「俺も同じ思いであった。

されど今は入内もやむなしと

思っておる」


「よくお考えください。

中宮様は出家してもなお

帝を思いのままに操られる

したたかなお方。

そんな負けの見えている

勝負などに…」


「勝負ではない!」


と、道長は声をあげた。


続く言葉はもっと

つらいものであった。


「これはいけにえだ」


倫子は黙る。


「手塩にかけた尊い娘ならばこそ

値打ちがある」


道長は決意を固めるように


「これ以上、帝のわがままを

許すわけにはいかぬ。

何もしなければ朝廷は

力を失っていく」


と述べる。


が、倫子はそれでも

考えを変えてはくれない。


「朝廷がどうなろうと

あの子に関わりはありませぬ」


「そうはゆかぬ。

私は左大臣で彰子は左大臣の娘なのだ」


俺、でなく私…と

言っている時点で己に

言い聞かせている面も

あるのだろう。


「不承知にございます」


倫子はかつての父雅信のように

不承知、という言葉で

道長を牽制する。


「そなたが不承知でも

やらねばならぬ」


「相談ではございませんでしたの?」


そう言われてしまえば

確かにそうである…が、

人が相談するときなどは

結局、答えが決まっているのに

背中を押してほしいから

なのだろう。


「許せ」


道長は頭を下げた。


「殿、どうしても彰子を

いけにえになさるのなら

私を殺してからにして

くださいませ」


倫子の意思はそれほど固い。


「私が生きている限り

彰子を政の道具になど

させませぬ!」


倫子はそう言うと出ていった。



倫子の母、穆子はその話を聞くと


「そういえばあなたも

さきの帝に入内する話があったわね」


と懐かしそうに言った。


「入内せず殿の妻になれて

心からよかったと私は

思っております。

それゆえ彰子にも

そのような幸せを与えて

やりたいのです」


「そうね…」


穆子は穏やかに答えるが


「そうだけど入内したら

不幸せになると決まった

ものでもないわよ」


と述べた。


「帝は政もおろそかに

なられるほど

中宮様の色香に

骨抜きにされてるので

おられますよ」


だが穆子は穏やかな声で

驚くべきことを言った。


「ひょっこり中宮様が

亡くなったりしたら?」


「母上!」


普通ならまだ若い中宮が

亡くなるなど考えられないし

何よりさすがに不敬な発言だ。


「何がどうなるかは

やってみなければ

分からないわよ。

それに中宮様は帝より

4つもお年が上でしょ。

今は首ったけでも

そのうちお飽きになるんじゃない?」


穆子はあくまでも冷静だった。


倫子は…納得がいかず

うなだれるしかない。



「年が明けたら改元いたそうと

思うのだが」 


道長は実資に相談している。


「長保がよろしかろうと存じます」


「うむ、長保か…」


道長は案を書いた紙を見る。


「左大臣様の世は

長く保たれましょう」


実資はそんな世辞を言う。


「帝の御代であろう」


「帝は傾国の中宮にお心を

たぶらかされておられますゆえ

このままでは…」


実資は首をひねった。


「そうなのであるが…」


道長も否定できない。


「もし左大臣様の姫君が

入内されれば後宮の内もまとまり

帝のご運も上向いて

御代も長く保たれるのでは

ございませぬか」


「中納言殿はまことに

そう思われるのか?」


「もちろんにございまする!」


力強く実資は答えた。



その夜、実資は日記を書いた。


「入内…。

ないな…。ないない」


オウムが


「ナイナイ…」


と繰り返した。


「ないない…」



田鶴の


「妍子!」


と遊ぶ声が響く。


「いきますよ…」


「それ!」


「いくぞ…」


子供たちは鞠をころがして

遊んでいる。


「あっ!」


それが倫子のところへ

転がってきた。


「はい」


鞠を受け取ると急に

田鶴は生意気なことを聞く。


「母上。姉上はぼんやり者ゆえ

婿も来ないのですね」


「田鶴!姉上をそのように

言うてはなりませぬ」


「琴だって少しも覚えてなくて…。

お師匠さんが怒ってました」


「田鶴はこの家を継ぎ、

父上の跡を継ぐ大切な嫡男。

姉上は帝のお后となるような

尊い姫なのですよ!」


と叱りながら


「あら…」


と、倫子は気付いた。


自分も心の中では彰子のことを

帝の后になれるような

姫でいてほしいと思っているのだ。


「あら…」


田鶴が真似する。


「これ!」


「これ!」


田鶴はさらに尋ねた。


「母上は父上とけんかしているの

ですか?」


「していませんよ」


「いつもプンプンしてるから」


「していません!」


「していません!」


田鶴は真似しながら

戻っていった。



そんな声が響く中で別室では

道長が彰子に入内の話を

もちかけている。


「父はそなたを帝の后にしたいと

考えておる」


彰子はぼんやり聞いている。


「驚かぬのか?」


「仰せのままに」


「母上はかたく不承知なのだが

お前はまことによいのか?」


「仰せのままに」


淡々と答える彰子に

道長は厳しいことも

隠さず伝えようとする。


「内裏に上がれば母上や

田鶴らとも気軽に

会うことはできなくなる。

されどこの国の全ての

女子の上に立つことは

晴れがましきことでもある。

父の言ってることが分かるか?」


「仰せのままに」


またもや同じことを返す娘に


「分かるかと聞いておるのだ」


叱るように問うが、

彰子は返事もない。


道長は苦い顔をした。


悲しそうな彰子に

道長もかわいそうになり


「ああ今日はもうよい。

また話そう」


と優しく声をかけた。



あのように何も分からぬ娘を

入内させられるのか…。


道長は悩んでいた。



その頃…


まひろの膝に頭を乗せ

宣孝が眠っている。


あたりが冷えてきて

まひろはくしゃみをした。


宣孝が、目をあける。


「ああ、すまぬ」


宣孝は起き上がった。


「気持ちよく寝てしまった」


「お風邪を召されますよ」


「ああ…」


宣孝はまひろを抱き寄せる。


「こうしておれば

風邪などひかぬ」


「フフ…静か…」



帝は気力を失い、

なおかつ自分を責めている。


「朕が政をおろそかにしたせいで

多くの民が命を失った。

このままでよいとは思えぬ。

責めを負って譲位し

中宮と静かに暮らしたい」


なんと、譲位までも

口にしながら中宮のことだけは

手放す気はないのである。


行成は進言する。


「恐れながらたとえ

ご譲位なさろうとも

今のまま中宮様を

ご寵愛あそばせば

中宮様のお立場も

脩子内親王様のお立場も

危うくなります」


「なんと…」


「ご譲位ではなくご在位のまま

政に専念なさるお姿を

皆にお見せくださいませ。

さらにお上に皇子なくば

東宮様の皇子、

敦明様が次の東宮と

なられましょう。

さすればお上の御父上で

あらせられる円融院の

御筋は途絶えます。

女院様とてそれは

お望みになりますまい」


帝は暗い顔のままだ。


「その方の考えは分かった。

譲位はせぬ…

されど…我が皇子は

中宮が産むことを朕は望む」


帝の思いはいまだに

中宮にこだわっている。



「お言いつけどおり

円融院の御筋は絶えてはならぬ

ということをお伝えいたしました」


行成は道長に報告する。


「その点はお心に届いたと

存じますが中宮様への

ご執着はなかなか…」


「いや、一歩進んだ。

行成のおかげだ」


「公卿たちは左大臣様の

姫様が入内と聞けば

皆、喜びましょう。

公になされば内裏の

気配も変わります」


「まだ公にするには早い」


道長は行成を見た。


「この件これからも

行成の力添えが欠かせぬのだ。

頼んだぞ」


「はっ」


__________________


幼い娘からよく知っている仲の

宣孝とまひろ。


親子ほども年は離れているが、

当時としてはそれ自体は

とくにおかしなわけでもなく…


まひろ自身が普通の女性とは

少々外れた性格だからこそ

まひろのことをよく知る

宣孝というのは意外と

お似合いかと思ったのだが…


それでも衝突してしまうのが

男と女の難しいところ。


たまに遊びにくる親戚のおじさん、

くらいの見方をするのならば

まひろにばかり土産を

買ってくることも、

民の子供がどうなろうと

知ったことではない、

という態度も基本的には


「いいかげんな困ったおじさん」


くらいで済んでいた。


ところがいざこれが

夫、となると話は別だろう…


少し昔に成田離婚と言って

結婚したての男女が、

新婚旅行を気にそれまで

見えなかった相手の嫌なところが

見えてしまって、

別れてしまう…なんてことが

取り沙汰されたことがあったが…。


やはり関係が深くなると

相手の嫌なところというのは

目についてしまうもの、

なのかもしれない。



いつもは先々帝の妻であり、

女院という立場にありながら

自分に対しては優しく

してくれていた姉、

詮子からの道長評というのは

だいぶ辛辣なものがあった。


道長はいつまでもきれいなままで

いようとしているのだ、と。


実はこれと同じようなことは

かつて道兼からも言われていた。


当時の道兼は荒れていたので

単なるいやみのようでも

あったのだが…


実際のところ本作の道長は


「いいヤツ」


ではあるのだけれども、

父からも姉からも大事にされ

比較的、運良く出世もしており

恵まれてはいる。


帝が政務から遠ざかって

しまっていることで、

道長自身も自由に動けずに

苦労しているとはいえ

周囲からみたときには

まさしく


「権力の頂点に運良く若くして

君臨している三男坊」


でしかなかったかもしれない。


道長は道長で友であった

直秀を失うなどの苦しみは

味わってはいるのだが、

それを知っているのは

まひろくらいのものだ。


帝に娘を差し出す、

というのは本来ならば

誉れであるわけなのだが、

明らかに定子にしか目がない

帝の妻にさせるというのは

一人の親として考えれば

断腸の思いではあるだろう。


なにせ他の公卿たちの娘も

女御となっているのに

相手にすらされていないのだから。



彰子は生まれた頃から、

言葉が遅い…と倫子からも

心配されていたけれど、

独特のキャラとなっている。


もちろん単なる「うつけ」

などという描かれ方は

まったくしないと思うけれど…


あまり人に思いを語らないのに

なぜか好かれやすい道長や

天然でありながら、

凛とした振る舞いもできる倫子とは

全然、違う雰囲気を持つ彰子。


やがては紫式部、つまりは

まひろの人生に大きな影響を

与える女性となるので、

この彰子がどんな大人へと

成長していくのか、

というのも見どころになるだろう。



倫子は


「不承知」


を貫いていたが、

そこはまた父の雅信に似てもいるし

倫子自身が入内を嫌がって

生きてきた女性なだけに

少なくとも本作の道長、倫子は


「娘を使ってまでさらに

権力を高めたい」


とは思っていないところが

面白いところだ。


これこそが


「きれいに描きすぎ」


という意見もあるのだが、

本当のことなんてわからないわけで

実際にそうだったかもしれないし、

伝わっている


「史実」



「娘を帝の妻にしてさらに

権勢を得た」


になっているけれど、

それはあくまでそういう


「結果」


が歴史として残っているだけだ。


本作のように


「本当は気が進まなかったが

やむなくそうした」


という可能性はゼロではない。


とくに女性の家の権力も

重視されていた時代であり

たとえ道長が望んでも、

倫子は反対した、という

こともあり得る。


倫子は後に官位では

道長を上回ったりすらも

しているので、

後の世の人が思うような


「政治は全て男の意志で決まる」


というようなものではない。


ドラマはそのあたりを

夫婦の確執のひとつとして

うまく描いていると思う。


とはいえ倫子も最終的には

腹を括ってくれている。


道長にとっては、

正妻である倫子の存在は

やはりまひろよりも、

頼れるものであるのは

間違いないだろう。


道長自身が、

この時点でそこまで

気づいているかは別として…。