光る君へ第25回あらすじ&感想後編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第25話「決意」後編



公任が職御曹司の帝らの前で

笛を披露している。


雅な音色に伊周もききょうも

聴き入っていた。


「よい音色であった」


定子の手を握りながら

帝は公任を褒めた。


「お上には遠く及びませぬ」


「そういえば公任殿と

少納言が歌のやりとりをしたと

いう話を聞きました」


伊周が尋ねる。


「ハハハ…。

噂の少納言殿に挑んでみたく

なりまして。

私が詠んだ下の句に見事

少納言殿が上の句をつけて

くれました」


「おお…どんな歌だ?」


帝は興味深そうである。


「すこし春ある心地こそすれ…」


ききょうが


「空寒み花にまがへて

散る雪に」


と応じる。


定子が微笑み繋げて詠む。


「空寒み花にまがへて

散る雪に

すこし春ある心地こそすれ」


「すこし春ある…。

白楽天の南秦雪か?」


公任が帝に頷く。


「私は公任殿の才知に

憧れております。

これからは師として

私に歌の指南をしてくださいませ」


と伊周が頼んだ。


「伊周殿は十分腕を磨いて

おられましょう」


「中宮様、ここで公任殿の

歌の会を開くのはいかがでしょう。

男も女も共に学べる場を

設けたら皆、喜びます」


狙いはそれなのだ。


道長の友である公任を

招き入れることで、

職御曹司をさらに

内裏の代わりにして

しまおう、ということ…


公任の表情が固くなるが、

帝は無邪気に


「ああ…それはよい。

頼んだぞ、公任」


と声をかける。


「私からもお願いいたします」


定子が笑った。


「恐れ多いお言葉、

痛み入りまする」


そう公任は答えるしかない。


ききょうの元に侍女が

何かを囁いた。


「左大臣様がお越しだそうで

ございます」


言いにくそうにききょうは

報告する。


皆の表情が曇る。


帝は繋いでいた定子の手を離した。


道長は暗い顔で歩いてくる。


一瞬、公任と目が合った。


公任が場を空けると

道長は帝に拝礼する。


「お上、お願いがあり

参上いたしました」


「ここで政の話はせぬ」


定子は空気を読み下がろうとしたが


「中宮もここにおれ」


と、帝は止めた。


「一昨日の雨で鴨川の堤が崩れ

多くの者が命を落とし

家や田畑が失われました」


帝も気まずそうだ。


「堤の修繕のお許しを

お上に奏上しておりましたが

お目通しなくお願いしたくとも

お上は内裏におられず。

しかたなくお許しなきまま

修繕に突き進みましたが

時既に遅く、

一昨日の雨でついに

大事に至りました」


公任も内心わかっているのだろう、

険しい顔で聴いている。


「早く修繕を始めなかった

私の煮えきらなさゆえ

民の命が失われました。

その罪は極めて重く

このまま左大臣の職を

続けてゆくことは

できぬと存じます」


道長は己を責めているが、

元はといえば帝が

政務を省みなかった結果でもある。


道長一人が罪を被るのは

おかしいことくらいは

帝にも分かっている。


「何を申すか!」


「どうかお願い申し上げまする」


「ならぬ!」


帝は強く引き止めた。


「朕の叔父であり朝廷の重臣であり

朕を導き支える者はそなたでなくして

誰がおろう」


帝とて伊周などは

張り子の虎のようなものだと

理解はしているのだ。


「お上のお許しなきまま

勝手に政を進めることは

できませぬ。

その迷いが…こたびの失態に

つながりました」


道長が言っているのは、

それゆえに民の尊い命が

失われた、

という現実だ。


「これ以上は無理でございます」


政務を省みない帝の下では

道長は働けない、

という意思表明でもあった。


「どうかお許しくださいませ」


深く頭を下げる道長を見て

公任も神妙な面持ちだ。


「そなたの言いたいことは分かった。

朕が悪い。こたびのことは許せ」


帝も元は聡明な人だ。


素直に非を認める度量はある。


「許せ、左大臣」


が…道長は答えない。


そして、口を開く。


「辞表は蔵人頭、

行成を介して提出いたしました。

内裏にお戻りになられましたら

ご覧くださいませ」


まずはさっさと内裏に戻れ、

ということだ。


道長は出ていってしまう。


「待て、左大臣!」


道長のあまりの怒りに

公任、伊周、ききょうも

声も出せない。



道長は3度にわたり辞表を提出するが

一条天皇は受け取らなかった。


心の中では道長の必要さは

分かっているのだ…。



大水で浸水した床を

まひろたちが掃除している。


為時の身分が上がったとて、

都の屋敷を建て直すような

ゆとりも時間もない。


「ただいま戻りました」


乙丸が鴨川から帰ってくる。


「ご苦労さま。

鴨川の堤はどう?」


「泥の塊があちこちに

たまっていて修繕は

なかなかはかどりませぬ」


「ここはなんとか無事だった

けれど…

家を失った人はどうしているのかしら」


まひろは心配になる。


「皆、途方に暮れておりました」


福丸が


「大水は今に始まったことでは

ございませぬゆえ、

いずれ持ち直しますよ」


と安心させるように言う。


「2人とも疲れたでしょう。

水を」


「はい」


きぬが水を汲みに行く。


いとが乙丸の汗を拭きながらも


「一休みしたらあちらの

泥さらいもお願いね」


と頼んでいる。


「おう」


「よく尽くすのね、福丸は」


まひろは感心した。


「この人は私の言うことは

何でも聞きます。

そこがよいのでございます」


「のろけてるの?」


「のろけてるわけでは

ございません。

私なりの考えでございます。

皆、歌がうまい男がよいとか

見目麗しい男がよいとか

富がある男がよいとか

話の面白い男がよいとか

言いますが

私は何も要りません。

私の言うことを聞く

この人が尊いのでございます」


長年、為時や惟規に

尽くしてきたいとならではの

人生観がそこにある。


「そうなのねえ…」


「では…おし…」


福丸はさっそく働き出した。


「乙丸ときぬは越前の

どこで知り合ったの?」


いとは乙丸に尋ねた。


「こいつはウニを取る

海女でございます。

姫様がウニをお好きでしたので

いつもウニを求めに

行っておりました。

その時にうっかり」


うっかり、というのも

おかしいが以前まひろに

述べていように、

乙丸はまひろのために

恋をしないようにしてきた。


それがうっかり心を

惹かれてしまったのだろう。


「私が食べていたウニは

きぬが取ってくれていた

ウニなのね」


「はい。私の得意な技は

息を長〜く止めることで

ございます」


海で日焼けしたきぬは

笑顔を見せながら、

息を止めてみせた。


「海女は息を止めて

海に潜りますので」


「ああ…頼もしいのね」


まひろは笑った。



「お帰りなさいませ」


戻ってきた道長を恒方が出迎える。


どうやら来客があるらしい。


「右衛門権佐兼山城守

藤原宣孝殿でございます」


「うむ」


軽く答える道長だが、

政務のほうが忙しい…


「鴨川の堤の修繕は

どれほどのかかりとなるか

急ぎ答えを出せ」


「はっ」


「お忙しいところ

申し訳ありませぬ」


宣孝が挨拶をする。


「川岸の検分に御自ら

お出ましと聞いて

恐れ入り奉っておりました」


仰々しく述べる宣孝に


「何か用か?」


と淡々と尋ねる道長。


「さきの除目で山城守を

仰せつかりましたので

お礼を申し上げに参りました」


山城、つまり京都の国守、

ということであるから

宣孝もまた出世している。


「うむ。

お上のために励んでもらいたい」


「親戚である藤原朝臣為時も

越前守に任じていただき早1年、

つつがなく勤めておるようで

ございます」


忙しい道長は話を聞きつつ、

さほど興味はなさそうで

文を開いている。


「おかげさまで為時の娘も

夫を持てることになりました」


道長は顔を上げた。


「それはめでたいことであった」


と答えるがやや表情が固い。


宣孝はそんな道長を

ニヤニヤと、見つめる…


「何だ?」


「実は私なのでございます」


「何が私なのだ?」


道長は平静を装う…


まさか、この年の離れた男が

まひろの相手のわけがない、

というように。


「為時の娘の夫にございます」


道長の文を持つ手が固まるが


「フッ…それは何より」


努めて、極めて冷静に、

そう笑って答えた…。


宣孝はさらに様子を伺うように

道長をじろじろと見つめた。



まひろは柱にもたれかかり

書物を読んでいる。


「君の門は九重閟ず

君の耳はただ聞こゆ堂上の言

君の目は見えず門前の事」


新楽府である。


そんなまひろのもとに

にやけながら宣孝が


「越前では忙しそうであったが

都では暇そうだな」


と訪ねてきた。


「書物を読むのは暇だからする

ことではございませぬ」


失礼な、とばかりにまひろは怒る。


「うわっ、またしくじった。

ハハハハハ」


まひろに叱られると、

宣孝はいつもうれしそうだ。


「随分とご機嫌なご様子に

ございますね」


「先ほど内裏で左大臣様に

お目にかかり山城守拝命の

お礼を申し上げてきた」


左大臣…という言葉に

まひろはふと反応してしまうが

書に目を落とした。


が、宣孝はわざわざ

おかしな釘を刺す。


「お前を妻にしたい旨も

お伝えしたらつつがなくと

仰せであった」


「そのようなこと何故

左大臣様に…」


「いや、挨拶はしておかねば。

あとから意地悪されても

困るからな」


まひろと道長が良い仲で

あったことを宣孝は

どこかで知っていたのか

そのようなことを言った。


「何なんですか?

その嫌らしい物の言い方は!」


まひろが真剣に怒る。


「好きだからだ、

お前のことが」


真っ直ぐにそう言う宣孝…


だが、まひろは戸惑う。


「お帰りくださいませ」


「は〜い。

また叱られてしまったわ。

ハハハハハハ!」


宣孝は笑いながら

退散していった。


まひろは気づいていたかどうか。


若き日に道長と街で一緒に

いたところを宣孝が

見かけていたことがある。


あのとき道長は

身分を隠していたのだが

宣孝は気づいていたのかもしれない。



道長は…


「お迎えの車が参っております」


「今日は帰らぬ」


「えっ?」


「ああ…うむ」


「はっ」


政務に勤しんでいるようで、

やはりまひろの結婚には

苦しいものを感じていた。


「うむ…」


なんとか自分を納得させるしかない。



その道長からは豪華な

贈り物が届けられた。


「お戻りになりました」


きぬが声をかける。


「百舌彦」


以前よりはだいぶ立派な

身なりとなった百舌彦が

まひろに頭を下げた。


「こたびはおめでとうございます」


「偉くなったのね」


まひろは百舌彦に微笑む。


「長い月日が流れましたので」


まひろが道長と

恋に落ちていた頃からすれば

もう10年以上…


出会った頃を思えば

20年は経つのだ。


「まことに」


「もろもろお話ししたきことも

ございまするが

本日はこれにて」


百舌彦はまひろに

文を渡す。


まひろは慌ててそれを開くが…


あの人の字ではない…。


道長直筆のものではなく、

まひろはなんだかそのことに

一抹の寂しさを覚えた。



まひろは何かを思いつくと

筆を取った。


そしてそれに竜胆の花を添えて

乙丸に託した。


「承知いたしました」



送った相手は宣孝である。


夜になり宣孝がまひろのもとを訪れる。


まひろはやや緊張しながら

頭を下げた。


宣孝もいつものように

騒がしくはなく、

真面目な顔だ。


「私は不実な女でございますが

それでもよろしゅうございますか」


「わしも不実だ。

あいこである」


わざわざ道長のもとに

報告に行ったことについて

申し訳ない気持ちもあるのか

宣孝はそう答えた。


まひろは笑顔を見せる。


「まことに」


宣孝はまひろを抱き締めた。


そして、2人は結ばれる。



翌日は日食。


不吉の兆しであった。


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帝を諌めるために道長は

辞表を突きつける、という

強硬手段に出たのだが

これが辞める辞める詐欺かというと

3度も辞表を出す、となると

道長自身も民を巻き込んだことへの

深い絶望感はあったのかも

しれない。


公任などは招かれれば、

帝の誘いを断ることも

出来なかったろうが、

いつの間にかつい先ごろまで

罪人として扱われていた

伊周がまた帝に侍っているのは

情けない思いはあったろう。


とはいえ実際には、

道長の思いを汲んだ面も

あったのだが、

罪人となっていた伊周に

公任は温情をかけて

母に会わせようとは

してやっていた。


だから伊周が公任のことを

恨んだりもしていないだろうし

公任のような人を味方にし、

内裏ではなく職御曹司に

一勢力を作ってしまおうと

画策するのもやむを得ない…


だが、道長からしてみたら

つい先ごろは斉信を

信じたばかりに伊周への

処罰を厳しくして

関係がこじれてしまったのだし…


蔵人頭の行成は

帝への説得がうまくいかず、

公任は公任でその帝や伊周に

接近している(ように見えた)

では面白くもないだろう。


珍しく全体的に道長は

苛々を募らせていた。


闇落ち、などとまでは

いかないけれども

道長自身がこれまでのように

優しいままでは

いられなくなってきたことは

劇中からも伝わってくる。



それに追い打ちをかけるよう

わざわざ宣孝がまひろを

妻にすることを報告にくるわけだが…


道長とまひろの仲を

知っていた者は限られるし

誰も宣孝にそれを

教えたりはしていないだろう。


とはいえだいぶ若い頃、

街でまひろと道長が

親しくしていたところは

宣孝も見かけたことがある。


あのときにも身分違いの恋は

危険だぞ、という

思いから2人を引き離したのなら

まひろが長く結婚しなかったのは

道長のことを引きずっていたのでは?

と、勘ぐっても無理はない。


べつにそれが勘違いなら、

あくまでも任官の礼のついでに

結婚報告をしただけだし

それが当たっているなら、

男として恋仲だった相手に

筋を通した、ともいえる。


ましてや宣孝のほうが

2人よりは年上なのだ。


すでに結婚していて

家庭も持っている道長をみれば、

結婚もせず独り身でいる

まひろが道長を慕って、

ずっとそうしているのなら

道長に対して


「もう解放してやってくれ」


ということを大人の男として

伝えたかった、

という意味もあるかもしれない。


もちろん道長がわざと、

まひろを引き止めている、

なんてことはないのだが、

状況としては自然に

そうなってしまってはいた。


道長が直筆で文を

寄越さなかったのは


「俺のことは忘れてくれ、

幸せになっていいんだ」


ということを伝えるためかも。



まひろは宣孝への返事に

竜胆を添えた。


竜胆の花言葉は


「勝利、誠実」


宣孝の勝利ですよ、

の意味もあるかもしれないが、


「誠実」


と送りながらも

抱かれる前には


「私は不実な女」


と言っているところが

また意味深いものがあるし

宣孝も自分も不実だ、

と言っている。


つまり「誠実」の名のもとに

「不実」な2人が結ばれた。



2人が結ばれるのは

悪いことなんかではないのだが

空には日食という、

不吉なことが起きている。



この作品のテーマとして

毎回、月が象徴的に描かれているが

日食とは月が太陽を隠して

見えなくしてしまうこと。


今回の日食は、

どんなことを意味しているの

だろうか?