光る君へ第23回あらすじ&感想後編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第23話「雪の舞うころ」後編



行成は帝の子の誕生を報告する。


「今朝、姫皇子がご誕生になりました」


「中宮は無事か!?」


「お健やかにおわしますそうで」


「よかった…

娘か。

中宮に会ってねぎらいたい」


行成は黙る。


帝も察して座り込んだ。


「絹をたくさん送ってやれ。

今年は寒いゆえ」


「承知いたしました」



内裏、梨壺。


一人の高貴な若者が

赤子を抱えている。


居貞親王だ。


東宮、居貞親王は

道長のもう一人の姉の子である。


一条天皇より4歳年長の

東宮であった。


「左大臣様のお越しでございます」


道長が訪ねてきた。


「東宮様にはご機嫌麗しゅう

この道長もあやかりとう存じます」


「珍しいな、叔父上。

私のことなど忘れておったのかと

思っておった」


「あっ…。

このところ雑事が多く

長く参上できずにおりました。

お許しを」


「御息所様。敦明様は

おいくつになられました?」


藤原娍子は


「3歳にございます」


と答える。


「帝のお子は女であったそうだな」


「さようでございます」


「出家した尼が子を産むとは

ゆゆしきことだ。

されど産養の支度にも

事欠くと聞くゆえ

祝いを送ってやれ」


居貞親王はどこか、

定子を見下したように

そう告げる。


「何でもよい。

叔父上に任せる」


「はっ、承知つかまつりました」



道長が帰ると…


「でかしたぞ晴明」


と、居貞親王は屋敷に来ていた

安倍晴明に声をかける。


「お前が言っておったように

姫皇子であったな」


「はっ」


「帝にこのまま皇子ができねば

我が子敦明が東宮になる

ことになる。

そう思うてよいな」


しかし晴明は意外なことを

予言した。


「恐れながら帝に皇子は

お生まれになりまする」


「新しき女御の子か」


「中宮様の皇子であろうと

存じます」


「なんと…」


居貞親王は嘆く。


ということは、

この先、どこかで帝はまた

定子と接触する、

ということだ…



長徳三(997)年。


「宣孝殿は去年、

年が明けたら宋人を見に

越前に行くか、と

文をよこしたが

とうとう来なかったな」


寂しそうに為時がぼやいた。


「もう春でございますものね」


「相変わらずいいかげんなやつだ」


「愉快でお気楽なところが

宣孝様のよいところで

ございます」


「まあ最初から来るまいと

思っておったが」


気分屋の宣孝だから

為時とて本気で期待などは

していない。


「私も決してお見えにならないと

思っておりました」


「ハハハ…」


さんざんな言われようだが、

2人ともそんな宣孝が、

好きなのだ。


「宋語の勉強は進んでいるのか?」


「まだまだ父上には追いつきませぬが」


「楽しそうだな」


「はい。

宋語を学ぶのは面白う

ございます」


聡明なまひろにとっては

刺激的な毎日なのだろう。


「音を聞けばおのずから

漢文が浮かんできて…」


「うむ。お前は覚えがよいから

周明も教えがいがあろう。

幼い頃、漢詩も一度聞けば

覚えてしまって驚いたものだ」


子供の頃からまひろは

為時が教えてやれば、

すぐに文を理解できる子だった。


「覚えておりませぬ」


為時はそんなまひろを

気遣うように


「長い間、わしが官職を得られず

そなたによい婿を取って

やれなかったこと

すまないと思うておる」


「どうなさったのですか?

いきなり」


為時は少し恥ずかしそうに


「周明は骨のありそうな男だ。

彼の人にとってもお前は

救いであろう」


周明と良い仲になってもよいのだ、

と伝えようとした。


「私と周明はそのような

間柄ではありませぬ」


「そうか。

うん、それならそれでもよい。

好きにせい」


「それはございませぬ」


少し戸惑いながら

まひろは答えた。


為時も今はまひろの

道長への気持ちも知っている。


無理強いはしない。


が、まひろとて迷っている

面はあるだろう。


「明日からわしは

越前国内の巡察に出る」


「ならば私もお供しとうございます」


「そなたはここにおれ。

雪も溶けたゆえ心配するな」


為時からしてみたら、

自分がいない間にでも

周明と何か進展してくれれば…

との思いもあるのだろう。




波が打ち寄せている。


まひろは貝を拾うと、


【海の向こうは宋の国】


と、宋語で周明に話しかけた。


「うん」


空を二羽の鳥が飛ぶ。


「つがいのカモメ…」


「フーフーハイオウ。

夫婦のカモメだ」


「フーフー」


まひろは思い切って

尋ねてみた。


「周明に妻はいないの?」


「いない」


「ほかの人たちには

身寄りがあるでしょ?

恋しくないのかしら」


周明はゆっくり歩きだす。


まひろはその横を歩きながら


「帰りたい人は帰るのが

いいと思う。

待っている人もいると思うし」


と話した。


「俺に帰ってほしいのか?

国守様の仕事の手伝いか?」


為時がまひろと周明のことを

差し置けば、

仕事上は本当は宋人たちに

越前から出てほしいことは

周明には分かっている。


「私がどうしたいかは

関わりないわ。

宋の人たちがどういうふうに

したいかが大事だと思っただけ。

父の力にも…なりたいけれど

それが全てではないわ」


「朱様が帰ると言わない限り

俺たちは帰らない。

なぜ朝廷は宋とじきじきの

商いを嫌がるのだ」


周明は疑問を口にするが

まひろには


「分からない」


としか答えようがない。


「なぜあの人はそこまで

かたくななのかしら…」


いま、国政の実権を

握っているのはあの人…


つまり道長だ。


つい、まひろは道長への

不満を述べた。


「あの人?あの人とは誰だ?」


周明の疑問も当然である。


「左大臣様」


簡単に答えるまひろだが


「今、左大臣と言ったか?」


驚くのも当然である。


「ええ。帝の次に偉い人」


あっさり答えるまひろだが

普通なら左大臣と繋がりがある、

ということ自体が稀有なことだ。


「知り合い、は何と言うの?」


「シィァンシー。

友はポンヨウ。

知り合いはシィァンシー」


「ポンヨウ、

シィァンシー…。

シィァンシー…

ポンヨウ」


「シィァンシー」


宋語を繰り返しながら

浜辺を歩く2人を遠くから

ある男が見つめていた。


先頃、話題にのぼった

宣孝その人である。


「姫様!姫様!姫様!」


乙丸が必死に呼んでいる。


「宋人を見に参った!」


宣孝は馬から下りると、

まひろたちに駆け寄る。


「本当にいらしたの?」


「誰?」


「遠い親戚で父の長年の友、

藤原宣孝様。

都からお見えになったみたい」


「私は周明、宋の薬師だ」


「父の病もあっという間に

治してくださった名医なの」


「そうか…それは世話に

なったのう」


周明は


【客館に戻る】


と告げた。


「え?どうして?」


答えずに


【また会おう】


ザイジィエン、と挨拶し

周明は帰ってあった。


「ザイジィエン」


と嬉しそうに声をかける

まひろを横目で宣孝は見る。



まひろは館に戻ると、

宣孝と語らう。


「越前はどうじゃ」


「国司の仕事ほど楽で

もうかる仕事はないと

仰せになっておりましたけれど

とんでもない見込み違いで

ございました。

私も必死で父の手助けを

しております」


「それで宋の言葉も学んだのか。

ご苦労なことだな」


「はい。

羊も食べました」


「羊…」


「おいしくはございませんでした」


「分からな過ぎる…。

お前に何が起きておる」


宣孝は不思議そうに尋ねる。


「文を下されば

父も巡察の日取りを

変えましたのに」


「昨年、年が明けたら

宋人を見物に行くと

文は出したぞ」


「父も私も決してお見えには

ならないと思っておりました」


「来て悪かったか?」


「そのようなことはございませぬ。

されど都でのお役目があるゆえ

そう気軽には越前においでに

なれまいと」


「物詣と偽って来た。

越前のことが内裏でしきりに

取り沙汰されておったので

為時殿が心配になってな」


とはいえ嘘をついて

出てきたとなると、

それはそれで問題だ。


「そのようなことが

内裏で明らかになれば

父までおとがめを受けます」


「案ずるな。明後日にはたつ。

長居して露見したら

お前に叱られるゆえ」


どこか楽しそうに宣孝は言う。


「またそのような!」


まひろが怒ると、

宣孝はにんまりと笑う。


「そのプンとした顔が見たかった。

ハハハハハハ」


宣孝は贈り物を取り出した。


「これは都ではやっておる

肌油じゃ。

お前のプンとした顔が

ますます生きるぞ。

ハハハハハ…」


褒めているのかわからない

口ぶりである。


「これは為時殿に玄怪録」


「あっ、玄怪録?」


まひろは油を置くと、

そちらのほうにこそ

食いついてきた。


「えっ!アハハ…都の香りがいたします」


油より書物のほうが嬉しい、

というのがまひろらしいところだ。


「アハハハハ…。ほら」



「ウニでございます」


為時は不在だがその友人の

来訪ということで、

ご馳走が用意されてきた。


「越前のウニはまことに

おいしゅうございますよ」


「都の塩ウニとは違うが…」


まひろは


「こうやって…うわ〜!

今朝採れたウニですの」


と楽しそうだ。


「すっかり越前の女のように

なっておるな」


「フフフフ…」


「私も頂きます。

おお…」


嬉しそうなまひろを見て

宣孝も笑った。


「こうやって…

頂きますの」


まひろはウニを頬張る。


「ん〜!」


宣孝も口に運ぶ。


「おお!磯の香りが

すごいのう。

このようなウニは

帝もご存じあるまい」


「う〜ん」


とまひろは嬉しそうに

食べている。


宣孝はそんなまひろを

見つめる。


「会うたびにお前はわしを

驚かせる」


「この生ウニには私も

初め驚きました」


「そういうことを言ってるんではない」


「は…?」


「わしには3人の妻と

4人の子がおる。

子らはもう一人前だ。

官位もほどほど上がりこれで

人生もどうやら落ち着いたと

思っておった」


まひろは次々ウニを口に

運んでいたが、

はたと手を止める。


「されどお前と会うと

違う世界がかいま見える。

新たな望みが見える。

未来が見える」


いつにない宣孝を

まひろは見つめた。


宣孝は恥ずかしそうに

首を振った。


「まだまだ生きていたいと

願ってしまう」


「まだまだ生きて私を

笑わせてくださいませ」


「怒らせて…であろう?」


「はあ…」


まひろは呆れる。


「どちらでもよう

ございますけれど

父とて国守を力に限り

務めております。

宣孝様の人生が先に落ち着く

ことなどありえませぬ」


まひろは姿勢をただして

そう言うと微笑んだ。


宣孝は酒を飲んだ。



まひろは琵琶を聴かせてくれた。


宣孝はそんなまひろを

どこか愛おしそうに見る。



その頃、客館では朱と

周明が密談をしていた。


【国守の娘は左大臣と

つながりがあります。

もしかしたら左大臣の女かも

しれません。

うまく取り込んで左大臣に

文を書かせます。

朱様のお力になれるよう】


だが、周りの男達は

周明を警戒している。


【こいつは日本人だということを

隠しておりました。

信用できません】


【同感です】


が、朱は言った。


【私は周明を信じる。

やってみよ、

皆の信用を勝ち取れ】


「はっ」


【事が成就したなら

私を宰相様の侍医にご推挙ください】


【調子に乗るな!】


男が叱るが朱は制した。


【そなたの働きで

宋と日本との商いが

開ければ望みは叶えよう】


【全力を尽くします】



朝日が昇る。


「あっという間の2日間であった」


宣孝はまひろに見送られて

帰路につくところだ。


「父がいたならば

どんなにか喜んだことで

ございましょう」


「為時殿によろしく伝えてくれ」


「道中の糧でございます」


「おお…ハハハ。

ウニをもっともっと食べたかったのう」


「食べ過ぎはいけません。

過ぎたるは及ばざるがごとしと

申しますでしょ」


と、まひろは叱る。


「まひろ」


宣孝は足を止めた。


「はい」


「あの宋人が好きなのか?」


思い切ってそう切り出した。


「あいつと宋の国などに行くなよ」


「何のことでございますか?」


為時といい、宣孝といい…


「前に言うておったではないか。

宋の国に行ってみたいと」


「ああ…そんなことも

ございましたね」


「都に戻ってこい。

わしの妻になれ」


唐突な話にまひろは目を丸くした…!


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さすがに子供の誕生も

祝いに行けない帝は

哀れではある。


行成は道長から

情にほだされぬように、と

戒められてはいるものの

その心情は複雑だろう。


このさき、行成なりの判断で

何らかの方法で帝の想いを

叶えてやるようなことが

あるのだろうか?


仮にあったとしても、

道長のことだから行成を

咎めることはなさそうだが。



周明は…まぁ一筋縄ではいかない

人物なのだろうな、と思ったが

朱の手先…というよりも

朱に取り入ることによって

さらに出世したい、というのが

一番の望みであった。


一見、善人に見えて

それでも欲を出してしまう

という面については、

殺された三国若麻呂とも

同じなのだが、

それが危険であることを

周明はわかっているだろうか。


元は貧しい村で生まれて

親に捨てられて過酷な環境で

生き抜いてきた。


どこか直秀にも似ている、

そんなキャラクターでもある。


周明が命を落としてしまう

ようなことがあると、

まひろの中にまたつらい

思い出が増えてしまうだろう。


周明はまひろを利用して

のし上がろうと考えてはいるが…


おそらくはできない、

というふうにはなるだろう。


まひろを好きになってしまったから。


それ自体は恋愛モノとしては

ベタな流れではあるけれども、

ここに宣孝との結婚話まで

持ち上がってきたのが、

なかなか面白い。


もちろん、道長だって

それを知れば気が気でないとは

思うわけなのだが、

その状況下で周明はどう動くか?



さて、その宣孝殿である。


遠い親戚にあたるうえに、

世代的には為時、

つまり父親と同じくらいの年。


なにせまひろが幼子の頃から

家に来ては父と語らい、

その明るい性格もあるけれども


「今夜は誰のところに?」


と幼いまひろから

聞かれるくらいには女好き、

でもある。


そんな要は「親戚のおじさん」

「ちょっとエロ親父」みたいな

存在がプロポーズしてくるのだから

これ、捉え方によっては

ものすごいいやらしいように

感じてしまっても無理はないのだが。


が、これぞ役者の力…!!


佐々木蔵之介さんが

これを演じているせいか

決して宣孝が下世話なエロ親父、

には感じられないのだ。


いや多分、エロいことにはエロい。


が、ロリコンなわけでもない。


まひろも20代後半で未婚だし

昔だから遠い親戚くらいなら

恋愛対象にもなった。


何より宣孝は


「まひろが若いから好き」


なのではないことは

とても伝わってくる。


年を取り他の妻や子供たちも

まぁ、それぞれの人生を

歩めるようにもなっているし

自分はそろそろ好きなことでもして

そのうち死ぬんだろう…


それくらいでいい、と

どこかで思っていた。


まひろの存在というのは、

単に親戚でもあり親友でもある

為時の娘でしかなかった。


でもそのまひろが越前に

旅立ってしまってから

宣孝は都で喪失感を

抱えていたのだろう。


自分のことを叱ってくれたり、

学も才もあって対等に

語り合えるだけの知性のある女性。


宣孝の中でもいつの間にか

為時の娘、ではなくて

まひろ、に会いたい、

まひろが好きなんだ、

ということに気付いてしまった。


そのうえで越前に来てみたら、

宋人の男とまひろは

楽しそうに話していた。


いい歳をして嫉妬するなど…


とは、思っても宣孝自身が

残された時間が少ないことは

わかっているのだ。


だからこそまひろを妻にしたい、

そう感じることはとくに

おかしなことのようには

感じなかった。


観ている側がこういう気持ちで

見守れる年の差の離れた恋、

というのは本当にここに至るまでの

佐々木蔵之介さんの演技の、

賜物だと思う。


無論、ただのデタラメで

エロい中年親父ならアレだが

顔は当然イケメンだし、

実際のところリアルで

佐々木蔵之介さんと

吉高由里子さんが

付き合っていても、

全然違和感なんてないだろう。


なにせ佐々木蔵之介さんは

結婚もされているから

それはありえないのだが、

20歳ほどの年の差があっても

べつに変なふうには見えない、

ということだ。


物語というのは脚本家が

作り出すものであると同時に

役者がいかにその世界を

魅力的に見せられるかによって

出来は左右される。



前半は定子と清少納言が

非常に美しかったのだが、

後半はまひろと宣孝の関係が

とても素敵に思えた。