光る君へ第15回あらすじ&感想後編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第15話「おごれる者たち」後編



道長は道隆のもとを訪ねた。


「何故、今日は参内なさらないのですか?」


「朝から体がだるくてのう」


と、道隆は答えた。


「それに今日は伊周の

弓競べがあるゆえ」


「では手短にお話申し上げます」


「うん」


「公の財をもって中宮様から

女房たちに至るまで

きらびやかな装束、

調度を度々あつらえるは

いかがなものでございましょうか?」


道長の苦言に道隆はムッとする。


「そんなことか」


「朝廷の財政は必ずしも

豊かならず。

関白様が正しき道を

お示しにならねば

誰もが公の財を懐に

入れるようになります」


聞きたくない、とばかりに

道隆は立ち上がった。


「細かいことを申すな。

お前は実資か?

ハハハハ…」


確かに実資も道長のように

道隆のやり方には疑問を

持ってはいるのだが、

道隆には気にならないようだ。


歩き出す道隆。


道長は追いかけながら続ける。


「私は中宮様のお世話を

万事取りしきる中宮大夫に

ございますゆえ」


「そういうことを申さぬと

思うたから、

お前を中宮大夫にしたのだ」


道隆からすれば身内であるがゆえ、

口を出すな、ということだ。


「分かっておらぬのう」


ため息をつく道隆。


「まあよい。

お前も弓競べを見てゆけ」



男達が弓を放っている。


伊周が弓をつがえると、

その矢は的の中心を

撃ち抜いていく。


一方、相手は何度も外している。


「伊周様の一人勝ちに

ございますな」


「皆も本気を出さぬか」


伊周は周りの者たちが、

わざと負けていると思ったのか

不満そうに言った。


「私に遠慮することはないぞ」


「伊周」


と、道長を連れた道隆が

歩いてくるを


「叔父上。叔父上もやりませぬか?」


道長の姿をみとめると、

伊周は声をかけた。


「皆、私に気を遣って

本気を出しませぬゆえ

面白うありませぬ」


道長は答えずにいたが、

道隆は


「道長、相手をせよ」


と、命じた。


「今日はそのような気分では

ございませぬ」


「おじけづかれずともよろしい

ではございませぬか、叔父上」


伊周が挑むような言い方で

挑発する。


「関白様と大事な話があって

参ったのだ」


「話はもうよい」


道隆はやれ、と言わんばかりだ。


道長は伊周を見る。


伊周は不敵な笑みを浮かべた。



仕方なく弓を手に取る道長。


まずは伊周が的を射抜く。


ど真ん中である。


道長は…的の端に当てた。


再び、三度、伊周は

真ん中を射抜くが、

道長は次々と外した。


「では、伊周殿の勝ちと

いうことで」


周りの者たちが気を遣って

本気を出さない、

と不満を述べていた伊周に

道長はさらに本気を出さない姿を

見せつけてやった。


「私はこれで失礼します」


さっさと去ろうとする道長。


「まだ矢は残っておりますぞ」


伊周は食い下がる。


「そうだ叔父上、この先は

願い事を言うてから

矢を射るのはいかがでしょう」


「願い事?」


道長が怪訝な顔をする。


「面白い、やってみよ」


道隆が促した。


「ではまず私から」


伊周は矢を構えた。


「我が家より帝が出る」


伊周の矢は的の端へ…


当たったものの…

というところだ。


「叔父上も願い事を言うてから

どうぞ」


道長は的に狙いを定めると


「我が家から帝が出る」


と、伊周を揶揄するように

全く同じことを言って矢を放つ。


その矢は中心を撃ち抜いた。


さすがに道隆が慌てた顔で

彼らを見た。


伊周は今度は


「我、関白となる」


と告げる。


道長は黙って見つめている。


追い詰められて

手元が狂ったのか

伊周の矢は大きくそれてしまった。


道長は矢を構え…


「我、関白と…」


「やめよ!」


思わず道隆は叫んでいた。


この弟はおそらく

寸分の狂いもなく射抜くだろう。


多くの者たちが二人の争いを

見守っている。


戯れのような勝負だとて、

伊周が負けてしまえば

将来に影響しかねない。


止めたのはせめてもの、

道隆の賢明な判断であった。


道長は黙って矢を下ろすと、

道隆の元に戻る。


「兄上、先ほどの話は改めて」


涼やかに言って、

弓を返す道長…


道隆は弓を受け取った。


が、その顔には

悔しさがにじんでいる。


伊周もまた、

父の顔を潰してしまった…と

後悔の表情を浮かべた。



「帝が出る…

本当にそうなるかもしれませんわね」


道長の話を聞いた明子は

面白そうに言った。


が、道長のほうは

少々反省もしていた。


「8歳も年下の甥相手に

バカなことをした」


恥ずかしそうに額をかく。


「あっ、今蹴りました」


明子が嬉しそうな声をあげる。


「おお!」


「男子のような気がいたします」


道長は明子の腹を撫でる。


「ああ。

どちらでもよい。

大事にいたせ」


優しい顔を向ける道長。


明子も笑顔で道長を見る。


あれから…2人の仲は

だいぶ深まったのだろう。


明子のお腹には新しい命が

宿っている。


見つめ合う2人だったが

突然の知らせが入る。


「ご無礼つかまつります。

土御門殿より火急の知らせ、

左大臣様、ご危篤と」


左大臣…源雅信の死が

迫っていたのである。


「お急ぎなさいませ」


明子が声をかける。


「うん」



道長は急いで土御門殿へ

駆けつけた。


雅信が荒い息をつきながら

横になっている。


道長が、到着した。


「婿殿ですよ」


 雅信の妻、穆子が声をかける。


「ああ…」


「道長にございます」


雅信は道長のほうへと

手を差し出した。


道長はその手をがっちりと握った。


「婿殿の出世もこれまでじゃな…」


雅信はわざとそんなことを言った。


「不承知と言い続ければよかった」


雅信は本当は藤原家に

娘をやりたくなかったのだ。


…が、今は本気でそんなことを

言っているわけでもあるまい。


「権大納言ならすばらしゅう

ございますよ」


穆子が言う。


「不承知…」


おかしそうに雅信は言う。


「殿」


「父上、私は幸せでございます。

ご心配なく」


倫子がそう声をかける。


雅信は誰よりも娘の倫子が可愛く…


道長だろうが誰だろうが

本当はくれてやりたくは

なかったのだろう。


「不承知…」


雅信はまたそう言った。


藤原氏全盛の世に

16年の長きにわたって

左大臣を務めた源雅信は

74歳で旅立った。



秋になった。


まひろのもとをさわが

訪れている。


「惟規様は?」


「擬文章生になったら

忙しいみたいなの」


「官職を得られれば

どこかの姫のところに

婿入りされてしまうんですね…」


さわはどこかで、

惟規にあこがれている様子で

残念そうに言う。


「式部省試に受かればね」


「うちに婿入りしてくださいませ、

と言えるような家ならいいんですけど

あの父と母ですし…

私、このごろまた家にいるのが

嫌になる病になりましたの」


「えっ?」


おかしな病もあるものだ。


「父と今の母の間の子たちが

だんだん大きくなり

私がますます邪魔になって

きたようで…」


「お父上まで?」


「ええ」


「それで気晴らしに旅に

出ようと思いますの。

まひろ様も一緒に参りません?」


「どちらに?」


「近江の石山寺です。

私をあの家からさらってくれる

殿御に会えますように

祈願に参りますの」


「そういうお寺なの?」


まひろも興味を持った。


「そうらしいです」



まひろは思い切って

父に尋ねてみた。


「さわさんと石山寺に

お参りに行っても

よろしいでしょうか?」


「いいではないか、

気晴らしになるなら」


まひろは意外な顔をする。


「何を驚いておる」


まひろは答えなかったが

為時は気づいた。


「そのくらいのかかりは

なんとかなろう」



「風が気持ちいいですね」


「本当ですね。

いいお天気でよかったです。

わあ〜もうすぐ石山寺ですよ。

行きましょう!」


「はい」


お互いの従者を連れた

まひろとさわが歩いていく。


道中2人は川辺で腰をおろし

小休止をする。


「私たちこのままず〜っと

夫を持てなければ

一緒に暮らしません?」


「え?」


「年老いても助け合いながら」


「うん…。

それはまことによいかもしれません」


「石山寺ではそちらを

お願いいたしましょうよ」


とさわは笑った。


「殿御との縁ではなく

私たちの末永いご縁を?」


「そうでございます!

末永いご縁でございます」


2人は笑う。



誦経が響いている。


当時、石山詣は

みやこの人々の間で

はやっていた。


しかし夜ひたすらに

長いお経を読むのは

疲れてくるものだ。


さわはため息をつく。


「今宵はもういいんじゃないですか?」


「まだ始まったばかりですよ」


「飽きた…」


「しっ!」


という注意の声が響く。


その声の主は…


2人は知らないが、

兼家の妾であった

寧子だった。



「蜻蛉日記をお書きになった方

でしたか。

道綱様のお母君」


さわはきょとんとしているが

まひろは嬉しそうだ。


「幼い頃から蜻蛉日記を

幾度も幾度もお読みして

その度に胸を高鳴らせて

おりました」


「まあ…。

随分おませなお姫様だったのですね」


「はい。

でも幼い頃はわからないことも

多かったです。

兼家様が何日かぶりに

訪れのに門をお開けにならず

嘆きつつひとり寝る夜の

明くる間はいかに久しき

ものとかは知る

という、切ないお歌を送られた

意味なぞ…

今は痛いほど分かりますけれど…」


さわは驚いてまひろを見た。


「心と体は裏腹でございますから」


まひろは道長を拒絶して

しまったことを思い出していた…


それでも…


「それでも、殿との日々が

私の一生の全てで

ございました。

私は日記を書くことで

己の悲しみを救いました。

あの方との日々を日記に

書き記し公にすることで

妾の痛みを癒やしたので

ございます」


原動力は悲しみだった。


そのことにまひろは

聞き入る。


「不思議なことにあの方は

あの日記が世に広がることを

望みました。

あの方の歌を世に出してあげた。

それは私のひそかな自負に

ございます」


楽しそうに語る寧子だが…


「そこまでして差し上げても

妾であることに変わりは

ないのだけれど」


と寂しそうに語る。


「あなた方はおひとりなの?」


「はい」


「命を燃やして人を思うことは

すばらしいことですけれど

妾はつろうございますから

できることなら嫡妻に

なられませ。

高望みせず嫡妻にしてくれる

心優しき殿御を選びなされ」


さわは頷き、まひろは

黙って寧子を見つめた。


「母上、遅くなりました」


慌てた様子で道綱がやってくる。


「道綱、そなたがなかなか

来ないのでこのお二人に

お世話になっていたのですよ」


道綱は座って礼を言う。


「母がお世話になりました」


「まひろにございます」


「さわにございます」


「日記に出てきた道綱様にも

お会いできるなんて

来たかいがありました」


まひろは笑顔を浮かべた。


道綱はほほえむ。


さわも道綱を見てにこりとした。



夜。


まひろと、さわは寝ている。


が、まひろは目が覚めてしまい、

外に出て月を眺めていた。


月にかかる雲が晴れていく。


書くことで己の悲しみを救った…。


まひろは考えこんだ。



こっそりと心室に忍びいる者がいる。


道綱である。


「寝てしまわれましたか?」


「道綱様…」


そんな寝言が聞こえる。


道綱はその女を抱こうとした…が


「あれ?」


まじまじと顔を見る。


「すまぬ」


さわは抱きつこうとするが


「間違っておった。

すまぬ!」


律儀にも飛び退き、

道綱は謝った。


「まひろ様だと思われましたの?」


さすがに失礼な話だ…


「いや、そうではなく…

そうではなく、

私には妻がおる。

妾もおる。

故にそなたを抱こうと

していたことは

間違っておったと

今、気付いたのだ」


「偽りを…」


「偽りなどではない!

この上、悲しむ女子を作ることは

できぬ。

まひろ…。

あ…さと」


名前まで間違えている。


「さわにございます」


「許せ!」


道綱は逃げ去った…



帰り道は当然、くらいものとなる。


「こちらで一休みしましょうか」


事情を知らないまひろは

声をかけ乙丸は


「はい」


と答えたがさわは答えない。


「さわさん」


「私には才気もなく

殿御を引き付けるほどの

魅力もなく

家とて居場所がなく…

もう死んでしまいたい!」


さわは駆け出した。


「さわさん!」


慌てて追いかけるまひろたち…


と、さわが立ち止まる。


川辺が死体であふれていたのだ。


このころより都の近辺では

疫病がはやり始めていた。


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弓競べのシーンは、

道長の内に秘めた負けん気の強さが

垣間見られてとてもよかった。


前半の道兼との対話でも

感じられたことだが、


「自分たちが民たちに

恥じない政治をしなくては

いけない」


という思いを強く秘めているのが

道長なのだろう。


「藤原家」


に求められるのが、

本当はそういう姿なのは

直秀に散楽で揶揄されているのを

苦笑して見ているしか

なかった頃から、

おそらく感じてきたこと

なのではないだろうか。


その直秀が命を落とすような、

そういう世の中を変える力を

自分たちは出さなくてはいけない、

それが上に立つ者の在り方で…


だからこそ道兼に対しても

子供の頃から苦言を呈してきたし

変わってしまった道隆にも

ハッキリと間違っていることは

間違っているんだ、と

指摘している。


そういう中で誤った価値観を

身につけつつある甥に

好き放題にさせるわけには

いかない…


そんな気持ちもあって、

一度、力の差を見せつけてやるか…と。


でもそのあとで、

明子の前で、やりすぎたー…と

恥ずかしそうにしているのが

これまた魅力的で良い。


というか明子とのシーンは

長くはなかったけれど

だいぶ打ち解けているようで

以前に比べたら気持ちが

通じ合っているように見えた。



別の感想にも書いたが、

後半はやはり寧子とまひろとの

出会いが印象的である。


紫式部の物語である以上は、


「なぜ書こうと思ったのか」


が大きなポイントであり、

定子との出会いという

輝かしい出来事が枕草子を書く

原動力となった清少納言と、

あくまでも悲しみを癒やすために

筆を取るまひろとの

違いになっていくのだろう。


史実ではライバルのようにも

言われる2人なのだが…


(なにせ紫式部日記にこそ

清少納言はどうのこうのと

書かれてるw)


これまでのところは、

清少納言…ききょうのほうが

年上ということもあるが

2人は考え方は違うけれど

友人である、といった

描かれ方になっている。


この先、ききょうは

定子のために生きて

まひろのほうは、

もう一人の天皇の后となる

彰子に仕える立場となる。


つまり立場的にも、

対立構造の中に

組み込まれていくのだが…


そんな中でまひろとききょうが、

何を感じてそれぞれの筆を

取っていくのか…


これまでの大河ドラマにはない、

文化的で面白い挑戦になると思う。