光る君へ第14回あらすじ&感想後編 | NobunagAのブログ

NobunagAのブログ

家庭菜園、ゲーム、アイドルなど趣味の話題や、子育て、介護関係のことをつらつらと書いています。

光る君へ

第14話「星落ちてなお」後編




「ひい、ふう、みい、よう、いつ…

ああ…またお上の勝ちでございます」


「わ〜い!」


一条天皇はふざけて定子の

背中に乗るように抱きついた。


「ああ!お上、重とうございます。

ああ、降参でございます。お上」


若い夫婦は楽しそうに遊び、

定子の母である貴子も、兄、

伊周も笑いながら微笑ましい

様子を見ていた。


「皇太后様がおいであそばしました」


その声に皆が慌てて

姿勢をただす。


詮子は


「皆々おそろいで。

にぎやかでよいのう」


と述べたがその声はどこか冷たい。


「お上、そのような乱れたお姿を

見せてはなりませぬ」


「お許しくださいませ、私が…」


定子が庇おうとするが


「そなたに言うておるのではない。

お上に申し上げておるのです」


詮子の厳しい言葉に、

帝は下を向く。


昔から母の愛情を求めていたのに

その母はいつも厳しい。


定子に甘えてしまうのも

寂しさからなのだが、

詮子は気づかない。


いや、気づいてはいても

強くあらねばならない、

という母としての教えなのか…


「出直してまいる。

それまでにお上はお心を

整えなさいませ」


詮子は去りながら


「見苦しや」


と言い捨てていった。



嫡妻を亡くしていた実資は

新たに妻を迎えていたが、

例の如く愚痴を言いながら

酒を飲んでいる。


政務中は正義感あふれ、

皆からも認められる男だが

家ではこんな調子だ。


「まだ世に出たばかりの

17歳の伊周殿を蔵人頭にするは異常。

全くもって異常!

異常中の異常!」


そんな実資を相手にせず

妻の婉子女王は実資の腹を


「ん〜…この張り具合…」


と触っている。


「恥を知らない身内びいきだ。

ほっておけば内裏の秩序は

乱れよう。

なんとかせねば…」


「ん〜…」


「腹をつかむな」


「もうそのお話は明日の朝

日記にお書きになれば

よろしいでしょ」


日記…


「なんと、さきの妻も

同じことをよう言うた。

日記に書けばと」


婉子はその言葉に傷ついたように


「まあ…!

さきの奥方は私よりも

はるかに身分が下。

その方のことを私の前で

懐かしむとは無礼千万」


とすねる。


「懐かしんだわけではない。

同じだな〜と言うただけじゃ。

そなたは為平親王の姫で

花山院の御代の女御様であった。

私好みの高貴な高貴な妻である。

ハハ…」


機嫌を取るように実資は言う。


「ではもうあちらに参りましょ」


「ああ、分かった、分かった。

明日、このことは日記に記そう。

関白、藤原道隆の横暴」



伊周は夕餉をとっている。


「ん〜…たいがおいしゅう

ございます」


母の貴子が伊周に伝える。


「我が家は喪中ゆえ

祝いとは申しませんでしたけど

今朝、淡路から届きましたのよ」


「ほう…淡路守か。

淡路は下国ゆえ早く都へ

帰りたいのであろう」


と道隆は言った。


「殿、蔵人頭ともなれば

伊周によい婿入り先を

見つけねばと思いますの」


「お前はそれを望んでおるのか?」


「父上と母上にお任せいたします」


自分の意見などない、と

ばかりの伊周。


「ひと事じゃのう」


道隆はそんな息子に呆れるが

伊周なりの理由がある。


「父上のため一族のために生きる

この使命は幼い頃よりの

母上の教えにございますゆえ」


貴子は笑った。


「では和歌の会でも

開きましょうか」


「和歌の会か…」


「伊周の妻となる女子であれば

和歌くらいちゃんと詠めねば

なりませぬゆえ」


道隆は頷いた。


「貴子の思うようにやってみよ」


「お任せいたします」


伊周も同意する。


「既に母が考える姫様たちのほかに

漢詩の会の時のあの2人を呼びましょう」


「あの2人?」


道隆は思い出す。


「ああ、あの出すぎ者の…」


と少し可笑しそうに言う。


まひろと、ききょうであった。


理知的な貴子から見ると、

自分の意見を堂々と述べられる

まひろやききょうのような女子は

好ましい存在なのだろう。



和歌の会、当日。


和歌の会は5年前の漢詩の会と

同じく道隆の屋敷で行われた。


「お待ちしておりました」


ききょうが先に到着し、

待っている。


「お久しゅうございます」


まひろが挨拶すると

ききょうは尋ねる。


「お変わりございませんでしたか?」


「ああ…いえ、いろいろ

変わりました。

何からお話していいか

分からぬほど」


「お父上はお元気?」


「はい。つつがなく暮らしております。

ききょう様のお父上はご息災で

あられますか?」


ききょうは少し顔を曇らせた。


「この6月に身まかりました。

肥後守として下向していた

彼の地で…」


「それはおいたわしいことで

ございました」


「都を離れ難く年老いた父を

1人で肥後に行かせてしまった

ことを悔いております」


寂しそうなききょう。


「ご夫君のこともおありですものね」


まひろと違ってききょうには

夫もいる、まひろはそれを

気遣った。


が、ききょうはあっさり返す。


「夫のことはどうでもよかったのですが

都にいないと取り残されてしまいそうで…

愚かでした」


「生きていると悔やむこと

ばかりですわね」


まひろにも道長のこと、

父のこと…倫子の誘いを

断ってしまったこと…


様々な思いがある。


「今日も恐らく伊周様の妻選び。

私たちはただのにぎやかしですわ。

あほらしい」


あまりに正直すぎる

ききょうの言葉に


「聞こえますわよ」


とまひろは焦る。


「お出ましを」


と声がかかり2人は


「はい!」


と返事をした。


「聞こえたわね」


ききょうは気にしない様子で

立ち上がりまひろも続いた。



御簾の向こうで伊周が

見守る中で貴子主催のもと

高貴な姫たちが座っている。


「ではお題を」


貴子が促すとききょうは

それを発表する。


「お題は秋にございます」



やがて姫たちが書いた歌が

揃った。


まひろは一枚を手に取る。


「秋風のうち吹くごとに高砂の

尾上の鹿の鳴かぬ日ぞなき」


「威厳に満ちながら

秋にふさわしい涼やかな

響きのお歌でございます」


毒舌は控えてききょうは

素直に評してやった。


貴子も伊周も満足そうだ。




和歌の会が終わり数日後。


まひろはいつものように

たねに字を教えてやっている。


「な、れ、ゐ、て」


「完璧!」


まひろは笑う。


「た、つ、じ。

い、わ」


たねは楽しそうに文字を書く。


「たつじ、いわ…」


「トトとカカの名前」


たねは嬉しそうに教える。


「そっか、たつじがトト様、

いわがカカ様。

なるほど。よくできました。

すごいじゃない。

もう何でも書けるんじゃない?

賢いのね、たねは」


まひろは笑顔になる。


「教えたかいがあったわ」


「もう帰らないと!

カカに怒られる」


たねは立ち上がった。


「じゃあ帰ったらトト様と

カカ様に名前書いてみせてあげて」


たねは頷く。


「じゃあまた明日」


「はい!」


たねは駆けていった。


そこへ…一人の女が訪ねてきた。


「まひろ様」


ききょうがいたずらっぽく

顔を見せた。


「ききょう様…」


思わぬ来訪にまひろは

嬉しそうに微笑んだ。


「誰ですの?今の汚い子」


相変わらずの口の悪さである…


「文字を教えている子です。

それはもう賢くて…」


「あのような下々の子に

教えているの?」


心底驚いたようにききょうは

目を丸くした。


「ええ。文字を知らないために

ひどい目に遭う人もおりますので」


「なんと物好きな…」


まひろからすれば、

当然の感覚でも

ききょうから見たら

不思議なことであった。



2人は屋敷の中で会話を交わす。


「先日の和歌の会は

つまらぬものでございましたわね」


無難に終わらせたものの、

ききょうは不満だったようだ。


「あのような姫たちが

私は一番嫌いでございます」


「は…」


「よりよき婿を取ることしか

考えられず志を持たず

己を磨かず、退屈な暮らしも

そうと気付く力もないような姫たち」


志…といえばまひろも

それを大切に考えているのだが

ききょうの言葉は毎度、

手厳しい…


「そこまでおっしゃらなくても…」


「まひろ様だってそうお思いでしょ」


わかってるはず、とばかりに

ききょうは言う。


「少しは…」


無難に答えるまひろ。


「私は宮中に女房として

出仕して広く世の中を

知りたいと思っておりますの」


「それはききょう様らしくて

すばらしいことでございます」


「まひろ様に志はないの?」


言葉の選び方は正反対の2人だが、

たくさんの書を読んできている、

という点では同じ趣味であるから

当然、まひろもききょうのように

何か成したいことがあるはず。


ききょうはそれに興味がある。


「私の志は先ほども

申しましたように

文字の読めない人を

少しでも少なくすることです」


ききょうは驚いた。


「この国には我々貴族の

幾万倍もの民がおりますのよ。

そのことご存知?」


「存じてます。

されどそれで諦めていたら

何も変わりません」


「そうでございますか…」


まひろはまひろで、

途方もない志を持っている、

ということだろう。


ききょうには理解できないけれど。


ききょうは思い詰めたように

立ち上がりながら言った。


「私は私の志のために

夫を捨てようと思いますの」


「は?」


唐突な話にまひろは聞き返す。


「夫は女房に出るなどという

恥ずかしいことはやめてくれと

申しますのよ。

文章や和歌はうまくならずともよい。

自分を慰める女でいよと。

どう思われます?」


ききょうは思い出すのも

腹立たしいといったふうに

まひろに問いかける。


「下の下でございましょ」


「されど若君もおられますよね」


そこが、痛いところだが…


「息子も夫に押っつけてしまう

つもりです」


まひろは驚いたような

呆れたような顔になる。


「息子にはすまないことですが

私は私のために生きたいのです」


ききょうはまひろを振り返り

自信満々にそう告げた。


「広く世の中を知り

己のために生きることが

ほかの人の役にも立つような…。

そんな道を見つけたいのです」


見知らぬ多くの人を

救いたいというまひろも

変わっているが…


夫も捨て、息子も捨て…


これだけ自分のためにこそ

生きたいという女も珍しい…


まひろは固まるしかなかった。



翌日。


まひろはたねを待っていたが

その姿は見えない。


「今日は来ないのですか?」


いとが、あたりを見回す。


「どうしたのかしら?」


心配そうなまひろだが


「どうせタダで教えてるんですから

よろしいではないですか」


と、いとは気に留めない。


「そんな…宣孝様みたいなこと

言わないで」


「まっ…」


無責任の代名詞のように

思われている宣孝も哀れだが…



まひろは乙丸を伴い、

たねの家へと向かった。


たねが畑を耕しているのが

見えてくる。


父や母…たつじといわも一緒だ。


「休むんじゃねえ!」


というたつじの怒声が響く。


たつじはたねを突き飛ばした。


まひろはそれを見て駆け寄る。


「たね」


「先生…」


たねは悲しそうにまひろを見た。


「あんたがうちの子に

文字を教えてる女子かい。

余計なことはやめてくれ!」


たつじはまひろに怒りをぶつける。


「うちの子は一生畑を耕して死ぬんだ。

文字なんか要らねえ。

俺ら、あんたらお偉方の

慰み者じゃねえ!」


まひろは言葉を失った…


そんなつもりではない。


そんなつもりでは

なかったのだが…


これが貴族ではない民の

逃れられぬ現実なのだ。


たねはクワを手に取っている。



同じ頃、道長も志通りにいかぬ

現実に直面していた。


道隆が珍しく怒りのこもった

顔を浮かべながら道長の前に座る。


「お前はまた検非違使庁の

改革案を出しているようだな」


「はっ」


「幾度も却下したではないか」


道隆が声を荒げる。


「諦めません。

検非違使庁の下部は

裁きの手間を省くため

罪人をひそかにあやめて

おりまする」


直秀もそうして殺されたのだ。


「そのような非道を許せば

国はすさみます。

民が朝廷を恨みます」


「罪人は罪人である。

どのように処されようと

我らが知ったことではない。

身分の高い罪人は

供もつけて流刑に処し

時が過ぎれば都に戻るように

なっておる」


民のことなど気に留めるな、

と言っていた父の再来のように

なってしまっている道隆。


つい、道長の声も大きくなる。


「身分の高い者だけが

人ではありませぬ」


「お前はもう権中納言ぞ。

下々のことは下々に任せて

おけばよい。

定子様を中宮にする」


「え?」


唐突な言葉な道長は驚く。


「円融院の遵子様が

中宮としておられますが」


「中宮の遵子様には

皇后にお上がりいただき

定子様を中宮になし奉るつもりじゃ」


「皇后と中宮が並び立つ

前例はありませぬ」


「前例とは何だ?

そもそも前例の一番初めには

前例なぞなかったであろうが」


古臭い前例主義を嫌う、

という視点でみれば

道隆の考えは革新的であるが

問題はそれが単に、

己の娘を中宮にしさらに

権力を得たいという目的が

明らかなことだ。


「されど…」


「公卿たちを説得せよ」


「できませぬ」


「これは相談ではない。

摂政の命である」


兄として、ではなく

権威を振りかざす道隆に

道長は黙り込むしかない。


帰り際、道長は悔しそうに

柱を叩いた。



夜。


まひろはたつじの言葉を

思い出して涙を堪えて

月を眺めていた。



道長も同じ月を見て、

現実の厳しさに顔をしかめる。


俺は何一つ成していない…。



道隆の命についての

会議は紛糾した。


「皇后と中宮が並び立つなど

前例がございませぬ」


実資が述べる。


藤原顕光、公季、源重信…


皆が「ありえぬ」と口にする。


「中納言殿…」


と実資が意見を求めた。


「ありえぬ…と存じます」


兄の味方は出来なかった。


道長はせめてもの抵抗を見せた。



藤原為光は道隆の案に

解釈の幅を広げた。


「皇后はさきのさきの帝の后、

中宮は今の帝の后ということで

あるならばあるやもしれませぬがな」


が、今では道長の義父にも

なっている左大臣雅信は


「ありえぬ」


と否定した。


「断じてありえませぬ」


実資も強く訴えかける。



そして、その数日後。



「定子様を中宮にお立てする

ことといたします。

お上、いかがでございましょう」


「朕は定子を中宮とする」


幼い帝は道隆の意のままなのだ…


道隆の独裁が始まった。


道長は険しい顔で

そんな兄を見つめた。


__________________



前編にも書いたように

星落ちてなお、

兼家の代わりに摂政となった

道隆はまるで兼家を

若返らせたような

剛腕ぶりを見せるように

なってしまった。



実資は政治の場面では

ちゃんと藤原実資なのだが

プライベートは秋山竜次っぽさが

全開であるw


が、その落差が面白い。


妻を亡くしてしまったが

新しい妻を迎えてちゃんと

日記コントを見せてくれている。


ちなみに新しい妻は

婉子女王、という

その呼ばれ方の通りに

ハナクソのような女、ではなく

花山天皇の女御の一人を

務めていた女性だ。


花山天皇がどうしても


「よしこ〜、よしこ〜…」


になってしまっていたが、

婉子も妻の一人であったが

病がちであったらしい。


また花山天皇が出家したため、

婉子女王は改めて実資のもとへ

嫁いだ、ということである。


そうした立場の女性なので

身分にこだわるのは

当たり前といえば当たり前で

意地悪な女性、という

わけではない。



まひろとたねのエピソードは

かなり残酷で観ていて

悲しいものがあった。


だがまひろの家も

困窮しているとはいっても

あくまでも貴族であり、

まひろがどんなに

民に寄り添いたいと思っても

民のほうから拒絶されてしまう。


まひろ自身が民の苦しさを

本当の意味で理解できてない、

ということでもある。



道長は道長で直秀の死を

無駄にしないためにも、

検非違使庁の改革案、

とくに放免たちによる

私刑を抑えようとしているのだが

兄の道隆に阻まれてしまう。


道隆はあくまでも、

兼家と同じで民のことなど

考える必要はない、

という路線である。


元々、道隆という人は

道兼に比べれば

道長に対して優しさもあったし

気配りもできる人だったのに

摂政になったら、

変わってしまった…


定子を中宮へ、というのも


「最初の一回めは前例などない」


という先進的で素晴らしい

考え方ではあるのだが

その目的が己の権力のため、

では…


兼家より若いぶんだけ、

手強い壁であるといえる。



さて、清少納言…ききょうは

ファーストサマーウイカ様の

演技があまりに完璧すぎて、

本当に清少納言っぽくて

たまらないものがある。


清少納言はまひろこと

紫式部と比べても、

けっこうな毒舌の文章を

残してはいるのだが、

ドラマとしてキャラクター化すると

確かにこんな感じだろう。


もちろんデフォルメは

されているので、

真面目な歴史ヲタの一部は


「清少納言は確かに毒舌だが

ここまでぶっ飛んでない!」


と怒っているようだが、

ドラマなんだからいいじゃないか…


己を犠牲にしてでも、

見ず知らずの民を救いたいと

考えているまひろに対して

ききょうのほうは


「私のために夫も息子も捨てたい、

私が私らしく生きればそれが

世の中のためになるような

そんな生き方をしたい」


とこれまたスケールのデカい

志、夢を持っている。


清少納言が嫌いなものは、

それこそ伊周の妻になりたがるような

男の気を引いて生きる女であり…


ききょうは己のためなら

夫も子供も捨てるし、

とくに悪びれていないから

倫子さまのサロンにおいて

ヲタ特有のおかしなところを

少しは矯正されているまひろとは

大違いなのだ。


ききょうはある意味、

強烈なエゴイストだが

それが間違ってるかというと


「清少納言の文章は

1000年後の今も残っている」


紫式部と並ぶ、

日本を代表する作家であり

アーティストなのである。



紫式部と清少納言とは

お互いの文章の中で

チクチクやりあっては

いるのだが…


でも、このドラマのように

描いている志は違うけれど

どこかで通じ合っている2人、

つまりは友人でもあり、

ライバルといった関係かもしれない。


ききょうのほうが少し年上で、

まひろより人生経験はあるが

その経験の活かし方が、

常人とかけ離れている、

それだけの話…



「私を生きてみせる」


という言葉は光る君への

キーワードとして、

まひろの写真とともに

使われていたが…


ききょうもまた


「私を生きてみせる」


そんな一人なのだろう。



2人のこれからが、

ぶつかりまくるライバルとなるのか

友情が芽生えていくのかも

見どころになるだろう。