光る君へ第6回あらすじ&感想後編 | NobunagAのブログ

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光る君へ

第6話「二人の才女」後編




道隆が開こうとしている

漢詩の会…為時にも

学者として参加してほしいと

依頼が来ていた。


「来る4月27日、当家において

漢詩の会を催しますので

藤原為時殿には是非とも

おいでを願いたいと

あるじ道隆が申しておりまする」


「ありがたき幸せ。

謹んでおうけいたします」


まひろも惟規も聞いている。


「講師としてご貴殿、

また清原元輔様をお招き

しております。

またそれに連なる方々は…」


道長様の名前はない。


まひろはどこか安心していた。


道長のことは忘れなくては

ならない、そう、決めていたから。


「三位中将、道隆様の

漢詩の会じゃ。

惟規。お前も来るか?

よい勉強になるぞ」


惟規は即答した。


「無理。無理無理、

何たって無理」


為時は呆れる。


「お前もいずれは

こういう場に出なければ

ならぬのだぞ」


「無理、無理、無理!

今度だけは無理!」


「惟規!」


そのまま逃げ出してしまった。


まひろは当然、

興味津々である。


「私がお供いたします」


しかしまひろと和解した

為時は娘を気遣う。


「分かっておると思うが

右大臣家康の主催であるぞ」


「ここに母上の敵の名は

ございません。

是非、父上の晴れ姿

拝見しとうございます」


そう明るく言われると、

為時は嬉しさを隠せなかった。



「おお、元輔様」


清原元輔に為時が声をかける。


「為時殿、お久しゅうございますな。

ますます学問でのお名を高められ

めでたい限り」


「娘のまひろにございます」


為時はまひろを紹介する。


「まひろでございます。

お初にお目にかかります」


「このような年頃の姫がおいでとは

時のたつのも早いものです」


元輔の隣にも一人の女性が座っている。


「これは我が娘にございます」


「ききょうと申します」


勝ち気な感じのする

元輔の娘ははきはきと

挨拶した。


「どうかよしなにお導きください」


「本日は藤原公任殿、

斉信殿、行成殿と

そうそうたる方々が

おそろいです。

こちらも身が引き締まりますな」


これからの世を担うであろう

若者たちに元輔は思いを馳せる。


「はあ〜、胸が高鳴りますわ。

大いに楽しみましょうね、

まひろ様」


ききょうはまひろに笑いかけた。


千年の時を超え

今も読み継がれる文学を残した

紫式部と清少納言の若き日の

出会いであった。



漢詩の会が始まろうとしている。


道長が遅れて部屋へと

やってきた。


参加したくない、と

言ってはみたものの

自分なりに学んだのだろう。


そんな道長を見て、

道隆はほほえみ頷いた。


道長は着座する。


まさか道長が来るとは

思っていなかったまひろは

その姿を見て固まった…


二人の目が合う。


気まずい雰囲気が流れるが、

周りの者は当然気づかない。


為時と元輔が道隆の前に座る。


「では、元輔殿、本日の題を」


と、道隆が促す。


元輔は


「酒、でございます」


と示した。


公任や斉信が義懐から、

酒による接待を受けたことを

道隆も知っている。


わざわざその「酒」を

題としてこちらは雅に

楽しもう、というのが

道隆の狙いだった。


若者たちは考え始める。


漢詩は苦手…と昔から

言っていた道長も

懸命に書いている。


まひろはどうしても

その姿を目で追ってしまう。


まずは行成が書き終えた。


為時がそれを手にする。


「藤原行成殿。

独り花前に酌み酔いて

君を憶う…」



花の前で酒をくみ

君のことを思う。


君とは去年の春に別れ

今また春が来る。


君がくれたこの銀の盃は

送り主が立派なので

あえて勧める人もいない。



「藤原斉信殿。

酒盞酌み来って須く…」



酒をなみなとついでくれ。


早くしないと花が散ってしまう。


みそじはまだ若いなどと

言ってくれるな。


人生の3分の1は過ぎてしまうのだから。



歌を聴きながら、

道長はまひろを。


まひろは道長をつい

見つめてしまう。



「藤原道長殿。

賜酒杯に盈つれども誰と

共にか持せん。

宮花把に満ちて

独り相思う…」



下賜の酒は十分あるが

君をおいて誰と飲もうか。


宮中の菊花を手に満たして

私はひとり君を思う。


君を思いながら

菊の傍らに立って

一日中君が作った

菊花の詩を吟じ

むなしく過ごした。



あれ以来まひろに

会えなかった寂しさを

そのまま歌ったような内容。


まひろは密かに胸を打たれている。


道長は思いを訴えるように、

まひろを見ていた。



「藤原公任殿」


公任の学才には道隆も

興味を持っており、

ちらと公任を見た。


「一時に境を過ぎて…」



この時に目に触れるものは

全て風流な景色ばかり。


酒の酔いに任せて

詩を吟じていると

言ってくださるな。


この明君の知らしめす

太平の世を改めるまでもない。


唐の太宗の治世が

目に触れるところ

全てに現れているのだから。



道隆と貴子が、

さすが…といった感じで

顔を上げた。


「さすが才学は

当代無双の公任殿。

見事な作でありますな」


道隆は褒め称えた。


「唐の太宗の治世になぞらえて

今の帝の揺るがぬ様を

歌われるとは」


道隆はまひろの感想を求める。


「為時殿のご息女、

いかがかな?」


為時と道長はまひろを見た。


「公任殿のお作は

唐の白楽天のような

歌いぶりでございました」


しかしききょうが突然、

声をあげた。


「私はそうは思いません」


「元輔殿のご息女は

どう思われるのかな?」


「むしろ白楽天の無二の親友だった

元微之のような

かったつな歌いぶりでした。

そうじゃございません?」


無邪気に語りながら、

まひろに話を振るききょう。


まひろは答えに詰まる。


元輔は無礼な、とばかりに

咳払いした。


いつものことなのか、

ききょうは澄ました顔で

居住まいをただす。


そんなききょうのことを

面白そうに貴子は見た。


貴子も才があるゆえに、

知識を見せたくなる

ききょうの気持ちは

わかるのだろう。


道隆は改めて感想を述べた。


「今日は漢詩の会に

集うてくれてありがたく

思うておる」


道隆は若者たちを見た。


「この国をやがて背負うて

立つ若き者たちが何を願い、

また何を憂いておるのか

この道隆、深く心に刻んだ」


道隆は立ち上がる。


「その思い、かなえるべく

わしも力を尽くしたい。

そなたらと共に帝を支え奉り

この国をよりよき道に

導いてまいろうぞ」


優雅で生真面目、

何よりも自分たちの力を

当てにしてくれる

兄のような年齢の道隆を

若者たちは胸を打たれたように見る。


そして、頭を下げた。


貴子も頷き、

為時も道隆の姿に

感服している。


まひろも道兼とはまた違う、

道長のもう一人の兄には

心地よいものを感じたことだろう。



皆が退室していく中で

為時は元輔に


「元輔様、本日は

お疲れになりましたろう」


と声をかける。


「いやいや…」


「道長殿もお見送りを」


貴子が道長を呼んだ。


「はい」


道長は貴子のあとに続くが…


まひろの前で立ち止まる。


まひろが顔を上げると、

道長は彼女を見つめた。


何か言いたいのに、

言えない…


そんな辛そうな道長の姿がある。


「道長殿」


貴子の呼ぶ声が聞こえる。


「はっ」


道長は名残惜しそうに去る。


切なさにまひろの目にも

涙が浮かぶ。


せっかく学のありそうで

年も近そうな女子に会えた

ききょうは屈託なく


「まひろ様はお疲れなのかしら」


と声をかけた。


「私、斉信様がお選びになった

歌が好きだったわ」


楽しそうにそう言う。


遠慮のない娘に、

元輔が注意する。


「出過ぎたことを申すでない」


「はい」


と、ききょうは姿勢をただした。


まひろは…道長のことが

気になって…元気がなかった。



帰り道…


公任、斉信、行成が

歩いている。


公任は


「どうだった?」


と斉信に声をかけた。


「やはり道隆殿だな。

義懐殿じゃない」


「うむ」


二人共、道隆の態度に

胸を奪われていた。


しかし、年頃の男である…


すぐに、女の話になった。


「それよりは元輔殿の息女、

ああいうのも悪くないな」


と斉信はききょうを褒めた。


「あのようにしゃしゃり出る

女子は好かぬ」


普段、自信のある公任は

ききょうのような強い

女性は苦手なのだろう。


「あのこざかしげな感じ、

鼻をへし折ってやりたく

ならぬか?」


斉信は楽しそうだが、


「ならぬ」


と公任は不機嫌に答えた。



夜。


道長は月を見ると、

改めて筆を取った…



まひろは切ない思いを抱え、

同じように月を見ている。



文を書き終えた道長は

警護のため仲間たちと

巡察をしていたが…


その頃、直秀ら

窃盗団が盗みに入っていた。


「盗賊だ!」


という声を聞くと、

直秀らはあわてて

脱出をはかる。


気付いた道長らは、

彼らを追った。


逃げようとする彼らに

道長は弓を放つ。


道長の弓の腕前は高い。


その矢は直秀の腕に刺さった。


直秀は布を取り出すと、

道長に向かって投げつけた。


布は弓に絡まり、

次の矢を封じてしまった。


道長が手間取っている間に

直秀らはなんとか逃げ延びた。



その頃、


「姫様」


乙丸が道長からの文を

まひろに届けにきた。


「散楽で会った三郎の使者が

これを持ってまいりました」


まひろは受け取ると、

すぐに部屋に向かう。



内裏ではさらに一大事が

起きていた。


「忯子様がお隠れに…」


「えっ!」


「何か?」


「忯子様がお隠れに」


お隠れになる…つまりは

亡くなってしまったのだ…


花山天皇も飛び起きて


「忯子…忯子!」


と駆けていった。




まひろは文を開く。


「ちはやぶる

神の斎垣も越えぬべし

恋しき人のみまく欲しさに」


神様の障害も乗り越えて、

あなたに会いたい…


そんな道長の気持ちを

綴った歌だった。


まひろは手紙を

愛しむように胸に抱いた。



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紫式部(まひろ)と

清少納言(ききょう)といえば

この時代を代表する

作家となっていく二人…


紫式部はどちらかといえば

フィクションが得意な小説家

清少納言は枕草子などのような

随筆家といったところだ。


二人の仲が良かったかというと…


何やら微妙な関係であり、

お互いについてあまり

良くないことを書き残して

いたりもするのだが…


ただドラマでもそうであるように、

まひろは倫子らのサロンに

参加していても、

彼女たちは書物が苦手で…


ききょうもおそらくは

書物について語れる相手に

飢えている印象だったので

ライバルでありつつ、

どこか気になる友達…という

関係性になっていくのでは

ないかとも思う。


そのききょうは漢詩について

語れそうなコがいるー!

と喜びを隠せないのだが、

まひろのほうは道長のことが

気になって仕方がない…


道長はまひろに会いにきたのかは

よくわからないが、

昔から学問が苦手と言い、

道隆にも自分は欠席すると

言っていたのに、

ちゃんと学んできていた。


もしまひろ目的ではなかったなら

道長なりに友人たちに

取り残されてはならない、

兄が主催しているのだから

自分も貢献したいという、

これまでとは違う側面が

生まれてきていて、

成長を感じさせる。


道兼に闇を背負わせる以上、

自分は道隆とともに、

明るい道へいかなければと

思ったのかもしれない…


とはいえまひろを見てしまうと

ドキドキしてしまう、

というあたりはやはり可愛い。


まひろも道長も可愛いのだw


ききょうと、公任、斉信、行成は

史実でも関わりがあるので

この辺の描かれ方もたのしみ。


道隆の振る舞いはさすがで

義懐のように「酒」で

若者を下品に遊ばせるのでなく

「酒」で学を披露しようよ、と

彼らに活躍の機会を与えた。


いつか父親たちのように

国を背負いたい、

雅に生きていきたいという

この時代の貴族にとっては

宴の酒よりはよほど

感じ入るものがあったろう。


道隆はそれをうまく利用し、

道長の友人たちを自分の

シンパにしていく。


これは父、兼家とはべつに

自分の味方を増やす一手でもあり

かつ強引なやり方ではないので

スマートなかっこよさを

感じさせるところだ。


このまま温厚な政治家へと

なっていくと良いのだが…


そこはそううまくいかないのも

この時代なので…


やがては道長とぶつかるのか、

と思うと切ないものはある。



ききょう役のファーストサマーウイカ

さんはとても良かった。


清少納言のキャラ的に、

ちょっとクールで皮肉屋

というのが枕草子などでも

うかがえる性格なのを

若干、マイルドにした女性に

なっている。


これは演出のほうからも


「少し優しめに」


という指示があったそうだが、

嫌味な性格なのではなく

基本的に明るいがマイペース、

性格が悪いのではなく

お転婆であまり他人のきもちは

考慮しないで喋ってしまう、

という面白いキャラ付けだ。


書物が好きという点で

ヲタク女子、

ヲタ話できる相手を

欲しがってるというのは

まひろと変わらないのだが…


フォロワーさんも書いてたが

まひろがX向きのヲタなら

ききょうはインスタグラムを

駆使しているキラキラ系

ヲタク女子。


このあたりの描き分けが、

大石静さんはとても上手い。



忯子さまがお隠れになったのは

かなり悲しいものがあった。


SMプレーに興じてるような

花山天皇なのだが、

彼女のことを愛しているのは

これまでにも描かれていたし

事実、この帝は忯子を失った

ショックによって、

追い込まれてしまう…


まさか夜の営みだけで

本当に死ぬわけもないから

邪推をすれば安倍晴明の

呪詛どころか、

円融天皇のときのように

毒を盛られた可能性すらある。


もちろん、殺すつもりはなく

子供さえおりてくれればいい、

くらいだったかもしれないが

夜の営みに付き合ってたせいで

体力的に弱りすぎていて

予想以上に毒が効きすぎて

命まで落としてしまったとか…


これにまた兼家や道兼が

絡んでいるとすれば、

かなり陰湿ではあるが。


安倍晴明の呪詛が

100発100中なわけでもないのに

忯子様には皇子は生まれない、

と道隆も断言していたので

本当に人為的なものがあった

可能性も否定できないのが

怖いところだ…



物語の流れとしては

やはり重たい面もあるのだが

道長があらためて恋の歌を

まひろに送っていたり、

あの清少納言の登場によって

ますます面白くなりそうである。


ききょうと倫子の絡みも

この先あるのだろうか?


まひろの非礼には針で

チクリとする程度の倫子さまだが…


ききょうの生意気さと

遠慮のなさには本気でムカついて

グサリとやりそうなので

そこがまた恐ろしいw