鎌倉殿の13人第47回感想 | NobunagAのブログ

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第47回「ある朝敵、ある演説」

ついに承久の乱が勃発…

政子は何を語るのか…。




実衣は髪をおろして尼となり
政子の側近くに仕える
こととなった。

「私のこと殺そうとしたでしょ」

と詰められると、
事実なだけに
さすがに小四郎も
バツが悪い…

「してない」

と言い張るが、
後で時房にチクられている。

が、政子は小四郎も
後に引けなくなって
いたのだから、
と水に流すように
実衣を諭す。



政子が尼将軍となり、
思うように行かない小四郎。

尼将軍の名でまた
炊き出しをしてもらえないか
という訴えがくるのだが

「そんなことまで
私を頼るな!!」

と怒ってしまう。

それを見ていた平六は

「お前も変わったもんだな。
昔は誰彼かまわず
頼みを聞いてやってた。
立場は人を変えるな」

と言う。

思わず歩きながら昔のことを
思い出す小四郎。

かつては平六から

「安請け合いすると
後で苦労するぞ」

と苦笑されていた、
若き日の自分…

伊豆で頼朝の元、
振り回され続けて
みんなの思いを叶えるべく
駆け回っていた、
あの頃のことが浮かぶ。

「そんなときもあったな…」

と疲れたように
つぶやくのだった。




京では跡目争いに
端を発して、
源氏の血を引く源頼茂が
謀反を起こしていた。

内裏が巻き込まれたことに
上皇は腹を立てる。

謀反は藤原秀康により
ほどなく鎮圧されたが…

焼け落ちた内裏の
修復費用が莫大なものと
なっていた。

上皇はこれを鎌倉に
責任を被せ弱らせる機会と捉え
日ノ本中の武士から
財を取り立てよ、
と言う。

そうなれば御家人たちは
不満を抱くことになり
きっと鎌倉…北条義時は
追い詰められるだろう。

慈円は鎌倉があるから
なんとか武士たちの
統率が成り立っていることを説き、
いたずらに鎌倉を
刺激することを止めるよう
進言する。

あくまで鎌倉の肩を持つ慈円に

「私は鎌倉を決して許さん、
決してな!」

と上皇は決意を告げる。



上皇から内裏修復の費用の
徴収についての、
命令が鎌倉に届いた。

当然ながら小四郎は
反対である。

泰時は上皇の意に逆らうのは
得策ではないと主張する。

「上皇様に逆らうことは
神仏を恐れぬに等しいこと。
父上は恐ろしくないのですか?」

「私は神仏を恐れぬ!」

断言する父の姿に

「だから人から好かれぬのです…」

とこぼす泰時…。

「ここは尼将軍に
お決めいただきましょう」

大江広元に促され、
政子に決断が委ねられた。

鎌倉では火事も多く情勢が
不安定であるため、
都を助けるのは鎌倉の
立て直しが済んでからに…
と政子は先延ばし案を出す。


話し合いが終わると、
泰時は小四郎を
追いかけていた。

神仏を恐れないという
小四郎を案じて泰時は、
小さな仏像を返そうとする。

かつて小四郎から託された、
頼朝の形見の仏像だった。



自宅に帰った小四郎を、
妻、のえとその祖父、
二階堂行政が出迎える。

のえの兄は小四郎のおかげで
京都守護職になっていた。

行政は礼を述べるが、
小四郎は疲れているから
早々と立ち去る。

それでも行政は、
北条が我が一門を頼りに
してくれていると
嬉しそうだが、
のえは政村を跡継ぎに
していただかなければ
意味がありません、と言う。

義時は息子の太郎とは
不仲なのだろう、と
行政は指摘するが

「あの方と太郎殿は
ぶつかればぶつかるほど
心を開き合っているように見える…」

と答える。

「薄気味悪い親子なんですよ…!」

と吐き捨てた。


泰時は時房を招いて
酒を酌み交わしていた。

父のあの態度では
御家人たちがついて
こないと心配する泰時。

兄上には頼朝様と違って
愛嬌がない。
愛嬌は大事だぞ太郎、
と時房は返す。


政子による都への返答は、
内裏の修復費用の件は
先延ばしにして、
いったんは断るという
方針だったのだが…

上皇と揉めたくない、
睨まれたくないと不安な
御家人たちから、
取り立てをはっきり
免除してくれるよう
上皇に掛け合ってくれと
不満の声が上がり始める。

泰時はこれが上皇の
策略だと気づく。

こうして御家人たちの心を
北条義時から引き離す、
それが真の狙い…。



平六は弟の胤義を
上皇に近づけて
都の動向を探っていた。

上皇は小四郎の排除を望み
呪詛するよう慈円に命じる。

呪詛しているという噂が
鎌倉へ伝わったほうが良い。

そうすればますます
御家人たちは義時への
不安と不満を募らせる。

慈円は義時がいなければ
鎌倉は立ち行かないと
止めるが怒った上皇から
下がるよう命じられてしまう。

慈円の代わりに武闘派の
藤原秀康が台頭し始めていた。



政子、実衣、そしてのえは
3人で語らっていた。

のえは太郎の代わりに
北条の跡取りに
政村をと口にしてみるが
政子は取り合わない。

「大きすぎる望みは
命取りになりますよ、
この鎌倉では」

と実衣からもたしなめられる。

実衣はそのせいで、
息子を亡くしたばかりである。

名ばかりの鎌倉殿として
鎌倉に送られてきていた
幼い三寅はすっかり
政子になついていた。

そんな平和な様子に、
のえは疎外感を覚える…


そんな折、
京都守護が官軍により
襲撃されるという
大事件が起きる。

これが上皇の開戦の狼煙であった。

上皇に接近させていた
弟の胤義から平六に、
上皇が義時追討に動いたとの
手紙が届く。

平六は御家人である
長沼宗政と対策を
協議し始めた。

そこへあの源頼家の
蹴鞠の師匠をしていた
平知康が義時追討の院宣を携えて
やってきた。



小四郎のもとにも
京での異変が知らせられていた。

「攻めてくるぞ」

と言う小四郎に、
時房も大江広元も
ついにこのときが…と、
表情を固くした。



北条義時の追討。

それは北条を倒し、
三浦が頂点に立つ
絶好の機会ともいえる。

平六はあわよくば…
との思いにかられるも
長沼宗政のもとにも同じ
院宣が届いていることを知る。

自分が特別選ばれた
わけでもなければ、
こんなに大勢に
配られてしまえば
必ず露見する。

計画も何もあったものではなかった。

京都側の計略はあまりに
杜撰すぎた。

このような状況では
どうしようもない。

平六は院宣を真っ先に
幕府へと提出した。

政子はこれに喜び

「頼もしきは三浦殿じゃ」

と平六を褒める。

「院宣を届けた者が我が館におります。
取り調べましょう」

そう言って平六は下がった。

計画に乗ろうとしていた
長沼宗政にはとりあえず
様子を見る、と伝え
平知康を捕らえるのだった…


のえは兄である京都守護職、
伊賀光季が殺されたことを知り
小四郎に詰め寄る。

「兄は見殺しにされたのですか!?」

小四郎は語らずに去った。

「許せませぬ…」

のえは暗い目で小四郎の背を
にらみ続けた…



小四郎は朝時、時房、
そして泰時に上皇の狙いは
御家人たちどころか
北条も分断するつもり
だったことを明かす。

「こうなったら道はひとつ。
上皇様に一戦交えるしか
道はないかと…!」

これまで協調路線を主張していた
泰時が真っ先に応戦を口にした。

しかし、小四郎は
意外なことを語り始める…

「お前はいつも私と逆のことを
考えるなぁ…」

院宣の内容は
自分だけを追討するものだとし、

「太郎、私はお前が後を
継いでくれることを
何よりの喜びと感じている…

お前になら安心して
北条を、鎌倉を任せることができる」

と言う。

いつになく本音を明かす父に

「どういうことですか?」

と泰時は訝しむ。

「私一人のために
鎌倉を灰にすることはできん…」

と小四郎は、
首を差し出す覚悟を
告げるのだった。

「五郎、太郎を支えてやってくれ。
次郎、お前もだ」

と時房と朝時に、
泰時の補佐を託した…


政子に進退を報告する小四郎。

「なりません!」

と政子は止める。

自分を犠牲にして、
争いを収めようとする
小四郎に実衣も

「本当、気持ち悪いのよ!
そうやって一人で
かっこつけてる感じが…!」

と怒る。

「鎌倉を守るために
他に手はございません」

と語る小四郎は

「私を憎む御家人たちも多い。
良い頃合いかと思います…」

と述べて去ろうとする。

「もう一度よく考えて小四郎!」

と止める政子。

「…元はといえば伊豆の片田舎の
小さな豪族の次男坊…

その名を上皇様が口にされるとは…。

それどころかこの私を討伐するため
兵を差し向けようとされる。

平相国清盛、源九郎判官義経、
征夷大将軍源頼朝に
並んだのです。

北条の四郎の小倅が…
面白き人生にござりました」

半ば嬉しそうに、
そして寂しそうに笑い、
小四郎は立ち去った。

「かっこよすぎなの…」

実衣は政子を見る。

「大丈夫、かっこいいままでは
終わらせません…!」

政子も腹をくくった。

政子は急いで大江広元に、
御家人たちへ向けた
演説の草案を作らせる。


小四郎は御家人たちを前に
自身が都へ行くことで
落とし前をつけることを
述べようとするが、
そこに政子が現れる。

「鎌倉の一番上にいるのは
この私です。
あなたは下がりなさい」

そして演説が始まる…

「私が皆に話をするのは
これが最初で最後です。

源頼朝様が朝敵を討ち果たし
関東を治めてこのかた
その恩は山よりも高く海よりも…」

と、そこで政子は読むのを止めた。

「本当のことを申します。

上皇様が狙っているのは
鎌倉ではない。

ここにいる執権義時の首です。

首さえ差し出せば兵は収めると
院宣には書かれています。

そして義時は己の首を
差し出そうとしました…」

「…姉上、もういい!」

止めに入ろうとする小四郎に

「よくありません!

私はいま尼将軍として
喋っているのです。

口を挟むな!」

政子のあまりの気迫に黙るしかない。

「鎌倉が守られるのならば
命を捨てようとこの人は言った。

あなたたちのために
犠牲になろうと決めた。

もちろん私は反対しました。

しかしその思いは変えられなかった。

ここで皆さんに聞きたいの、
あなた方は本当に
それで良いのですか?」

政子は続ける。

「確かに執権を憎む者が
多いことは私も知っております。
彼はそれだけのことをしてきた…
でもね…この人は生真面目なのです」

泰時は目を閉じる。

「全てはこの鎌倉を守るため。
一度たりとも私欲に走った
ことはありません」

以前、殺されかけたはずの
実衣も声を上げる。

「それは私も知っています」

政子は語る。

「鎌倉始まって以来の
危機を前にして選ぶ道はふたつ!

ここで上皇様に従って、
未来永劫西の言いなりになるか!

戦って坂東武者の世を作るか!

…ならば答えは決まっています。

速やかに上皇様を惑わす
奸賊どもを討ち果たし、
三代に渡る源氏の遺跡を
守り抜くのです!

頼朝様の恩にいまこそ
応えるのです。

向こうは…あなたたちが
いくさを避けるために
執権の首を差し出すと思っている…

馬鹿にするな!!!

そんな卑怯者はこの坂東には
一人もいない!!

そのことを上皇様に
教えてやりましょう!!」

「応!!!!!」

御家人たちが気勢を上げる。

光を失っていた大江広元は
目を見開いて政子の
大きな成長ぶりを
眩しそうに見つめていた。

「ただし敵は官軍。
厳しい戦いになります。
上皇様に付きたいと
思う者があれば、
止めることはしません。」

そう呼びかける政子に

「そのような者が
ここにいるはずが
ございません!」

泰時が答えた。

「いまこそ一致団結し…
尼将軍をお守りし、
執権殿のもと、敵を打ち払う…」

小四郎の目から涙があふれた。

「ここにいるものたちは皆、
その思いでいるはずです!

違うかあーっ!!!」

そうじゃ!!

そうじゃあ!!

と泰時の問いかけに
御家人たちは奮い立った。

「執権殿、これが上皇様への
我らの答えです…」

泰時は父の前にひざまずく。

涙をこらえて頷く小四郎。

政子はそれを見て、
優しく微笑んだ。





神回…

神…回…ッ!!!!


「他に手はございません」

「他に道はない」

この言葉によって、
鎌倉は何度も何度も
誰かを犠牲にしてきた。

だからこそ小四郎もまた、
自分が命を奪ってきた
同胞たちと同じように
今度は自分の命を差し出すことで
落とし所を作ろうとした。

幸いにも小四郎には、
愛する息子である太郎、
泰時がいる。

何度も衝突してきた
そんな息子ではあるが
そうやって泰時を
厳しく育てたのも、
自分が亡くなったあとを
託せる男になって
ほしかったからだ。

それは…鎌倉のため。

北条が上に立つ世を望んだのも、
全ては鎌倉のため。

それが小四郎…北条義時が
行ってきた全てだった。

でも…政子は違った。

政子の中にあったものこそ、
たとえ身贔屓であっても
家族を守りたい、
生真面目で不器用な弟を
守ってあげたい。

それが政子だ。

この弟のせいで、
自分は二人も息子を
亡くしてはいる。

実衣も同じである。

だけれども小四郎は
決して私欲のために、
他人の命を奪ってきた
わけではなかった。

懸命に考えて、
生真面目であるからこそ
修羅の道を歩まねば
ならなかった。

本当に鎌倉が危機になるなら
自分の命をも簡単に差し出せる、
それが小四郎である。

泰時も…御家人たちも、
それに気づいていた。


政子の言っていることは
至極単純だ。

坂東武者を見くびるな!
ナメたマネをするなら
ぶっつぶせ!ということ。

ヒヨってる奴はいねえよなあ?

ということだ。

でも、日和ったならば
正直に立ち去っていいよ、
という優しさも忘れてはいない。

そこに泰時が

「そんな奴はここにいない」

と断言することによって
御家人たちがひとつになる。


泰時自身もここまでは
どうにかして
朝廷とはうまくやりたいと
温和な態度でいたのに、
いざ向こうが兵を挙げたとなると
一戦も辞さず、とすぐに
覚悟を決めていた。

この闘争心こそが、
坂東武者の本質だったのだろう。


しかし…

史実とされる演説を…

あえて途中まで読んで
止めさせる、という
演出はすごい…。

最大の見せ場なだけに、
いかに感動的に読ませるか、
語らせるかにばかり
頭がいってしまいそうなのに…

あえてあれを止めさせて、
政子が本音を語った、
というシーンにしてしまう
大胆さ。

もちろん、原文自体は
ドラマでも残されているのだから

「本音を語ったのだが、
正式なものとしては
あの文書が後世に伝わった」

という解釈をすれば良い。


実際のところ、
アジテーションのためには
ただ、頼朝様への恩…

というだけで、
御家人たちはどこまで
本気で動くだろうか?

政子にとっての頼朝は
無二の夫であったろうし
愛の深さを語るエピソードは
史実的にも残されているが
坂東武者たちは、
どこまで頼朝への忠義を
本気で感じていたのか?

という疑問はなくもない。

もっと心を打つような、
政子の言葉があっても
おかしくなかったかもしれない。

そんな可能性を、
ドラマとして描いたと思う。

多くの者達が、
こうして言葉にされれば
北条義時という人がいたからこそ
自分たちはあるのだ、
と心の底では彼を認め、
彼がいたからこそ
今があるのだと本当は
わかっていた。

小四郎は孤独なのではなくて
本当はこれだけの人に
愛されているのだ、
あなたは死ぬべき人ではないと
政子が示してくれたのである。



…そんな小四郎にとっての
最大の不幸は…

こうして姉も、息子も…

そして多くの御家人たちも
本当は小四郎こそが
最大の功労者なんだと
知ってくれていたのに、
一番の理解者であって
ほしいはずの妻からは
理解されていないことだろう…

のえだけを責めるわけにも
いかない…

小四郎自身が彼女を
八重や比奈と比較したり
傷つけてもきた。

まして不幸なことに、
権力争いが結果的にだが
彼女の兄の命さえも
奪ってしまった。



次回はいよいよ最終回…


「報いの時」

……………。

これが悪い意味での

「因果応報」なのか、
それとも良い意味で、
苦労が報われるのか…

だが…

良い意味では今回すでに
充分に報われてしまった、
そんな気もする。


小四郎が頑張ってきたことは
確かに報われた。

が、現実にたくさんの命を
奪ってきたこと、
傷つけてきたことまでもが
帳消しになるのだろうか?


どんな答えが待っているのか、
つらくても見届けねばならない…。



大河ドラマの最終回が、
こんなにつらいのは
長年観てきても、
初めてかもしれない…