「先代王の時代に作られたハチドリ、
あれは傑作であったな」
大臣
「ハハッ」
王様
「ワシも何か地上絵を残そうと思う」
大臣
「それはよきお考えにござりまする」
王様
「そちも賛成してくれるか!
では良き絵師を探してまいれ」
大臣
「ハハーッ」
数日後
大臣
「王様、先日言われていた
高名な絵師を連れて参りました、
ほれ、絵師よこれへ」
絵師
「はい」
王様
「そなたが絵師であるか。
存分に腕をふるうがよい、
素晴らしい地上絵が
描けたあかつきには
莫大な褒美を取らせようぞ」
絵師
「あの〜、できればその…
前払いで…」
王様
「なにっ!?前払いとな?」
大臣
「良いではありませぬか、
太っ腹なところを
見せてやりましょうぞ」
王様
「むむ…あいわかった」
絵師
「ありがとうございます」
大臣
「先生!良い絵を期待していますぞ!
ハハハ…」
数日後…
絵師の家にて。
大臣
「むうっ!まだ下書きが
出来上がらんのか!!
これでは間に合わんぞ!
直々に問い詰めてくれる!
おい!!!
先生!!!
もう締め切りですぞ!」
ドンドンドン!!!
大臣
「あの野郎!カギかけてやがる!
こうなったら蹴破ってでも…
オラアッ!!!」
ドガーーーン!
大臣
「よし…開いた!!
うぉーーい!!
先生〜!!!!
おーい!
あれ?
誰かいませんかぁ〜…?
…野郎!!!
逃げやがった!!!!
ちょっとどうすんのよこれ〜!!
ヤダもう〜!!!
いくら払ったと思ってんの!?
ねえ??
クソがっ!!!!
あのクソ絵師がッ!!!!
かくなるうえは…!!!
ええーい!!!!」
その日、大臣は生まれて
初めて筆を取った…
大臣
「む…むう…これは…
我ながら…!!
いや…しかし!!」
現場にて
大臣
「えー…というわけで
この図面通りに作って
もらいたい」
作業員
「え?ちょ、何なんスカこれ」
大臣
「ネコである」
作業員
「え?は?マジ意味わかんねーっス。
これ本当に有名な先生が
描いたんすか??」
大臣
「そうだ」
作業員
「いや、信じらんねーっスワ!
俺のほうが上手いッスワ!」
大臣
「ええーい!!!
貴様如きには芸術は
わからんのだ!!!
ヤレ!!!
つべこべ言わず完成させいっ!!
ぶっ殺すぞ!!」
作業員
「ひぃーーーっ!
はいーーーーっ!」
数ヶ月、完成の日。
王様
「この日を楽しみにしておったぞ!」
大臣
「は…はい…ハハ…」
王様
「ん?いかがした?
顔色が悪いようだが…?」
大臣
「い、いえ…そのようなことは…」
王様
「おう…見えてきたな…
あれか?
もう少し高台に登らんと
見えぬわい…」
大臣
「いえ、危険ですから
こここ、この辺で…」
王様
「何を言うておる!!
せっかく高名な絵師に
高い金を払ったのだぞ!
しっかり見渡せるところまで
登って確認せねば。
さ、登るぞ!」
大臣
「ガクガクブルブル…」
早く完成した地上絵が見たい。
心弾ませ駆け上がる王に比べ
険しい山道を登る
大臣の足はひどく重かった。
そして山頂。
王様
「む…むむっ!!!?
だ、だだだ大臣!!!!
な、なんじゃこれは!!!?
な、なな…何を描いたんじゃあっ!!
まさかこんな…!!
ネコか!!!?
こんなものがネコだとか
言うのではあるまいな!!!!
ネコなのか!!
ネコちゃんだと言うのか!!
あのかわゆいネコちゃんだと!!?」
大臣
「ぬ、ぬぬぬ…
ぬこ…そう、ぬこで…あります!!」
王様
「なにっ!?ぬこ!?」
大臣
「こ、これは…
幻の珍獣ぬこなのであります!」
王様
「なんと!ぬこ…ぬこか!
ネコではないのだな!?
そうか…ぬこ、なのか…!」
大臣
「左様であります!
高名な絵師ともなると
普通の動物などは
描かぬものです!!」
王様
「それはそうであろうな!
ハハハ!!!
そうか、ぬこであったか!!
…しかし…なんともこれは…
なんというか…
ぶっちゃけ、その…
ヘタク…」
大臣
「大傑作ですな!!
きっと王様にはわかりましょう!
作業員どもは落書きなどと
申しておりましたが、
一般の者どもには
芸術がわからんのです!!」
王様
「…そ、そうじゃの!!
ワシはひと目見た途端、
傑作だとわかったわい!」
大臣
「ハハハ!!
さすがでございます!」
王様
「そうであろう!
ハハハ!!!!
良いものを作ったわい!」
大臣
(バカでよかったーーーー!!!)
