まだ風は強くて、
少し危険か…
昨日は幼稚園の運動会のため
休みを取っていたのだが、
この災害レベルの台風で
職員だって帰れない、
来られないことが
予想されていたので
とりあえず出勤する
つもりでいたが…
もちろん俺にも家族はいて、
子供たちが小さいことや
母の病気のこともあるから
家のことだってとても
心配ではあったのだが。
なにせ家のすぐ隣に
かつて溢れた
大きめの川があるw
しかしやはり施設から
「自宅のほうに避難勧告が
出てしまって家に子供たちしか
いないから帰らせてほしい」
と連絡もあり、
管理者なんだから
対応しないわけにも
いかないからね。
12時頃には出勤して
まず一階の職員は帰らせた。
しかし二階の職員も
家に子供しかいないと
いう状態であるため、
それも帰ってもらい…
さすがにこの状況で
俺一人というのも
そうとう無理があったが
上司の娘さんと、
デイのスタッフが一人
手伝いにきてくれた!!
これはありがたい、
というか今までそんなことは
ほぼなかったのだが、
今回がいかにヤバい
状況だったかという話だ。
うちの施設の問題は
70メートルほど離れた場所に
大きな川がある。
家の隣にもかつて
溢れた川があると
書いたばかりだが、
施設のそばの川は
それよりはるかにデカイ。
数十年前の伊勢湾台風で
洪水を起こし
街を流して甚大な被害を
生んだ川なのだ。
つまりそこの水が
溢れれば施設ほぼアウト。
であればまずは施設も
危険なので避難も
考えなきゃいけないのだが…
問題は指定避難所が、
50メートルほど離れた
学校なんだけど、
距離的にそんなところに
避難してもほとんど
意味がない。
水までの距離で言ったら
むしろその学校のほうが
川に近いという始末。
川→道路→学校→道路→うちの施設
みたいな感じw
かといって遠くの避難所まで
輸送すること自体が
この限られた人員では
まず無理な状況でもあり
なにせ利用者全員が認知症。
テレビであれだけ
台風のことしかやってなくても
あなたの地域も危険ですと
さんざん言っていても
「どっかに台風きてるんだって」
「ふーん、大変だね」
くらいならまだ良いほうで
大抵は5分すれば忘れる。
おまけに2/3くらいは
テレビの内容が
全然理解できてないから
台風が来てることにも
一瞬も気づかない。
外で雨が降っていたり
木々がしなっているのは
当然、見えてはいても
それが台風とは直結しない、
というか。
認知症というのは、
そういうもの。
普段と違えば違うほど、
より理解が困難になる。
例えば知らない避難所に行くにも
全員を輸送してる間、
そこで待っていられると思えないし
混乱して徘徊したり、
どう考えても他の避難してる方に
影響が大きすぎるから
事実上は避難することが
ほぼ不可能な状況だ。
しかし事態は刻々と
悪くなるお知らせばかりが
届いてはくるので
管理者としては非常に
決断に迷うのが本音だ。
こういう水害の恐れの場合は
垂直避難、つまり一階の方を
みんな二階へというのが
妥当なところか。
ただそのまま孤立する
可能性というのも
あるのだが…
助かったのは
消防署の方が電話をくれて
「指定避難所が川に近すぎて
避難する意味がないですよね、
施設のほうがまだ安全ですよ。
基本的に二階へ。
難しいようであれば
消防署からも助けを出します」
と言ってくださったこと。
利用者さんの人数や
職員数のことも相談に
乗ってくれて
「困ったらいつでも
言ってくださいね」
と励ましてくれたので
大いに気持ちがラクになった。
そんなわけで一階の方を
二階へと避難。
しかしこれまた困ったのが
ようやくその作業を終えると
今度は市から電話があり
「指定の福祉避難所が
いっぱいになりそうなので、
そちらでも受け入れて
くれませんか?」
と…
どう考えても無理。
先ほど書いたように
震災ならともかく
水害には立地的にそもそも
危険な場所であるから
なんとか苦労して
一階の人達を二階へ移動して
待機するしかない状況で、
それでフロアーはいっぱい。
おまけに職員はみんな帰り、
もちろん来る予定だった
職員もみんな避難を
余儀なくされていて、
出勤できる者も皆無。
現場のことがある程度、
わかるのは俺しかいなくて
あとは手伝いに来てくれてる
不馴れな人だけ。
利用者さんだって
認知症であるから、
知らない人たちが
ぞろぞろやってきたら
大混乱になる…
断らざるを得ない。
人を助ける仕事なのに
こういうときに、
助けなくてどうすると
思われるかもしれないが
助けられる自信がないのに
助けようとして、
全員犠牲にするわけには
いくまい…
ただ、さすがに断ったが
そういう要請もあるから
本当に緊急であれば
何人か飛び込んでくる
可能性もあることは
部長に伝えると、
その部長もこの状況は
これまでに比べても
前代未聞と思ったのか
手伝いに来てくれた。
夕方にはついに
レベル5のJアラート、
ミサイルとか来るときに
鳴るやつが響き、
避難指示が。
避難勧告と違い、
避難指示は
避難しないと死にますよ、
みたいなレベルなので
さすがに自宅にも
連絡をとるとうちの
家族はちゃんと
小学校に避難していた。
小学校の場所は
水害には安全だからね。
おまけに友達なんかも
避難して集まってるから
子供たちにとっては
いつもと違って、
楽しみもあったみたい。
不謹慎ではあるけど、
家族がそうやって明るく
乗りきってくれているのは
離れた場所で仕事している
俺にはとても心強かった。
夜になると暴風域になり
外のエアコンの室外機が
ぶっとばされたり、
施設の門がグラグラに
なってしまったので
びしょ濡れになりながら
紐でくくりつけたり、
ひどい目にあった。
これはさすがに
早くやっとけば
良かったんだろうけど。
夜もいつ川が溢れるか
わからない状態なので
疲れてはいたものの
基本的には仮眠せず起きていた。
部長なんかはさすがに
「昼から来ているんだから
少し寝ていいよ」
と言ってくれたが、
ただでさえ夜勤中は
あまり寝ないタイプだし
こういう状況だと
ますます寝られんよ…
夜中の1時頃、
やっと危険域を
抜け始めたので、
部長や手伝いにきた二人は
帰っていった。
でもとりあえず俺は
何があるかわからないので
念のため備えて朝まで起きて
待機をしていた。
こんな状況でもごくごく
いつも通りに一晩中
寝ないで柵を蹴ってる
利用者さんもいたが
そのくらいは平常運転なので
まぁそれなりには平和に
朝を迎えられた。
やってるときは、
とにかくこんな状況なので
冷静さを保ちながら
仕事をしていたものの、
こうして終わると
ドッと疲れたな…
めまいがひどいわ。
しかし自分の体感上は
この台風も大変だったが、
数年前の大雪のほうが
きつかったなとも思う。
あのときは完全に
施設が孤立状態で…
職員はほとんど出てこれず
手伝いに来る者もいない、
というか手伝いすら来られない…
基本、俺と近所のスタッフ
3人だけでまわしてた。
車で事故らないよう
クッソ寒い中を
歩いて帰って飯食って、
シャワーだけ浴びてまた会社へ、
みたいな。
家が近いったって、
歩いて行くなら
通常30分以上はかかるし
街中が雪だらけで
1時間近くかけないと
たどり着かない。
だから施設につく頃は
また雪で服がびしょ濡れに
なってるし。
肝心の飯だって、
街の店がみんな閉鎖して
買い物もできないくらい
ひどかったからな。
それが何日も
続いて本当に死ぬかと思ったw
その意味ではそうした
教訓もあったから
今回は消防の方も
親切に確認の電話を
くれたりしたのかもしれない。
たった電話一本でも
「大丈夫ですか?」
と言ってくれたり
「困ったら助けに行くから
遠慮しないでくださいね」
と言ってくれる言葉が
どれだけ勇気づけられるか。
今回の対応はありがたかったです。
まぁ、こうやって帰っても
目が冴えてしまうから
ブログなんかも書いてるんだが
寝たほうが良いんだろうな…
ニュースを見ていると
亡くなった方や、
行方不明の方も大勢いて
心が痛みます。
まずは自分も家族も、
利用者さんたちも
無事で守れたことには
感謝したい。
夕方頃の近くの川の様子。
中洲が消えてる。
これがどんどんと
水かさを増していくのだから
けっこうヤバかったです。
こういうふうに
川を見に行ったり、
写真を撮ることが
危険なんだ!
と言われるのも
わかってはいるんだが
人の命を預っているからこそ
仕事の性質や立場上、
自分の目で見て
今の対応が適切かを
判断する必要があるので
決して好きでやってるのでも
楽しんで撮ってるのでもないことを
ご理解いただければと思う。
