■ピック病と施設■
同じ介護ブログを書いている方が
ピック病(前頭側頭型認知症)
の利用者さんで
悩んだりご苦労されてるのを
見ると頭が下がります。
かくいう自分も、
何人もピック病の方を
介護してきましたが…
本当に大変なんですよね。
ピック病の方の特徴を
非常にわかりやすく言うなら
「同じことを繰り返す、
すぐに怒る」
という感じです。
ま、その程度ならば
高齢者で認知症の方は
ほとんどが当てはまるのですが、
ピック病の場合には
それがさらに病的というか
歯止めが効かないレベルなんですね。
たとえば雨が降ろうが、
地震が起ころうが、
自分のこだわりの行動は
一切やめませんし、
怒るといったって
普通に怒るとかでなく
相手がケガするくらいの
極端な暴力が
飛んできます。
スタッフが暴れる利用者さんを
こちらがアザを作りながら
かろうじて制してる、
なんて場面があると
大抵はその相手は
ピック病の場合が多いです。
相手の状況はおかまいなし、
相手がどう思うかも、
おかまいなし。
とにかく自分がしたいとなればする、
それが悪いとは全然思わない。
さらにわかりやすい例だと
痴漢をする人が
検査したら若年のピック病だった、
というパターンはよく聞きます。
非常に苦労するタイプなので
自分も研修などにも
よく参加しては精神科の先生にも
アドバイスはもらってきましたが…
ある先生は
「ピックの人の場合には、
怒るということ自体が
周辺症状ではなく
中核症状なので
治らないんですよ」
とも言われていました。
ちょっと専門的な話になりますが、
認知症の症状というのは
「中核症状」
と
「周辺症状」
の二つにわかれるんです。
中核症状というのは、
簡単にいえば脳の異変から
発生するもので
一般的には治らない症状です。
たとえば
「忘れやすい、
勘違いしやすい、
新しいことが覚えられない」
などが当てはまります。
そして周辺症状というのが
その中核症状の影響で
起きている症状、
治る症状、とまでは
言えないかもしれませんが
関わり次第である程度は
制御できるという症状です。
これがたとえば
「怒る、
同じこと言う、
徘徊する」
などのことです。
つまり一般的に
「認知症=困る!」
というイメージになってるのは
むしろこっちのほうなんですね。
しかし先に書いたように
これは中核症状が元になり
起きているものであり、
関わり次第では
よくなるんです。
わかりやすい例としては
「忘れる、という中核症状から
怒るという周辺症状が
起きている」
という人であるならば。
ではその人が忘れにくいように
工夫をしてあげたり、
忘れても大丈夫だよ、
という状況さえ作れば
治まるんですよ。
認知症の人なんて
大変なのによく
介護できますね!
と言われるんですが、
僕らがやってるのは、
そういうことなんです。
周辺症状=治る症状を
ケアしていくことで、
中核症状は治せなくても
なんとかなるんです。
ところがピック病の人の
「怒る」
は周辺症状ではなく
中核症状であるとするなら
周囲がどう工夫したって、
怒ること自体が
中核症状ならば
止められないんですよ。
そして施設が共同生活の場で
ある以上は
「あなたは好き放題に
怒っていいんですよ」
なんてわけには
いかないでしょう?
どんなに工夫しても、
ピック病の方をよくするのは
非常に難しいというのは
これが一因なのかなと
思ったりします。
もちろん、ピック病の方の
「怒る」
が中核症状だというのは
あくまでその先生の意見であり、
いや、そうではないという
先生もいるかもしれません。
ただ、自分の経験上は確かに
ピック病の方の行動の一部は
どう接しても変えることが
非常に困難だという実感は強いです。
「認知症であるから」
という理由でグループホームに
受け容れないといけない
状況というのもあるのですが、
一般的な認知症とは
全然違いますので
よほどの慣れたスタッフでないと
ほぼ手に負えないでしょうし、
他の利用者さんの生活に
与える影響も相当なものがあります。
暴力や性的な行為などは
スタッフが辞めてしまう原因の
ひとつにもなりえます。
認知症だからしょうがない、
と簡単に片づけるのでなく
もっと研究が進んでほしいですね。