■残酷な病気■
ここ2件ほどの記事は
スタッフ寄りの目線で
書いていましたが
認知症の方々本人たちのことも
代弁しなくてはいけないと
思っています。
なぜなら彼らのほとんど
というより全員が
望んでこのような病気に
なったのではないのだから。
手塩にかけて育てた愛する息子、
その息子が選んだ大切なお嫁さん、
その二人から生まれた大切な孫…
そうした大事なはずの家族を
傷つけてしまうのが
この病気です。
決して家族の誰もが
親を捨てたくて施設に預ける
わけでもありません。
多くの人が本当は家でみてあげたい、
それなのにそれができないほどに
追い詰められてしまっている。
認知症という病気の本人が、
望んでなんかいないはずなのに
結果的に大切な家族を
そこまで追い詰めている。
そして今回のように、
家族の代わりに自分を
助けてくれるはずの
介護スタッフのことすら
傷つけてしまう。
これが認知症という病気なのです。
何度も言いますが
好きでそうなる人はいません。
油断してるからなるわけでも
ありません。
ある日突然、
誰の身にも降りかかります。
僕の過去の経験から言えば
例外なんて存在しないほどに
不条理にこの病気は、
やってきます。
多くの子供たちに慕われた校長先生。
たくさんの人の病気を治してきた
お医者さん。
市民の平和を守ってきた
警視庁のトップクラスにいた方。
地域に貢献してきた議員さん。
日本だけでなく世界も回りながら
学問の発展に貢献した大学教授。
大切な生命を何人もこの世に
送り出してきた助産師さん。
病気の患者さんたちを勇気づけ
励ましてきた看護師さん。
そしてその看護師さんたちを
まとめるために苦労してきた
看護師長さん。
障害のある我が子のために
一生かけてお世話してきた
立派なお母さん。
奥さんを亡くして、
男一人で子供を育ててきた
立派なお父さん。
大勢の通勤を助けた駅員さん。
美貌を武器に夜の世界で
多くの人を癒してきた
美しい女性。
日本中飛び回るように
荷物を届けてきたトラックの
運転手さん。
僕らの先輩でもありますが
介護師として自分の身を
犠牲にするように
たくさんの認知症の方を
助ける側だった介護師さん。
本当にいろんな過去を
持つ方に出会い、
そのほとんどが決して
他人に恥じることなどない、
誇りを持てる過去を歩んでいます。
それなのに突然、
認知症という病気に全てを
奪われ、
自分が培ってきた大事な
人間関係のほとんどをも
破壊され、
その後構築した新しい人間関係すら
やがて破壊されるのです。
そして最終的には、
認知症によるものか
老衰かは別としても
一人残らず間違いなく
死が待ち受けているのです。
暗い話だとは思うのですが
これもまた現実であって、
真実なのだということも
多くの人に理解をして
もらいたいです。
希望を捨てろ、
なんて思いませんよ。
正しく現実を知ることで
そんな苦しい世界の中で
希望を見出だすことの価値を、
この仕事の真の目的、意義を、
知ってほしいのです。