◆一番イヤなこと◆
うつ病が引き起こすトラブルには
いろいろ苦しめられているけれど、
その中でも一番イヤ、
というか心へのダメージがひどいのが、
突然いなくなること。
たとえば会社に行ったと思っていたら、
勤務先から全然来てないんだけど、
どうかしましたか?
なんて連絡がきたりする。
当然、最悪の事態を考えてしまう。
そういうことが過去、
何回あっただろう。
10回くらいはあるのかな?
もっとかな?
失踪をするときの本人の気持ちというのは、
当然本人にしかわからない。
すべてのことがイヤになって、
死にたくてそうするのか。
それとも何かに追われている気がして、
とにかく知らない場所に逃げたいと思うのか。
とくに何も考えていないが、
突発的にそういうことになってしまうのか。
楽しかったときのことが頭によぎりながら、
最悪の事態まで覚悟のうえで、
彼がいそうな場所はどこか、
好きだった場所はどこだったかと
探し回ることは本当につらい。
もちろん、俺も大事な他人の命を預かる仕事をしているので、
毎度、毎度そのたびに仕事を放棄するわけにはいかない。
連絡を受けても飛んで行けないということだってある。
そんなときはひたすら親からの電話を待つということになる。
実際、仕事なんか手につかないのも正直な気持ちだが、
それでも何食わぬ顔でやるしかない。
そういうときは認知症の方が発する空気の読めない言葉、
無神経な発言も心に突き刺さるので、
本当は仕事場から離れたほうが良いんだろうが、
そういうわけにもいかない。
失踪は本当にイヤだ。
一度や二度はいい。
回数を増すごとに心が折れそうになる。
こういうことに慣れるということはない。
たいていの場合というか、
さいわいにもこれまで大きな怪我もなく、
無事に見つけられてはいる。
正直言ってぶん殴りたくなる気持ちもわく時があるが、
病気で苦しいのは本人。
そんなわけにもいかない。
そんな気合いや根性やら何やらで治るんだったら、
この世からこんな病気はなくせるわけで。
こんなことを書いてもただの愚痴でしかないかもしれないが、
もし病気の方でここを読んでいる方がいたら、
どうか踏みとどまって失踪だけはしないでほしいと思う。
人と一緒にいても誰も助けてくれないじゃないか!
と思うだろうけど、
助けてくれないわけじゃないと思う。
助けたくて仕方ないのに、俺たち家族は
どうしても助けてあげられずに悩んでいる、
それが真実。
でも病気の研究はどの分野もそうだけど
着実に進んでいる。
お医者さんも薬を開発する人も、
病気を治そうと努力を続けてる。
あなたを助けたいと思っている人が、
世界にはちゃんと存在してる。