◆続・暴力◆
昨日書いた話題の続きです。
さて、暴力行為がある認知症の方には、
まったく救いがないかといえばそうではありません。
それを探るためのいわゆる「検討」というのがおこなわれます。
比較的簡単に解決できるのは、
相手が怒るのがあきらかに介護者側に原因がある場合。
たとえば着替えをさせようとしたら殴られた、
などの理由が簡単に考えられるケースです。
この場合には声かけが足りない場合がほとんど。
「私は声かけしましたよ、着替えをしますよ~って」
と言う方も多いと思うんですが、
それでは足りないんです。
「着替えをしますよ」
「ボタンを外しますよ」
「右手から脱ぎますよ」
みたいにひとつひとつ説明しないと、
重度の認知症の方には伝わりにくいのです。
んなめんどくせーことやってられるかって感じですが、
実際にそれで相手からのパンチが減るなら、
する価値はあります。
それから周囲の騒音だとか、
目の前にいる人の顔や
隣の利用者の態度が気にくわないなんてのもありますが、
これも防げる範囲では防ぐこともできるかもしれません。
次にちょっとわかりにくいけど、
それでも原因が探れるケース。
相手に身体の不調があてイライラにつながっている場合。
たとえば便が出ていなかったり、
水分が足りていなかったり、
どこかかゆいところがあったり。
それこそ原因がさまざまでわからないかもしれませんが、
それでも注意深く観察すれば原因を特定し、
暴力を減らせるかもしれません。
しかしながら、どこをどうやってもまったくわからないし、
防げない暴力もあります。
それは被害妄想に基づくものだったり、
本人にとっての何かしらのトラウマに起因するものだったりします。
たとえば昔
「○○様(ある皇族の方)をいじめたのはアンタか!!」
と突然手に靴を持って襲いかかってきた方がいました…
とくにそのような妄想につがるテレビを観ていたとかでもなく、
夜中に突然です。
原因はまぁ、そういういじめをしている者にあるわけですが、
数年も前の話ですし、
そもそもご本人にはまったく関係がないし、
むろん、介護スタッフにも関係ありません。
いわば社会に対する怒りが突然ふつふつとわき起こり、
偶然そこにいた介護スタッフが怒りのはけ口にされてしまうわけです。
認知症の方にはさまざまな方がいますから、
このような暴力もあるということです。
これを検討すれば収まるとか、
原因を解決すればいいというような考え方で防ぐのは難しいのです。
そしてたいてい相談をしてくる方というのは、
普通に考えつくようなことはすでに検討し、
原因を探ってもわからないから相談している場合がほとんどでしょう。
もちろん俺自身、
そういう相談をされても共感してあげることはできても、
具体的な解決方法まではわからないのが正直な気持ちです。
認知症に関係する暴力というのは、
今後もなくならないんでしょうが、
それによって介護者側が追いつめられたり、
それがきっかけで事件が起きたりしないようになってほしいと願います。