■気を取り直して■
ちょっと話題を転換。
つい最近の新聞に、
認知症の方は病院での
受け入れが困難という
記事が出ていました。
介護業界では原則禁止とされている
身体拘束も78%の病院で
行われていると。
こういうのを読むとね、
むなしいなと感じます。
では拘束禁止というのは、
なんの医学的根拠もなく、
ただ理念だけで始まった
介護業界だけの
取り組みなんだろうかとね。
以前から書いている方のように、
病院に行って病気は治ったけど
その間にベッドでの拘束や
強い精神薬のせいで
ほぼ廃人のようになってしまった
方というのはたくさん見ています。
かといってそこから立ち直っても
認知症が治るわけではないので
とても難しいですよ。
たとえば絵を描きたいと言った方は
非常に体調が良くなって、
もはや当分万が一はないだろうと
いうレベルにまで回復しました。
まだ絵は書けませんが、
色塗りをしようとしたり、
紙に線を書いたりできるように
なりました。
これだけ見れば
やはり拘束しない介護は素晴らしい!と
思っていただけるとは思いますが、
その反面、
やはり認知症の症状として
ほぼ1日中叫び声を上げてしまったり
しているので、
他の利用者さんにイヤな思いを
させてしまったりもしています。
外部の方からは
「あの人、なんとかしないと
他の利用者さんがかわいそうでは?
市や包括に報告してもいいですか?」
とも言われてしまっています。
ついこの前までは、
死の淵にいたなんて、
その人にはわかりませんから、
まぁ一般的に見たら
それが普通の反応かなとは
思います。
ただ市や包括には僕の方から
ほぼすべてのケースを
伝えてますから、
相談などしても何も変わらないし、
まさかそんなことで追い出したり
しませんけどね。
そんなことよりも、
いかにそれを良くして
みんなが居心地よく過ごせるかを
やっていくのが僕らの仕事です。
拘束をしない介護には、
リスクもあれば
他者に我慢を強いる可能性も
ありえます。
身体拘束を排除したいばかりに
拘束してもしなくても
危険は同じだとか、
良いことばかり言う
理想論者もいますが
それは違うと思います。
しなければしないなりの
リスクは必ず存在します。
しかし拘束することのデメリットも
大きく存在するというだけです。
天秤にかけたときに
どちらを取るかということです。
いまだに拘束をしている病院を
批判するのも簡単ですが、
そうせざるをえないほど
重度の認知症というのは
難しいのだということも
また真実なのです。
たとえば僕は病院に付き添っているとき
利用者さんが点滴するときは、
動かないように手を握ったりしてます。
同じことを医師や看護師さんには
している時間はないでしょう?
それも現実です。
点滴を抜かれては治療にならないし、
その人本人だけならまだしも、
他の患者さんの点滴を
抜いてしまうようなことだって
じゅうぶんありうるのが認知症。
目を離すことなどできないのです。
前に書いたように利用者さんを
ベッドにくくりつけて、
扉に24時間ロックなんて
張り紙するバカ施設などは
話になりませんが、
医療と認知症とのあり方というのは
慎重に考える必要はあります。