悲しい言葉だ | NobunagAのブログ

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■悲しい言葉だ■
 
「施設に入ったのだから、
私たち(スタッフ)の言うことを聞いてください」
 
なんて傲慢で横暴な言葉でしょうね。
 
そんな必要はないと思います。
 
もちろん集団生活であるから、
最低限のマナーやある程度のルールは
守らなくてはいけないとは思いますよ。
 
でもスタッフの言いなりになる必要なんかない。
 
むしろスタッフのほうが、
相手に合わせるのが仕事のはずです。
 
もちろんこれも「利用者の言いなりになれ」
という意味ではありません。
そこまでへりくだる必要もないです。
 
ですが相手の病気への配慮をしたり、
相手がしたいことをフォローしてあげるのは
まさしく介護スタッフの仕事でしょう。
 
要するにいつも言うように
お互いに人間同士であれ、
ということです。
 
どっちが上でも下でもなくね。
 
 
だいたい、
施設に入居した直後の人は、
自信を失ってしまっていることが
ほとんどです。
 
家族によって預けられた人はそうだし、
自分から入所を選んだ人もそうです。
 
これまで自宅にいられたのに、
ついに施設へ入るときがきた、と。
 
もう自分だけではじゅうぶんな生活が
できないのだと、
たとえ認知症の人でも心のどこかで、
その喪失感を感じているはずです。
 
そういう人に対して
 
「施設に入ったのだから、
私たちの言うことを聞け」
 
なんてあまりにもひどい追い打ちです。
 
むしろ僕なんかはいつもこう言います。
 
「自分の思うように過ごしていいんですよ。
でも困ったときは呼んでくださいね」
 
と。
 
 
まずは入所によって失った、
人間としての自信を少しでも取り戻してもらいたい。
 
そう思います。
 
そこからすべてが新しく始まるのです。
 
 
僕の名前を覚えてくれる人は多いと
書きました。
 
それどころか抱きついてくる人、
腕組みしてくる人もいます。
自分で書くのも気は引けますが、
実際に
 
「あなたが一番いいわ」
 
と言ってくださる女性の利用者がかなり多いです。
 
そういうやりとりを見ていると
女性スタッフはよくこう言います。
 
「あの人は私たち女には厳しいのに
男には甘えるのだ」
 
って。
 
本当にそれだけですかね?
 
もちろん女性の利用者はとくに、
確かに自分より若い男性に
介護してもらうとうれしいという部分は
あるのかもと思います。
 
だけどあまりにも
女の目線で利用者を女として
見すぎていませんか?
 
女である以上に、
その方は認知症という
病気を患った利用者ですよ。
 
 
少なくとも僕自身は、
相手の病気に合わせた対応をしつつ、
お互いに人間同士としての
普通の関わりをしているにすぎません。
 
そういう関わりをすれば、
男でも女でも心は開いてくれます。
 
その結果が名前を覚えてもらえたり、
信頼してもらえる関係になっているだけ
だと思います。
 
それに利用者のそういう姿を見て
 
「態度を使い分けてる」
 
なんて見方をする人もいます。
これもちゃんちゃらおかしい。
 
人間とはそもそも
態度を使い分ける生き物です。
 
自分だって絶対にそうしてるはずです。
 
自分もそうなのになぜ利用者にだけ
聖人であることを求めるのでしょうか?
 
僕からすれば利用者の
そういうブラックな部分も含めて
人間らしくていいじゃないかと思います。
 
 
上から目線でまるで相手を
管理、監督するかのような発言をしたり、
女だから男だからと決めつけて、
利用者を見ていたら
相手にとって大事な存在には
いつまで経ってもなれません。
 
 
だって当たり前ですよ。
 
自分が利用者の立場なら
そんなスタッフの名前を覚えたり、
信頼したいと思うわけがないのだから。
 
 
 
「施設に入ったのだから
私たちの言うことを聞け」
 
というのは
 
「施設に入ったらもう
あなたの人生は終わりです。
他人の言いなりになって
おとなしくしてなさい」
 
という意味です。
言葉の暴力です。
 
そんな牢獄で暮らしたくはないです。