■施設の見た目と介護の質■
最近、特養などもユニット化や
個室化が進んでおり、
とてもキレイな施設が増えました。
これは自分が住む可能性を考えたら
とてもいいことだと思います。
実はうちの施設も
飾り付けできなかった、
とは書きましたが
建物自体は比較的新しいので
やはり来客からは
「キレイなところですね」
と言われます。
しかし褒め言葉は素直に喜ぶとしても、
見た目のキレイさで介護の質は
判断できないのも事実だったりします。
たとえばものすごくキレイに
飾られているということは、
それを壊すような症状の方は
いないのだなと想像できます。
今のうちの施設のように、
たまたまそういう状況というのは
ありえますから、
それならいい。
でも、中にはそういう症状の方は
即座に追い出すという施設もあるのです。
もはや今の世の中、
認知症なんて当たり前のように存在するのに
「認知症はお断り」
なんて施設もまだあるのです。
「徘徊がある人は受けません」
「人に迷惑をかけたら退居です」
もちろん方針としてそれをうたうのもけっこうです。
「その後のフォローをするなら」
ね。
自分の施設で受けられないなら
受けてくれそうな施設を紹介するなり、
退居させるなら
その後の行き先を考えてあげてほしいです。
介護を仕事とする以上、
そんなの大前提だと思うけれど、
それをしない施設、
相談員はとてもたくさん存在します。
家族は困って相談に来ている、
あるいは預けているんです。
なぜ何もせず放り出すのか、
プロとしてまったく理解できない。
認知症の方だって、
自分ではわからずとも
結果的に苦しい状況に置かれているのに、
なぜ簡単に見放すのか
人としても理解できない。
介護の質とは単純にその瞬間の
介護の技量だけを言うのではありません。
自分では対応できないケースに接したとき、
どのように振る舞えるか、
目の前にいる困っている人のために
どこまで動いてあげられるか。
たとえ施設の見た目が悪くても、
あるいは言葉使いが多少悪くても、
そうやって人間として利用者さんや
困っている家族に真剣に向き合える人が
いる施設は、
僕は質の高い施設だと思います。