■認知症に薬は必要ですか?■
という問いかけを、
ときどきされることがあります。
YES、NOだけで判断をするのが大変難しいです。
なぜなら薬を使うと余計に悪化する場合も、
存在しているから。
ではあるけれども…
一部の介護のプロが言うような
「薬なんてとんでもない!
愛情と思いやりの声かけで認知症は
良くなります!」
という極端な意見にはまったく賛同できません。
愛情とか思いやりは必要ですよ。
でもそれはいわばスパイスです。
たとえば本当に幻覚や幻聴を
声かけだけで止められる人がいたら
そりゃ超能力者です。
超能力は一般市民には使えませんよw
それらの症状は脳のある部位に異常が起きて、
症状につながっているので、
原因があることを根拠のないやり方で
治せるわけがないです。
ちなみに認知症の方、あるいはその家族で、
宗教を信仰している人もけっこう多いですが、
やはりそれでも病気になっていますし
信仰では治らないから施設を希望されています。
信仰も不必要とは言いません。
生きるうえでそれが必要な人は、
神様に祈ったって良いと思います。
しかし現実に病気の症状に対して、
初めから服薬という選択肢を
完全に消し去ってしまうのはナンセンスです。
だって病気なんだもの。
確かに認知症の急激な症状は、
ほっとくとかなり消えていきますよ。
それは良くなって消えるのではなく、
自然な経過でそんな精神症状よりも、
身体的な症状のほうが重度になっていく、
という意味です。
「認知症に薬は必要か」
という問いかけをすごく簡単に言うなら、
「熱が40度出て苦しんでいる、
本人も苦しんでいるし、
見ているこっちも苦しい。
解熱剤を使いますか?」
という問いと一緒です。
ほっといても熱は下がります。
しかしその瞬間の苦しさを
消すことはできません。
そんなに我慢して本人も周りも
ひたすら苦しい思いをするくらいなら、
薬を使ったら良いと俺は思います。
ただし気をつけなくてはいけないのは、
認知症の種類によっては、
薬を飲むと余計に症状を悪化させたり、
進行を早めてしまうケースもあるということ。
いつも書いていることですが、
だからこそ専門医を受診してください、
ということです。
本人も周りもものすごく苦しくて、
この先どうなるかもまったく見えないのに、
あえてそれを我慢することはありません。
ただでさえ介護はつらいことなのに、
わざわざもっと苦しくなる道を
選ばなくてもいいのです。
そして薬を飲んだとしても、
一部の精神症状は治まっても
身体的な低下はいずれは起こります。
それは誰のせいでもなく、
薬のせいでもなく、
認知症だけではないすべての高齢者がたどる
自然な老衰の道です。
ただ、認知症の場合にはそれがいささか
早く訪れやすくなる病気、
ということです。
だからその時期が来ても、
どうか受け容れてあげてください。
専門医、あるいは介護の専門家が
そばについてサポートしていけば、
薬を飲む=即廃人、なんてことにはめったになりません。
そのための専門職です。
全面的に薬で良くなるとか、
認知症=すぐ薬を飲ませろ!
ということではないですよ。
選択肢として、
持つべきということです。
医療と介護とがうまくかみ合えば、
一時的な急激な精神系の症状は、
かなり抑えることはできます。
実感としてかなりありますし、
実際に何度もそれを目にしてきていますので。
そのための仕事をしています。