■前頭側頭型認知症・追記■
先日も記事にした
前頭側頭型認知症について、
書き忘れていたことなどがあるので追記します。
このタイプの認知症の方というのは、
以前にも書いたように善悪の判断や、
言葉の理解が困難という特徴があります。
しかしアルツハイマーや、
脳血管性などの比較的多い認知症の方でも
似たような症状になることは
いくらでもあるため、
それだけで判別するのは難しいのも確かです。
しかし、実際に前頭側頭型認知症の人と接すると、
まさに「そういうレベルではない」と実感できるほど、
その症状が特異的に際立っています。
前回も書いた万引きや、痴漢などの反社会的な
行為などもそうですが、
アルツハイマーなどに見られる
「自分を守るためのウソ」
というようなとまどい、
とりつくろいなどはまったく感じられず、
ひたすら自分の主張のみ繰り返します。
「完全に開き直っている態度」
というのが一番近いのかもしれません。
また、この病気で特徴的なのは、
「本人にまったく病識がない」
ことです。
自分が徐々にわからなくなっている、
そのことに対してのとまどい、
疑問、そういうものはほとんどありません。
ぶっちゃけ「自己中」という表現が
一番的確で、
それも「病的に自己中」ということです。
(もちろんそれは病気のせいですよ、
本人の性格が悪いということではなく、
どんなにいい人でもそんなふうになってしまう
おそろしい病気ということです)
いやいや、認知症の人、
みんなそうでしょ?
自分が悪いとかおかしいって
思ってないでしょ、
みんな自己中心的に好き勝手
言ってるじゃないか
というのは間違いです。
以前にも何かの記事で書きましたが、
認知症の方はとくに初期の頃は、
自分がおかしいことをしているのではないか、
という疑問くらいは感じています。
ただし、それを認めてしまうと、
今までの自分が崩壊してしまうから、
自己防衛本能のあらわれとして、
とりつくろったり、
ウソをついたり、人のせいにしてしまうだけで、
そんな自分への疑問はちゃんと感じています。
よく見ていれば、
その攻撃的な言葉の裏にある、
本人のとまどい、悲しみは見えてきます。
しかし前頭側頭型の方には、
それはほとんどありません。
だからどんなに
おかしいことをしてしまっていても、
その人にとっては
まったく反省すべきことではないので、
病気である自分に悩むことはありません。
そのためものすごく
ひどい症状が出ているのに、
本人は明るくあっけらかんと
していたりします。
そのおかげで一見非常に普通に見えるので、
ひと目見ただけでは判断が非常に困難で、
認定調査などでは要介護1になったりしますw
中度になるとそういう明るさは消えて、
今度は無関心な態度のほうが大きくなります。
面白いことにも、イヤなことにも、
基本的にすべて無関心です。
それから特徴的な症状としては
「立ち去り行動」
がかなりの確率で見られます。
みんなで談笑しているのに、
ふらっとどこかへ行ってしまう。
そうでなくても周期的に
突然どこかへ行ってしまう。
もともと初期から反社会的であったり、
協調性に欠ける様子は見られますが、
それがもっと極端になり、
協調性がほとんどない感じになります。
無関心+病気による立ち去り行動
が重なるとそのうちひきこもりのように
なってしまいます。
高齢者がそうなると、
寝たきりになる確率も一気に高まります。
というより立ち去りが見られなくなるほど、
病気が進行したときはすでに寝たきり、
というような感じです。
他にも特徴的なこととしては、
たとえば食事の匂いに敏感というのもあり、
なぜか台所から良い匂いがしてくると、
それをきっかけにどこかへ行ってしまうとか、
そんな不思議な傾向もあります。
それから言語系の症状では、
相手の言葉をオウム返しにする、
という傾向もあります。
「こんにちは」
と言ったら
「こんにちは」
と返ってくるので、
大丈夫だと思っていたら、
実はただ言葉を真似てただけ
だったりするのです。
とこんな感じで、
非常に特異的な症状はいくつもあるのですが、
やはり普通の方が見分けるのは、
困難かもしれません。
実のところ、前頭側頭型認知症は(レビーもですが)
アルツハイマー型に比べて進行が早く…
早い話が寿命への影響が大きいです。
数年で死に至る場合があります。
だからこそ疑わしいときは、
必ず専門医を受診してください。