そういえば。
私が石屋を始めて間もない頃、とある知人からネックレスのオーダーを頂きました。
オーダー品は、何回かに分けて、いくつか頂いたのですが、一番最初のオーダーは、ラピスラズリのネックレスだったように、記憶しています。
「昔から憧れだったのよ」
そう話す彼女に、とにかくこれ以上はないだろうと思えるような石を探し、ネックレスを作成して、お渡しした記憶があります。
今思い出しても、確かにこれ以上はないだろうと思えるような綺麗な石で、かつパイライトが綺麗に入り、後日見せてもらった際にも、我ながら感心する品質の良さでした。
今じゃ、なかなかそこまでの品質は、(あの金額では)手に入らないとさえ、思います。
次のオーダーは翡翠。
これはちょうど、ミャンマー産の本翡翠の綺麗なものが、市場に出てきたタイミングでオーダーをいただき、普段ならありえないと思う金額で作成できたという記憶があります。
石はそれほど大きなものではありませんでしたが、この私が「惜しいことをしたかも」と思うくらい、金額的にも品質的にも、申し分ないものでした。
特に石好きではなくても、人間、特に女性は誰でも、憧れの石の一つや二つはあるものです。
(例外はもちろんいますが^^;)
それは、ご自身の誕生石かもしれませんし、本で見たりジュエリーショップで見たり、あるいは誰かが身につけているのを見て、憧れた石かもしれません。
そういえば先日、ご自身の誕生石だからと、ずっと憧れていた石だと言われ、探しにさがしたトルマリンがお嫁に行きましたっけ。
そのお客様の憧れの石は、誕生石のトルマリンだったわけです。
ご注文頂いてからお渡しするまで、結構な月日がかかってしまいました。
一般的に「憧れの石」と言って、探しに来られる石は、確かに安価な石ではありません。
まあ、簡単に手に入るような石に「憧れる」という人は、少ないでしょうけどね^^;
「憧れの石」の代表には、主にラリマーやインカローズがあります。
どちらも「ブルーペクトライト」や「ロードクロサイト」といった、ちゃんとした名前があるにもかかわらず、愛称で呼び親しまれ、人気の度合いが伺えます。
ラピスラズリやラブラドライトも、憧れる人の多い石です。
ラピスは、映画の影響もあるかもしれませんし、なにより、言い伝えにロマンがあります。
「幸せになれる石」なんて言われたら、憧れるなと言う方が無理というものです。
翡翠だって、憧れる人は多いでしょう。
石の名前なんか知らなくても、翡翠くらいは、日本人なら誰でも知っているものです。
ところが、憧れの石は、必ずしも高額品だから憧れるわけでもありません。
憧れが強すぎるあまり、品質にこだわって、それほど高額ではなくても、なかなか手に入れられないこともあるようです。
どこでだったか、「ラベンダーアメシストの透明度の高いもの」を探しに来られた方がいらっしゃいました。
その方にとっては、それが憧れの石だったようで、たまたまうちにあったラベンダーアメシストに一目ぼれし、お買い上げになりました。
ラベンダーアメシストは、そこまで高額な石でもないのですが、こだわりを求めた典型だと思います。
安くてもいい石は、たくさんあります。
石のコレクターさんたちは、珍しいものを探すばかりに、宝石としては正直あまり商品価値のないと思われる石を、嬉しそうに見つめます。
一つ一つに味があり、個性があり、世の中に2つとない宝石になります。
かと思えば、一般的に安価とされる石だって、産地が違い、色が変われば、希少品となり高値が付きます。
マダガスカル産のディープローズクォーツなんて、まさしくその典型ですもんね。
あこがれは人それぞれ。
金額なんて関係ありません。
私がブログに金額を書かないのは、そういう意味もあるんです。