当店の看板として、ずっと長い間お嫁に行かない、水晶の観音様。
こういう仕事をしていて、何なんですけど、宗教的なことは苦手な私。
これは、観音様だと言われたので、観音様だと信じて疑ってませんが、よく似た仏像とあまり区別がつかないので、違ったらごめんなさい。
(ま、観音様も色々いらっしゃるみたいだし)
とまあ、こんな罰当たりなことを書いてはいますが、この観音様には、思い入れがあります。
この観音様、実は、社長の中国人の友人からの預かりもので、価格相応じゃないとお嫁に行けないようになってます。
今まで、何度となく交渉に来られた方はいらっしゃいますが、なかなか折り合いがつきません。
それでも、一般的な水晶彫りの置物としては、かなりの破格値だと思っています。
鑑別書もちゃんとついてますよ^^
なので、楽しい時も辛い時も、この観音様が常に店を守っていてくれてます。
もちろん、あの時も・・・・。
今更、そんな話を・・・と思うかもしれませんが。
去年の3月11日。
私は、青森県八戸市にいました。
八戸駅(新幹線の駅の方)に隣接しているビルの1階で、イベントに参加していました。
大きな揺れが襲った時には、もうすでに身動きがとれず、その場に座り込むことしかできませんでした。
狭い店内で、陳列用の簡易的な棚が大きく揺れていました。
その上で、この観音様も前後に揺れていました。
その棚の前を通らないことには、店の外に出られません。
でもそれは、不可能のように思いました。
目の前にある、さらに簡易的なテーブルの下に潜り込んで、半泣きになりながら観音様を見つめていた記憶があります。
大きく揺れる棚の上で、さらに大きく揺れる観音様。
私はただ、「落ないで、落ないで」と祈るだけでした。
会場内では、あちこちから物の落ちる音や割れる音が響いてきました。
後でわかったことですが、随分商品を壊したお店もあったようです。
災害なので、仕方ないことなのでしょうが。
この観音様は、他のどっしりとした置物に比べて、大変スレンダーな観音様です。
台に固定はしてあるものの、他の大きなものと比べると、どうしても安定感が足りない気がします。
この観音様が、あの大地震を乗り切ってくれました。
それだけではなく、うちの店のものは、何一つとして壊れることなく、無事でいてくれました。
商品だけでなく、ガラスケースだって、電球だって、本当に何一つ壊れることなく。
うちの店には、ほかにもいくつか縁起物の置物が置いてあります。
どれも、水晶や翡翠を彫ったものですが、観音様はこの1体だけです。
あの時、他の置物たちがどこにあったのか、全く記憶にありません。
近くに一緒に置いてあったと思うのですが。
私の目は、観音様だけを見つめていたんでしょうね。
おかげで、観音様に意識が集中し、地震の恐怖からも救われたような気がします。
あの時の私は、観音様が落ちないようにと、祈ることばっかり考えていました。
(この辺が商売人なんだろうか)
その後、他の置物たちは、1つ2つと、お嫁にもらわれて行っています。
彼らもまた、あの大地震を乗り切った縁起物です。
でも、この観音様はまだ、うちに残っていてくださいます。
もうしばらく、お店を守っていただけるのですね。